問題社員FAQ
会社経営者の皆様,こんにちは。弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は,問題社員の対応等の労働問題を中心業務としている弁護士です。毎日のように,会社経営者の皆様から,問題社員対応の相談を受けています。
最初に,会社経営者の皆様にお聞きします。どうして,問題社員に対処しなければならないのでしょうか?「問題社員に対処しなければならないのは当たり前のことなのに,何を言ってるんだ?」そう疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし,弁護士のところに相談に来る会社経営者の悩みは,問題社員にどう対処したらいいか分からない,といった技術的なものばかりではありません。問題社員とはいえ,自社の社員であることに変わりはない,本来であれば温かく成長を見守ってあげたい,それなのに厳しく注意指導したり,懲戒処分を行ったりしていいものだろうか,そんなことをしたくて会社を作ったのではない,それでもやはり自分が対処しなければならないのだろうか。そういった悩みを抱えている会社経営者は数多く存在します。こういった心理的抵抗を乗り越えないことには,問題社員の対処法をいくら学んでも,実際の行動に移すことはできないのです。
もう10年も前の話になるでしょうか。ある中小企業の社長から,「新入社員を採用しても,すぐに辞めてしまう。もう5人も辞めてしまった。」と相談を受けたことがありました。詳しく話を聞いてみると,同じ上司の下に配置した新入社員が,入社から1か月もしないうちに,次から次へと辞めてしまい,辞めた新入社員の数は,もう5人にもなるとのことでした。いくら何でも,同じ上司の下に配置した新入社員だけが,1か月もしないうちに5人も辞めてしまうのは,普通ではありません。その上司に問題があることは明らかでした。社長も,その上司が問題だと気づいている様子でしたが,踏み込んだ調査,注意指導はしていませんでした。どうやら,社長は,その上司を信頼してその部署を任せたのだから,社長がいちいち口を出すのは好ましくなく,本人の自主性に任せるべきだと考えている様子でした。しかし,その結果,希望を持って入社してきた新入社員が5人も会社を辞めることになってしまったのです。社長が行動を起こさなければならないことは明らかでした。社長が本気で行動を起こした結果,間もなく問題は解決しました。しかし,せっかく入社してくれた社員が5人も辞めることになってしまったのは,本当に痛ましい出来事でした。
また,こんなこともありました。ある中小企業で,新卒の社員を採用しました。最初は,一人前の社員に育ててあげようと,みんなであれこれ世話を焼いてあげていました。しかし,その新入社員は性格がきつく,先輩社員を馬鹿にして,不平不満ばかり言っていました。上司の指示にも従いません。社長に相談する社員もいましたが,社長は「まあまあ,相手も未熟なのかもしれないけど,本人なりの事情があるんだろうから,何とかしてあげてよ。」などと言うだけで,何も行動を起こしませんでした。社長は,多少問題のある社員であってもあまり厳しく注意したりせず,成長を温かく見守ってあげるのが会社経営者の取るべき行動と思っていました。問題のある新入社員であることを把握した後も,具体的な行動を起こす気にはどうしてもなれなかったのです。入社から数か月がたちました。その新入社員はみんなに嫌われ,近づく先輩社員は1人もいなくなっていました。直属の上司はとうとう,うつ病を発症して,会社を何か月も休むことになってしまいました。このような社内の雰囲気に嫌気がさして,退職する社員も出てきました。社長が行動を起こさなければならないのは明らかでした。社長が行動を起こした結果,問題は解決しました。しかし,その新入社員には,辞めてもらわざるを得ませんでした。社員みんなに嫌われてしまっていたため,社内に置いておくわけにはいかなかったのです。社長がもっと早く行動を起こしていれば,上司がうつ病になって何か月も会社を休むことにはならずに済んだかもしれません。新入社員の問題行動も,これほどエスカレートせず,会社を辞めなくて済んだかもしれません。そう思うと,本当に残念な気持ちになりました。
会社経営者の多くは,「良い経営者」でありたいと考えています。それ自体は,とても大事なことです。しかし,「良い経営者」であろうとしたことが,問題社員の対処を躊躇することにつながってしまうことは,珍しくありません。その結果,会社のために一生懸命誠実に働いてくれている大事な社員が大きな被害を被ってしまうことがあるのです。会社経営者は,自分のしていることが本当に社員たちのためになっているのか,自己満足に終わっていないか,絶えず考え続けなければならないのだと思います。
もう一度,会社経営者の皆様にお聞きします。どうして,問題社員に対処しなければならないのでしょうか?それは,単に,「会社のため」といった抽象的な話だけでは終わりません。「会社のために一生懸命誠実に働いてくれている大事な社員たちを守るため」にも,問題社員に対処しなければならないのだと思います。
では具体的に,問題社員に対しどのように対処すればいいのでしょうか?
本ページでは,問題社員の解雇,退職勧奨,残業代,労働審判,団体交渉等の対応に関する会社経営者の労働相談においてよくある質問に対する一般的な回答を掲載してありますので,まずはこられを参考にして下さい。
もっとも,問題社員の中には,本当に手強い者も存在します。問題社員はどの勤務先でもトラブルを起こすことが多いせいか,仕事を覚えること以上に会社との戦い方の勉強に熱心な者が多く,弁護士や合同労組に依頼して転職前の会社と戦った経験がある者も珍しくありません。悪質な問題社員になると,会話を無断録音しながら会社経営者を挑発して解雇させ,労働審判や団体交渉等で不当解雇であるなどと主張して,金銭を取得しようとする者も存在します。どれだけ優秀な会社経営者であっても労働問題のストレスがかかると頭が正常に働かず判断を誤りやすくなります。手強い問題社員については,問題社員の対応を数多く行っている会社経営者側弁護士に相談せずに自力で対処することはお勧めできません。
弁護士法人四谷麹町法律事務所は,会社経営者側専門の法律事務所として,問題社員で悩む日本全国各地の会社経営者から数多くの相談を受け,問題社員の対応に当たってきました。会社経営者を悩ます問題社員の対応は,弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京都千代田区,麹町駅・四ッ谷駅・半蔵門駅)にご相談下さい。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎
問題事例一覧
- Q1
- 協調性がない。
- Q2
- 遅刻や無断欠勤が多い。
- Q3
- 勤務態度が悪い。
- Q7
- 転勤を拒否する。
- Q10
- 仕事の能力が低い。
- Q13
- 採用内定取消に応じない。
- Q28
- 営業秘密を漏洩する。
- Q32
- 管理職なのに部下を管理できない。
- Q34
- 退職勧奨しても退職しない。
- Q35
- 営業社員が営業中に仕事をサボる。
- Q39
- 飲み会で部下に飲酒を強要する。
- Q44
- 不採用通知に抗議する。
- Q46
- 試用期間中の社員の能力が低い。
- Q48
- 採用予定者が遵守事項に違反した。
- Q49
- 経歴を詐称した。
- Q50
- 身だしなみが乱れている。
- Q51
- 遅刻・欠勤を繰り返す。
- Q52
- 無断欠勤を続けている。
- Q53
- 同僚に嫌がらせをする。
- Q56
- 企業秘密を他社に漏えいする。
- Q57
- 雇い止めに納得しない。
- Q58
- 定年後の再雇用を求める。
- Q60
- だらだらと残業する。
- Q66
- 多重債務を抱えている。