問題社員23 社外の合同労組に加入して団体交渉を求めてきたり、会社オフィスの前でビラ配りしたりする。

 社内の過半数組合との間でユニオン・ショップ協定(雇われた以上は特定の組合に加入せねばならず、加入しないときは使用者においてこれを解雇するという協定)が締結されている会社の場合、ユニオン・ショップ協定を理由に、社内の労働組合を脱退して社外の合同労組に加入した社員を解雇することができないか検討したくなるかもしれませんが、「ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、右の観点からして、民法90条の規定により、これを無効と解すべきである(憲法28条参照)。」とするのが最高裁判例(三井倉庫港運事件最高裁第一小法廷平成元年12月14日判決)ですので、ユニオン・ショップ協定を理由に、当該社員を解雇することはできません。

 社外の合同労組からの団体交渉申入れであっても、原則として応じる必要があります。
 社内組合が唯一の交渉団体である旨の規定(唯一交渉団体条項)のある労働協約が締結されていたとしても、団体交渉拒否の正当な理由とはならず、団交拒否は不当労働行為となります。

 会社オフィス付近での街宣活動が正当な組合活動と評価される場合には、懲戒処分、差止請求、損害賠償請求等をすることはできません。
 他方、正当な組合活動を逸脱するようなものについては、懲戒処分、差止請求、損害賠償請求等が認められることになります。

 労働組合が組合員の経済的地位の向上をはかる目的で、会社の経営方針や企業活動を批判する場合、文書の表現が激しかったり、多少の誇張が含まれているとしても、なお正当な組合活動といえ、そのために会社が多少の不利益を受けたり、社会的信用が低下することがあっても、会社としてはこれを受忍すべきものと判断される可能性が高いものと思われます。
 しかし、組合活動としてなされる文書活動であっても、虚偽の事実や誤解を与えかねない事実を記載して、会社の利益を不当に侵害したり、名誉、信用を毀損、失墜させたり、あるいは企業の円滑な運営に支障を来たしたりするような場合には、組合活動として正当性の範囲を逸脱すると評価することができ、懲戒処分、損害賠償請求等の対象となります。
 ビラ配りがなされた場合は、ビラを確保して内容をチェックし、対応を検討すべきです。

 労働組合またはその組合員が、使用者の許諾を得ないで企業の物的施設を利用して組合活動を行うことは、原則として使用者の施設管理権を不当に侵害するものであり、正当な組合活動とはいえません。
 他方、会社敷地内での組合活動であっても、一般人が自由に立ち入ることができる格別会社の職場秩序が乱されるおそれのない場所での組合活動は、使用者の施設管理権を不当に侵害するものとはいえないのが通常と思われます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 


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