問題社員13 採用内定取消に応じない。

1 採用内定取消の法的性質

 原則として、採用内定により(始期付解約権留保付)労働契約が成立するため、採用内定取消の法的性質は解雇であり、解雇権濫用法理が適用されることになります。
 したがって、自由に採用内定取消を行うことはできず、採用内定を取り消すことができる場面は限定されます。

2 内定取消を回避するための実務的対応

 基本的には、一方的に内定を取り消すのではなく、話し合いにより内定を辞退してもらうべきでしょう。
 十分な内定取消の理由がない場合は、補償金の支払いを約束するなどして、内定者の理解を得るよう最大限の努力をすべきことになります。
 内定取消はできるだけ早い時期に行った方が内定者のダメージが小さく、紛争になりにくい傾向にあります。
 内定取消が避けられない場合は、いつまでもずるずる決断を先延ばしにするのではなく、速やかに内定辞退についての話し合いに入り、内定者が就職活動を早期に再開できるよう配慮すべきでしょう。

3 内定取消事由の限定性

 採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られます。
 採用内定当時知ることができた問題点については、採用を躊躇するようなものであれば採用内定は出さないようにする必要があります。
 取りあえず採用内定を出してみて、問題が改善されるかどうか様子を見るというやり方はできません。
 いったん採用内定を出したら、原則として定年まで雇用し続けなければならないという覚悟が必要だと思います。

4 経営悪化による内定取消と行政への通知

 なお、企業が経営の悪化等を理由に留保解約権の行使(採用内定取消)をする場合には、いわゆる整理解雇の有効性の判断に関する①人員削減の必要性、②人員削減の手段として整理解雇することの必要性、③被解雇者選定の合理性、④手続の妥当性という四要素を総合考慮のうえ、解約留保権の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるかどうかを判断すべきとする裁判例があります。
 また、新規学卒者の採用内定を取り消す場合は、予め公共職業安定所長又は学校長等関係施設の長にその旨を通知する必要があります。
 一定の場合は、厚生労働大臣により企業名等が公表されることもあります。

弁護士 藤田 進太郎
解説者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 /  「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026/02/28

 

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