問題社員52 無断欠勤を続けている。
1 連絡を試みる
本人と連絡を取るために様々な手段を試みることが重要です。電話、メール、自宅への訪問、両親等保証人に連絡して本人と連絡が取れるよう依頼することが考えられます。また、後日、連絡を試みたことが分かるように証拠を残しておくことが重要です。
このような方法を試みたものの長期間連絡が取れず、退職として処理したい場合には、以下の方法が考えられます。
2 解雇
(1) 普通解雇
勤務態度が不良であるとして、普通解雇をすることが考えられます。ここでは、何日間欠勤をしていることをもって、普通解雇しうるかが問題になります。例えば、公務員の場合21日以上正当な理由なく欠勤した場合は免職又は停職という懲戒処分の指針がありますので、同期間はひとつの目安になります。会社に休職制度があるかどうかも考慮に入れて考えるべきです。
(2) 懲戒解雇
就業規則の懲戒事由に「○日以上無断欠勤を続けたとき(懲戒解雇する)」と定められている場合には、懲戒解雇を検討することになります。
(3) 当該社員に解雇の意思表示を到達させる必要があること
解雇の効力は解雇の意思表示が当該社員に到達した時点で生じます。当該社員が会社からの通知を受け取らなければ、意思表示が当該社員に到達したとは言えませんので、いつまでも解雇の効力は生じません。
当該社員に意思表示を到達させることが困難な場合は、公示送達を検討することになります。公示送達は、「解雇した事実」を2週間、裁判所の掲示板に掲示し、かつ、掲示したことを官報に掲載すること等の所定の手続により、解雇の意思表示が当該社員に到達したとみなす制度です。
3 当然退職
退職には、①合意退職(会社と社員との間で退職の合意が成立した場合)、②辞職(社員からの一方的な辞職による場合)、③当然退職(一定の事由を退職理由と定めていて、当該事由が発生した場合には退職とする場合)があります。
①合意退職と②辞職は、いずれも社員からの退職の意思表示が必要ですので、連絡がつかない社員への対応策としては現実的ではありません。
就業規則に「会社に連絡がなく、50日を経過し会社も所在を知らないとき(当然に退職とする)」という③当然退職の規定を定めることが考えられます。
当然退職は、意思表示を当該社員に到達させる必要がない分、手続上は簡易ですので、有効な手段であると考えます。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
(勤務弁護士作成)