ワード:「労働問題」

業務上のミスが多く、改善の見込みがない社員を解雇する際の注意点について教えてください。

この記事の結論 1 業務ミス解雇は「裁判官が証拠で判断できること」が必要。単なる見込み違いでは認められない 長期雇用を予定した新卒採用者は例外的な場合でない限り認められにくく、地位・職種を特定して採用された社員は比較的認められやすい傾向があります。 2 何月何日にどのミスで会社にどのような損害が生じたかを、当時の客観的証拠で示せるこ……

勤務態度が悪い問題社員を解雇する際に考慮すべき点について教えてください。

この記事の結論 1 有効性は4要件で判断される。①解雇事由該当、②濫用に当たらない、③解雇予告、④解雇制限に非該当 勤務態度不良を理由とする解雇は、就業規則の解雇事由に該当するだけでは足りません。特に②の客観的合理的理由と社会通念上の相当性を、証拠で示せることが重要です。 2 「客観的に合理的」とは、裁判官が証拠で判断できること。経……

解雇を撤回して就労を命じたところ、労働者側から「解雇の撤回は認められない・民法536条2項で賃金を払え」と主張されています。どう考えればよいですか。

この記事の結論 1 「解雇の撤回は認められない」は理屈上は間違いではないが、それだけでは会社に不利にならない 解雇は到達時に効力が生じるため、一方的な撤回はできず、遡及的に効力を失わせるには労働者の同意が必要、という理屈は理論上否定できません。しかし、この一点だけで賃金支払義務が導かれるわけではありません。 2 就労を命じた後に労働……

社員が行方不明になった場合、解雇することはできますか。

この記事の結論 1 解雇理由よりも「解雇通知の到達」が最大の課題。解雇の意思表示は相手方への到達が必要 長期の無断欠勤は解雇事由に該当するのが通常です。もっとも、解雇の意思表示は相手方に到達して初めて効力を生じるため(民法97条1項)、行方不明の場合はどこへ通知すれば到達したといえるかが問題になります。 2 完全に行方不明なら公示に……

解雇が無効とされた場合、解雇期間中の不就労日は労基法39条の出勤日数に含まれますか。

この記事の結論 1 解雇が無効とされると、解雇日から復職日までの不就労日は労基法39条の出勤日数に算入される 平成25年7月10日付け基発0710第3号通達は、八千代交通事件最高裁判決を踏まえ、解雇無効の場合の解雇日から復職日までの不就労日を、出勤日数に算入される不就労日の典型例として明記しています。 2 会社はバックペイに加え年次……

解雇が無効と判断された場合、解雇期間中の不就労日は年次有給休暇の出勤率算定でどのように扱われますか。

この記事の結論 1 解雇が無効なら、解雇期間中の不就労日は年次有給休暇の出勤率算定で「出勤日数」に算入される 八千代交通事件最高裁判決(平成25年6月6日)により、無効な解雇で就労できなかった日は労働者の責めに帰すべきものではない不就労日として、労基法39条の出勤率算定上、出勤日数に算入されます。 2 会社はバックペイに加え年休付与……

能力不足を理由とした解雇の有効性は、どのように判断すればよいですか。

この記事の結論 1 判断基準は「労働契約で求められた能力が欠如しているか」。単なる見込み違いでは足りない 長期雇用を予定した新卒採用者・勤続が長い社員・低賃金の社員は認められにくく、特定の能力や地位を条件に高給で採用された社員は比較的認められやすい傾向があります。 2 いずれの場合も、具体的事実の記録と、労働契約書への能力・地位の明……

「仕事を休みます。」とだけ連絡して長期間欠勤する社員を、解雇できますか。

この記事の結論 1 欠勤を理由に処分する前に、残っている年次有給休暇を使い切らせるのが実務上の最善策 「仕事を休みます」という連絡が年休取得か欠勤かは曖昧になりがちです。年休が残っていると「年休を取得したのだから欠勤はない」という主張を封じられず、欠勤解雇の有効性が揺らぎます。 2 年休取得を妨げるのは逆効果。申請用紙を書留郵便で送……

問題社員の解雇で苦労しないためのポイントについて教えてください。

この記事の結論 1 解雇トラブルの多くは採用時の見極めの甘さが原因。「採用に積極的な理由がなければ不採用」を徹底する 弁護士に相談が必要になるほどの問題社員事案は、採用時にすでに問題を感じながら、手間・費用・人手不足を理由に採用してしまったケースが相当割合を占めます。採用段階の見極めが最大の予防策です。 2 会社経営者自らが採用に深……

「辞める」と言い残し、退職届なしに出て行った社員へは、どのように対応すればよいですか。

この記事の結論 1 退職届がないと、口頭での退職は「解雇」または「在職中」と認定されるリスクがある 「辞める」と言い残して出て行っただけで退職届がないと、後日「解雇された」と主張されてバックペイ請求を受けたり、まだ在職中と扱われて賃金支払義務が続いたりするおそれがあります。 2 すぐ連絡して退職届の提出を促し、応じない場合は書面・メ……

労基署に相談してから解雇すれば、裁判にも勝てますよね。

この記事の結論 1 労基署は労基法違反の取締り機関。解雇が民事上有効かどうかの最終判断権限はない 労基署は解雇予告等の労基法上の手続について指導できますが、解雇の民事上の有効性(客観的合理性・社会通念上の相当性)を最終的に判断する権限はありません。 2 解雇の有効性の最終判断権限は裁判所にある。解雇前には弁護士への相談が必要 解雇……

問題社員に注意指導や懲戒処分をすると職場の雰囲気が悪くなるから、注意指導や懲戒処分をせずに直ちに解雇した方がいいのではないですか。

この記事の結論 1 注意指導・懲戒処分を避けて放置する方が、職場の雰囲気をかえって悪化させる 注意指導で一定の軋轢は生じますが、放置すれば問題行動がエスカレートし、真面目に働く他の社員のモチベーションも下がります。放置は、より大きな問題を職場に生みます。 2 注意指導・懲戒処分は会社の秩序と他の社員を守るために必要。法的にも解雇の有……

問題社員の解雇に臨むにあたってのあるべきスタンスについて教えてください。

この記事の結論 1 「解雇ありき」ではなく「正常な労使関係を回復する方法がないか検討したうえで、やむなく解雇に踏み切る」 最初に解雇を決めてから「どうやって辞めさせるか」を考えるアプローチは、法的に危険です。労使関係の回復に向けた努力を尽くしたうえでやむなく解雇に至る、というスタンスが解雇の有効性を支えます。 2 注意指導・懲戒処分……

解雇に踏み切るべきタイミングについて教えてください。

この記事の結論 1 踏み切るのは、解雇が有効であることを証拠で立証できるようになってから 解雇のタイミングは感情ではなく、証拠に基づく法的評価で判断すべきものです。①事実の書き出し、②証拠の確認、③相当性の確認という3段階チェックを経てから踏み切るのが正攻法です。 2 証拠が揃わない段階での解雇は、高額の和解金や「辞めてもらえない」……

改善の見込みがない社員であっても、解雇に先立ち注意指導は必要ですか。

この記事の結論 1 明らかな問題社員でも、解雇前の注意指導・懲戒処分の積み重ねが原則として必要 労働契約法16条の解雇権濫用の判断において、注意指導や懲戒処分歴の有無は重要な考慮要素です。「改善の見込みなし」は会社の思い込みではなく、客観的に示す必要があります。 2 注意指導なしでは「改善の見込みが乏しい」ことの立証が難しい よほ……

勤務態度不良が周知の事実であっても、証拠固めが必要なのはなぜですか。

この記事の結論 1 訴訟では労働者側は問題を否定するのが通常。利害関係人の証言は客観的な書証に比べ証明力が劣りやすい 「本人が一番よく知っているはず」「みんなが証言してくれるはず」という期待は、実際の紛争ではあてになりません。解雇の有効性は、客観的な書面・記録によって支えられます。 2 解雇前にしかできない準備がある。客観的証拠の整……

問題社員を解雇する際、最初に理解すべき注意点は何ですか。

この記事の結論 1 解雇には「客観的に」合理的な理由が必要。経営者の主観的判断だけでは足りない 労働契約法16条の解雇権濫用法理により、客観的合理的理由と社会通念上の相当性の両方がなければ解雇は無効です。「この社員はダメだ」という経営者の感覚は、解雇の有効性を支える証拠にはなりません。 2 抽象的説明では不十分。5W1Hの具体的事実……

解雇を弁護士に相談すべきタイミングについて教えてください。

この記事の結論 1 相談は「解雇に踏み切る前」が鉄則。解雇は後から修正できない経営判断 紛争が表面化してから相談しても、過去の事実は動かせません。証拠の不足や手続の瑕疵は事後には取り返せず、高額の解決金を余儀なくされがちです。 2 解雇前の相談で、証拠・指導記録・通知書の文言・退職勧奨の検討まで整えられる 解雇前に相談すれば、解雇……

解雇無効の賃金支払判決について「債務名義があるから源泉徴収せずに全額払え」と請求された場合の対応を教えてください。

この記事の結論 1 債務名義の有無と源泉徴収義務の有無は別次元の問題。「全額払え」に応じる法的義務はない 確定判決や和解調書があっても、バックペイが給与所得である性質は変わりません。会社は源泉所得税を控除した金額を支払い、控除分を税務署に納付するのが適法な対応です。 2 「全額払え」に応じると不納付加算税等のリスク。そもそも判決前の……

強制執行により源泉徴収できなかった場合、源泉所得税を納付しなくてもよいですか。

この記事の結論 1 強制執行で源泉徴収できなかった場合でも、会社の源泉所得税納付義務は消滅しない バックペイは給与所得であるため、会社は源泉徴収義務を負います(所得税法183条)。強制執行で額面全額を差し押さえられ源泉徴収できなかったという事情は、納付義務を免除する理由にはなりません。源泉相当額は労働者に求償できますが、実務上は困難なケースが多いです。 ……

Return to Top ▲Return to Top ▲