ワード:「労働問題」

個別合意よりも社員に有利な労働条件を定めた労働協約、就業規則が存在する場合、個別合意だけでは賃金減額の効力は生じませんか。

この記事の要点 ✓ 個別合意よりも社員に有利な労働条件を定めた労働協約・就業規則が存在する場合、それらの効力が個別合意に優先するため(労組法16条・労契法12条)、個別合意だけでは賃金減額の効力は生じない 「本人が同意したから大丈夫」という発想は、既存の協約・就業規則が上位にある限り通用しません ✓ 賃金減額を有効に行うためには、先に労働協……

具体的に発生した賃金請求権を事後に変更された就業規則の遡及適用により処分又は変更することは許されますか。

この記事の要点 ✓ 具体的に発生した賃金請求権を、事後に変更された就業規則の遡及適用によって処分または変更することは許されない(香港上海銀行事件・最高裁平成元年9月7日第一小法廷判決) 就業規則の変更は将来に向かって効力を持つものであり、過去に発生した権利には遡及しません ✓ 労働協約の事後変更でも(371番)、就業規則の遡及適用でも(本記……

労契法9条の合意があった場合、合理性や周知性は就業規則の変更の要件とはならないと考えてよろしいでしょうか。

この記事の要点 ✓ 就業規則は労基法に違反してはならない(労基法92条1項)——残業代を支払わない旨の就業規則の定めは、労基法37条に違反するため無効 「就業規則に書けば合法になる」という誤解は法律上通用しません ✓ 労基法違反の就業規則はその部分に関して無効となり、無効となった部分は労基法が適用される(労契法13条) 「就業規則……

就業規則の変更による賃金減額が有効となるための要件を教えて下さい。

この記事の要点 ✓ 就業規則変更による賃金減額が有効となるためには、①労働者との合意(労契法9条反対解釈)または②変更の合理性と周知(労契法10条)のいずれかを満たす必要がある どちらも要件として認められていますが、それぞれに固有の落とし穴があります ✓ 要件①(合意変更)は、就業規則変更と個別合意を組み合わせる方法——「同意書があれば足り……

労働協約を締結することができない場合や労働協約の効力が及ばない労働者の賃金を減額する方法としては、どのようなものが考えられますか。

この記事の要点 ✓ 労働協約を締結できない場合や効力が及ばない労働者への賃金減額方法は、就業規則変更(労働契約法10条)または個別合意の2つ 368番で解説した3つの手法のうち、①労働協約が使えない場合の選択肢が②就業規則変更と③個別合意です ✓ 就業規則変更による賃金減額は対象者が多数の場合に有効だが、変更の合理性(労契法10条)が厳しく……

具体的に発生した賃金請求権を事後に締結された労働協約により処分又は変更することは許されますか。

この記事の要点 ✓ 具体的に発生した賃金請求権を、事後に締結された労働協約によって処分または変更することは許されない(香港上海銀行事件・最高裁平成元年9月7日第一小法廷判決) 労働協約の規範的効力は、将来の労働条件の変更に作用するものであり、既発生の賃金請求権には及びません ✓ 「労働組合が同意したのだから過去分も変更できる」という発想は誤……

労働組合との間で賃金減額に関する労働協約を締結した場合、賃金減額の効力は非組合員にも及びますか。

この記事の要点 ✓ 労働協約の効力は原則として組合員にのみ及ぶが、一の事業場の4分の3以上の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該事業場の他の同種労働者にも一般的拘束力が及ぶ(労組法17条) この場合、賃金減額の効力は組合員でない未組織労働者にも及びます ✓ 特定の未組織労働者に適用することが著しく不合理であると認め……

労働協約で賃金を変更した場合の効力とは?組合員に及ぶ規範的効力と会社経営者の実務ポイント

この記事の要点 ✓ 労働協約の規範的効力(労組法16条)により、会社と労働組合が合意した賃金の定めは個々の労働契約に優先して適用される 個別合意・就業規則変更と並ぶ3つの賃金変更手法の中で、最も強い法的効力を持ちます(368番参照) ✓ 組合員個人が賃金減額に反対していても、適法に締結された労働協約の効力は原則としてその組合員にも及……

賃金減額はどの方法が安全か?会社経営者が押さえるべき3つの法的手法とリスク比較

この記事の要点 ✓ 使用者が一方的に賃金を引き下げることは原則としてできない——賃金減額には法的に認められた3つの手法のいずれかが必要 「経営上必要だから」という理由だけで賃金を下げると、無効として差額の未払賃金請求を受けるリスがあります ✓ 3つの方法は①労働協約の締結、②就業規則変更(労働契約法10条)、③個別合意——それぞれ法……

飲食店の手待時間は休憩時間になるのか?残業代計算に含めるべき労働時間の法的判断

この記事の要点 ✓ 「客がいない時間は休憩でよい」と指示していても、来客時に直ちに対応する義務がある以上、その時間は原則として残業代(割増賃金)計算の対象となる労働時間に当たる 実作業がないことと、労働時間でないこととは別問題です ✓ 法的に「休憩時間」と認められるためには、労働者が使用者の指揮命令から離れ、自由に時間を使える状態(……

飲食業の会社経営者が知るべき残業代(割増賃金)請求リスクの実態と対策

この記事の要点 ✓ 「飲食業だから払えない」「昔からこのやり方で問題にならなかった」は法的に一切通用しない——労基法は業種を問わず一律に適用される 裁判所は経営事情よりも法令遵守の有無を基準に判断します ✓ 飲食業は長時間労働・深夜労働・固定残業代の設計不備という三重の構造から、残業代請求が高額化しやすい——「月数万円」が「数百万円……

運送業で「給料日前にお金を貸してほしい」と言われたら?会社経営者が知るべき貸付リスクと適切対応

結論 ドライバーへの金銭貸付は、会社側弁護士の立場からは原則としてお勧めできません。貸付は「回収不能リスク」「関係悪化リスク」「残業代請求誘発リスク」という三重のリスクを抱えており、返済を求めた途端に残業代請求という反撃を受けることが実務上珍しくありません。どうしても対応するなら、貸付ではなく給与前払いという整理を検討してください。 目次 01 運送業で起こりがちな……

運送業で見落としがちな割増賃金とは?会社経営者が注意すべき「日当」と休日労働の落とし穴

この記事の要点 ✓ 日当制を採用している場合でも、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金の支払義務は免除されない 賃金形態が日当制であっても、労基法の割増賃金規定(37条)はそのまま適用されます ✓ 休日に支払った「日当」が通常賃金相当額なのか休日労働の対価なのかを整理しないと、割増賃金の計算が狂う 月給制の感覚をそのまま日当制に……

月例賃金に占める定額(固定)残業代の比率は、どれくらいまでなら許されますか。

この記事の要点 ✓ 月例賃金に占めるみなし残業代(定額・固定残業代)の比率と有効性との間に論理必然の関係はない——比率が高ければ必ず無効とはいえないが、実務上のリスクは比率に連動して上がる 「比率が高ければ無効」ではないが、高くなるほど複数のリスクが増大します ✓ 脳・心臓疾患や精神疾患を発症した場合に労災認定されやすい長時間労働(月80時……

基本給や手当等に時間外・休日・深夜割増賃金を組み込んで支払う定額(固定)残業代は,どのような場合に有効となりますか。

この記事の要点 ✓ 最低限、賃金規程等への定め(または個別合意書への記載)が必要——口頭説明のみでは定額残業代として認められない 「口頭で説明した」だけでは労働契約の内容になっているとは認められないのが通常です ✓ 通常の賃金部分と定額残業代部分が「判別可能」である必要がある——判別できなければ残業代の支払があったとは認められない(……

残業代(割増賃金)込みの賃金ということで社員全員が納得しており、誰からも文句が出ていないのですから、別途残業代(割増賃金)を支払わなくてもいいのではないですか。

「社員から文句が出ていない」は安全の根拠にはなりません 残業代(割増賃金)込みで月給30万円等と約束しており、社員から文句が全く出ていないからといって、残業代に相当する金額を特定していなくても未払残業代の請求を受けるはずはないと思い込んでいる会社経営者がいらっしゃいますが、甘い考えと言わざるを得ません。本記事では、この思い込みが生じる理由と現実のリスクを解説します。 目次 ……

残業代(割増賃金)に当たる部分を特定せずに月例賃金には残業代が含まれている旨の合意は有効ですか。

この記事の要点 ✓ 残業代に当たる部分の額を特定せずに合意・署名押印させても、通常の賃金と残業代の各部分が計算・検証できないため、残業代の支払があったとは認められない 「月給に残業代が含まれる」と口頭・書面で合意しても、金額の特定がなければ無効です ✓ モルガン・スタンレー・ジャパン(超過勤務手当)事件東京地裁H17.10.19判決は特殊事……

同業他社よりも高額の基本給・手当・賞与を支給し昇給もさせているので残業代(割増賃金)を別途支払う必要はないですよね

この記事の要点 ✓ 高額の基本給・手当・賞与の支給は残業代の支払の代わりにはならない——別途残業代(割増賃金)の支払義務が生じる 「十分な報酬で報いているから残業代は別途不要」という考えは法律上通用しません ✓ むしろ、毎月の基本給等の金額が上がれば残業代の単価が上がることになり、かえって高額の残業代請求を受けるリスクが高くなる 「高い給……

年俸制の社員に残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払う必要がありますか。

この記事の要点 ✓ 年俸制の社員も労基法上の労働者であり、時間外・休日・深夜に労働させた場合は残業代(割増賃金)を支払う必要がある 「年俸制=残業代不要」は法律上の根拠がない誤解です ✓ 労基法上、年俸制社員について残業代(割増賃金)の支払義務を免除する規定は存在しない 賃金の算定・支払方法が「年俸制」であることは、残業代免除の根拠になり……

時間外・休日・深夜に労働させた場合でも残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)を支払わない旨の就業規則の定めは有効ですか。

この記事の要点 ✓ 就業規則は労基法に違反してはならない(労基法92条1項)——残業代を支払わない旨の就業規則の定めは、労基法37条に違反するため無効 「就業規則に書けば合法になる」という誤解は法律上通用しません ✓ 労基法違反の就業規則はその部分に関して無効となり、無効となった部分は労基法が適用される(労契法13条) 「……

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