ワード:「労働問題」

労働条件通知書の「就業の場所」欄には、どこまで詳しく書く必要がありますか。

この記事の結論 1 法令上は雇入れ直後の就業場所の記載で足りる(平成11年1月29日基発45号)。ただし転勤命令時に勤務地限定の合意の根拠として使われるリスクがある 「○○本社」とのみ記載すると「就業場所が本社に限定されている」と主張される可能性があります。就業規則の転勤規定がある場合は通常は認定されませんが、他の事情と組み合わせて使われるリスクを最小化する記……

勤務地限定の合意があったとの主張は、どの程度認められますか。

この記事の結論 1 複数勤務地のある会社の正社員は勤務地限定の合意が認定されにくい。就業規則の転勤規定+入社時誓約書で特段の事情なき限り訴訟対策として十分 ただし採用時に特定の勤務地を明示して採用した・採用面接で「転勤はない」と説明した・長期間転勤がなかった等の「特段の事情」がある場合は認定されることがあります。採用時の記録が決定的な証拠となります。 ……

使用者に配転命令権限があるといえるためには、どのようなことが必要ですか。

この記事の結論 1 配転命令権限は労働契約の解釈問題。個別的同意は不要で就業規則・包括的同意書が根拠となるが、勤務地限定の合意がある場合は権限が否定される 就業規則に配転・転勤規定があっても、採用時の経緯・労働契約書の記載等から勤務地限定の合意が認められれば配転命令権限は否定されます。正社員は広範な権限が認められる傾向、パート等は制限される傾向があります。 ……

転勤命令違反を理由とした懲戒解雇の有効性が争われた場合、主に何が問題となりますか。

この記事の結論 1 転勤命令違反を理由とした懲戒解雇は①転勤命令権限の有無②転勤命令の濫用の有無③懲戒権の濫用の有無という3段階の審査を経る ①で転勤命令権限自体がないと判断されれば、転勤命令は無効であり②・③を検討するまでもなく懲戒解雇も無効となります。各段階をクリアして初めて懲戒解雇の有効性が認められます。 2 一度の拒否でいき……

懲戒解雇と退職金不支給の関係について教えてください。

この記事の結論 1 退職金不支給・減額には就業規則・退職金規程の規定が必要。規定なしでは懲戒解雇でも退職金を支払う義務がある 「懲戒解雇したのだから当然退職金はゼロだ」は誤りです。就業規則・退職金規程に懲戒解雇事由を不支給・減額事由として明確に規定していない場合は、懲戒解雇であっても退職金を支払わなければならない可能性があります。 2 ……

懲戒解雇・諭旨解雇・諭旨退職等、退職の効果を伴う懲戒処分を検討する際の注意点について教えてください。

この記事の結論 1 退職の効果を伴う懲戒処分は紛争になりやすい。退職金不支給・減額を伴う場合はさらにリスクが高まる 懲戒解雇・諭旨解雇・諭旨退職は懲戒権濫用の有無が厳格に審査されます。退職金不支給・減額が加わると金銭的損失が大きく弁護士費用をかけてでも争う動機が生まれやすいため、訴訟リスクがさらに高まります。 2 「争われるのが怖い……

懲戒解雇の懲戒権濫用判断では、どのような要素が考慮されますか。実務上の注意点について教えてください。

この記事の結論 1 懲戒権濫用の判断基準は「職場から排除しなければならないほど職場秩序を阻害したか」。3要素を総合考慮 考慮される主な要素は①規律違反行為の態様(業務命令違反・職務専念義務違反・信用保持義務違反等)②程度・回数③改善の余地の有無の3つです。就業規則の懲戒事由に形式的に該当するだけでは足りません。 2 書面による注意指……

就業規則の懲戒解雇事由に該当していても、懲戒解雇が無効になることはありますか。懲戒権濫用法理について教えてください。

この記事の結論 1 就業規則の懲戒解雇事由への該当は必要条件にすぎない。懲戒権濫用法理(労契法15条)という第二の壁がある 懲戒が客観的合理的理由を欠くか社会通念上相当でない場合は、就業規則の事由に形式的に該当していても懲戒権濫用として無効となります。就業規則の懲戒事由該当性と懲戒権濫用の有無という二段階審査が必要です。 2 懲戒解……

戒告後に、同一の理由で懲戒解雇をすることはできますか。「一事不再理」の原則と二重処分のリスクについて教えてください。

この記事の結論 1 懲戒処分は「一度きりの最終回答」。同一の非違行為への二重処分は原則として認められない(一事不再理) 戒告を出した時点で、その事実に対する懲戒権行使は完了します。「やはり重大だった」「反省していない」という後付けの理由で処分を重くすることは、二重処分として無効と判断される可能性が高いです。 2 「まず軽い処分で様子……

懲戒解雇では無効リスクが高い場合に、普通解雇を選ぶ際にはどのような対応が必要ですか。

この記事の結論 1 懲戒解雇の無効リスクが高い場合は①普通解雇を選択するか②解雇通知書に予備的普通解雇を明記すること 懲戒解雇のみに踏み切ることは非常に危険です。懲戒解雇が無効となった後に普通解雇として救済される余地がなくなると、会社は極めて厳しい状況に置かれます。 2 訴訟中に懲戒解雇の有効性に疑義が生じた場合も予備的普通解雇の意……

懲戒解雇の意思表示は、普通解雇の意思表示でもあるといえますか。岡田運送事件と実務対応について教えてください。

この記事の結論 1 懲戒解雇の意思表示が普通解雇を内包するかは事案ごとの解釈問題。懲戒解雇のみが明らかな場合は内包不認 一般論で「認められる・認められない」と断定できません。懲戒解雇のみを行ったことが明らかな場合は、普通解雇であれば有効な事案でも普通解雇の意思表示の内包は認められません。 2 実務上の最善策は解雇通知書に「懲戒解雇と……

懲戒解雇後に判明した非違行為を、懲戒理由として追加することはできますか。山口観光事件判決と対応策について教えてください。

この記事の結論 1 懲戒当時に認識していなかった非違行為は原則として後から追加できない(山口観光事件・最高裁平成8年) 懲戒解雇後に判明した非違行為は、特段の事情のない限り懲戒解雇の有効性を根拠付けられません。普通解雇では原則として追加主張が認められる傾向にある点と大きく異なります。 2 最善の予防策は懲戒解雇前の徹底した事実調査。……

就業規則がなくても懲戒解雇はできますか。フジ興産事件判決と実務対応について教えてください。

この記事の結論 1 原則として就業規則への懲戒事由の規定と周知がなければ懲戒解雇できない(フジ興産事件・最高裁平成15年) 重大な企業秩序違反行為があっても、就業規則に懲戒の種類・事由を定めて周知していなければ懲戒解雇はできません。「就業規則はあるが従業員に配っていない」では周知要件を満たしません。 2 根拠規定が一切ない場合は普通……

懲戒解雇の有効性は、どのような項目で判断されますか。4つの検討項目と実務上の注意点について教えてください。

この記事の結論 1 懲戒解雇の有効性は4項目すべての検討が必要。就業規則の懲戒事由への該当は必要条件にすぎない ①就業規則の懲戒解雇事由への該当②懲戒権濫用(労契法15条)の有無③解雇予告義務(労基法20条)の遵守④解雇制限事由への非該当、の4項目すべての検討が必要です。事由に該当するだけでは不十分です。 2 懲戒権濫用の壁が特に高……

懲戒解雇とは何ですか。定義・普通解雇との違い・退職金の取り扱いについて教えてください。

この記事の結論 1 懲戒解雇は制裁としての最も重い懲戒処分。就業規則の懲戒事由への該当が絶対的前提 使用者の懲戒権の発動による制裁罰として企業秩序に違反した労働者に行われる解雇です。就業規則がない・懲戒事由の規定がない・規定に該当しない場合は懲戒解雇として行うことは原則としてできません。 2 退職金の不支給・減額には就業規則・退職金……

問題社員を解雇するために整理解雇を装うことには、どのような危険がありますか。

この記事の結論 1 安易な「理由のすり替え」は多額の未払賃金リスクを招く。実態に即した解雇事由で勝負することが王道 能力不足・勤務態度不良が真の理由なのに整理解雇を装うことは、自ら敗訴の証拠を作る行為に等しいです。虚偽の整理解雇は、裁判所において「解雇権の濫用」と容易に判断される原因となります。 2 改善指導のプロセスを証拠として残……

整理解雇に臨む際のスタンスとは何ですか。合意退職を中心に据えるべき理由について教えてください。

この記事の結論 1 整理解雇は合意退職が成立しない場合の「例外的手段」。合意退職の追求を中心に据えることが基本スタンス 丁寧な説明と退職条件への配慮により合意退職(希望退職募集・退職勧奨)を目指すことを優先し、整理解雇は誠意ある交渉によっても合意退職が成立しない場合に限定して実施するというスタンスが重要です。 2 合意退職の優先は解……

整理解雇における「手続の相当性」とは何ですか。説明・協議の進め方と記録について教えてください。

この記事の結論 1 労働協約に協議義務がある場合は協議なしで原則無効。ない場合でも信義則上の説明・協議義務がある まず自社の労働協約に整理解雇前の組合協議義務が定められているかを確認することが第一歩です。組合がない場合も、裁判所は整理解雇の必要性・時期・規模・方法について誠実に説明・協議すべき信義則上の義務を負うとする傾向にあります。 2 ……

整理解雇における「人選の合理性」とは何ですか。選定基準の設定と文書化について教えてください。

この記事の結論 1 人選の合理性は「基準の合理性」と「基準適用の合理性」の二段階審査。いずれかが欠けても無効リスクがある 第一の「人選基準の合理性」は使用者の恣意が入らない客観的なものであること、第二の「基準適用の合理性」は設定した基準が実際に公正に適用されたこと、の両方が必要です。基準を設定しても恣意的に運用すれば合理性が否定されます。 2……

整理解雇における「解雇回避努力」とは何ですか。具体的な措置の種類と記録の重要性について教えてください。

この記事の結論 1 解雇回避努力は4要素の中で裁判所が最も重視。「検討」すらしていないと要素が否定される 整理解雇をめぐる紛争では解雇回避努力の不足が無効原因として指摘されるケースが最も多く見られます。すべての措置を実施しなければならないわけではありませんが、少なくとも「どのような措置が可能か」を検討し、その事実を記録しておくことが必要です。 ……

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