ワード:「労働問題」

労働者が業務時間外に刑事事件を起こした場合、懲戒処分できますか。

この記事の結論 1 懲戒事由該当性と社会通念上の相当性の両方が必要 業務時間外の刑事事件であっても、直ちに懲戒処分できるわけではなく、①懲戒事由に該当すること、②客観的に合理的な理由があり社会通念上相当であること(労契法15条)が必要です。 2 会社の社会的評価への重大な悪影響があれば規制が及ぶ 会社の社会的評価に重大な悪影響を与……

所持品検査拒否を理由とする懲戒処分の有効性の判断基準を教えてください。

この記事の結論 1 4つの要素で総合的に判断される 所持品検査拒否を理由とする懲戒処分の有効性は、①検査を必要とする合理的な理由、②妥当な方法・程度、③画一的な実施、④就業規則等の明示の根拠を基準に判断されます。 2 恣意的・個別的な検査は問題になりやすい 特定の労働者だけを対象にした恣意的な検査や、就業規則の根拠なく行う検査は、……

普通解雇の理由を後で追加することはできますか。

この記事の結論 1 解雇当時に存在した理由であれば普通解雇では追加できる 普通解雇した当時に存在していた理由であれば、追加することができるとされています。 2 懲戒解雇は制裁罰であるため理由の追加はできない 懲戒解雇は普通解雇とは異なり労働者に対する制裁罰であるため、懲戒処分の有効性はその理由とされた事実との関係においてのみ判断さ……

突然行方不明になった労働者との労働契約を終了させるためには、どのような方法が考えられますか。

この記事の結論 1 当然退職規定と長期無断欠勤による懲戒解雇の2つの方法がある 労働者が突然行方不明になった場合、労働契約を終了する方法は、①就業規則の当然退職規定による退職、②長期無断欠勤による懲戒解雇の2つが考えられます。 2 当然退職規定は意思表示の到達が不要な点で実務上有利 当然退職規定は解雇の意思表示を到達させる必要がな……

退職勧奨により労働者が退職届を提出したにもかかわらず、退職の意思表示が取り消されることはありますか。取り消されないためには、どのような点に配慮するべきですか。

この記事の結論 1 署名押印のある退職届でも取り消される恐れがある 退職勧奨の結果、労働者が自ら署名押印のある退職届を提出した場合であっても、民法の一般原則に基づいて、退職の意思表示が強迫や詐欺によるものであることを理由に取り消される恐れがあります(民法96条1項)。 2 無理強い・恐怖の惹起・虚偽の事実の提示を避ける 強迫による……

業績が悪くても就業規則に賞与を支給すると規定している場合は、必ず賞与を支給しなければならないのでしょうか。

 賞与の支給条件が、就業規則、労働協約又は労働契約等によりあらかじめ明記されている場合には、支給条件どおりの賞与を支払しなければなりません。例えば、「賞与年2回、3か月分」と規定している場合は、どんなに業績が悪くても、年2回、3か月分の賞与を支払わなくてはなりません。
 会社の業績が悪い時や、社員の勤務成績等が悪く賞与を支給するに値しない時等のために、例えば、次のように規定することを……

雇止め法理とはどういうものですか。

この記事の結論 1 有期契約でも、一定の場合は解雇権濫用法理が類推適用される 民法上は期間満了により契約関係が当然に終了しますが、判例は、一定の場合に解雇権濫用法理を類推適用し、合理的理由のない雇止めを無効と判断してきました。この「雇止め法理」は労働契約法19条として条文化されています。 2 2つの類型のいずれかに該当し、拒絶に合理……

有期労働契約の期間の上限と下限を教えてください。

この記事の結論 1 上限は原則3年、例外的に5年や上限なしとなる場合がある 有期労働契約の期間の上限は、原則3年です。ただし、一定の事業完了に必要な期間を定める場合、高度専門職の場合は5年、満60歳以上の労働者との契約には上限がありません。 2 下限に法令上の制限はないが、使用者には配慮義務がある 有期労働契約の期間の下限について……

高年法は継続雇用制度における労働条件について規定を設けていますか。

この記事の結論 1 継続雇用の労働条件は、使用者と労働者の合意に委ねられている 高年法は、継続雇用制度における労働条件について、何ら規定していません。そのため、継続雇用における労働条件は、使用者と労働者の合意に委ねられており、就業場所も定年時のものに拘束されません。 2 あまりに不利な条件の提示は、不法行為責任を生じ得る 従前の労……

高年法について知っておくべきポイントを教えてください。

この記事の結論 1 65歳未満定年の事業主は、3つの措置のいずれかを講じる必要がある 定年を65歳未満と定めている事業主は、65歳までの安定した雇用を確保するため、①定年の引き上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければなりません。多くの会社が②の継続雇用制度を採用しています。 2 解雇事由と同様の事……

在職中及び退職後の秘密保持義務についての留意点を教えてください。

この記事の結論 1 在職中は、規定がなくても当然に秘密保持義務を負う 在職中の労働者は、労働契約の付随義務として、使用者の営業上の秘密を保持すべき義務を負っています。この義務は、就業規則や個別合意がなくても発生すると考えられています(メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ事件、東京地裁平成15年9月17日判決)。 2 退職後……

退職勧奨をした際に退職を強要したとして慰謝料請求が認められた事例には、どのようなものがありますか。

この記事の結論 1 社会的相当性を逸脱した退職勧奨には損害賠償義務が生じる 退職勧奨自体は事実行為であり、使用者がこれを行うかは基本的に自由です。しかし、社会的相当性を逸脱した態様での半強制的ないし執拗な退職勧奨行為が行われた場合には、使用者は不法行為に基づく損害賠償義務を負います。 2 頻度・言動・懲戒可能性の示唆等が違法性の判断……

退職勧奨とはどういうものですか。

この記事の結論 1 退職勧奨は、自発的な退職意思の形成を促す単なる事実行為 退職勧奨とは、使用者が労働者に対して辞職や労働契約の合意解約の承諾を促すことをいいます。裁判所は、退職勧奨は法律に根拠を持つ行政行為ではなく、単なる事実行為であると述べています(下関商業高校事件、最高裁一小昭和55年7月10日判決)。 2 個別面談を通じて行……

解雇の規制にはどのようなものがありますか。

この記事の結論 1 業務上災害の療養中・産前産後休業中は解雇できない 業務上災害による療養のための休業期間、産前産後休業期間およびその後30日間は、その労働者を解雇することはできません。打切補償を支払えば解雇制限は解除され、労災保険給付を受ける労働者もその対象になります(専修大学事件、最高裁平成27年6月8日判決)。 2 組合活動・……

労基法では解雇予告義務・解雇予告手当についてどのように定められていますか。

この記事の結論 1 解雇は30日前の予告か、30日分以上の予告手当が必要 使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告しなければならず、予告しない場合には、解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。 2 除外認定がなくても、客観的に除外事由があれば予告手当は不要 やむを得ない事由や労働者……

情報漏洩、兼業、競業行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

この記事の結論 1 企業情報の漏洩は、企業秩序を現実に侵害する場合に懲戒事由となる 業務上知り得た情報を、職務と密接に関連する形で外部に発信する行為は懲戒事由となり得ます。SNSでの漏洩がインターネット上で炎上し、企業秩序を侵害するケースも増えています。 2 兼業は労務支障や秘密漏洩のおそれがあれば禁止でき、競業行為はより厳格 兼……

企業内政治活動・組合活動を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

この記事の結論 1 就業時間中の政治活動は原則懲戒処分の対象、時間外は特別の事情が問題になる 就業時間中の政治活動は職務専念義務に違反するため原則として懲戒処分が肯定されます。終業時間外の活動は、企業秩序を乱すおそれのない特別の事情がある場合には就業規則違反になりません(目黒電報電話局事件、最高裁昭和52年12月13日判決)。 2 ……

経歴詐称を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

この記事の結論 1 重要な経歴の詐称は、懲戒事由該当性が肯定される 経歴詐称は、使用者と労働者間の信頼関係を壊し、労働力の評価を誤らせるものであることから、詐称された経歴が最終学歴や職歴など重要なものであれば、懲戒事由該当性が肯定されます(スーパーバッグ事件、最高裁平成3年9月19日判決)。 2 質問への虚偽回答は詐称、聞かれなかっ……

職務規律違反・不正行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

この記事の結論 1 セクハラ・パワハラを理由とする厳格な懲戒処分が認められやすくなっている 被害者が抗議や申告を差し控えることが少なくない事情を、加害者に有利に斟酌するのは相当でないとして、セクハラを理由とする出勤停止処分を有効とした最高裁判例があります(L館事件、最高裁平成27年2月26日判決)。 2 不正行為は企業の信用失墜を招……

職務懈怠を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

この記事の結論 1 精神的不調による欠勤には、健康診断等の対応を先行させる必要がある 精神的な不調のために欠勤を続けている社員には、健康診断を実施し、診断結果に応じて治療を勧めた上で休職等を検討すべきであり、これを怠った無断欠勤扱いの懲戒処分は無効とされます(日本ヒューレットパッカード事件、最高裁平成24年4月27日判決)。 2 業……

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