労働問題819 有期労働契約の期間の上限と下限を教えてください。
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上限は原則3年、例外的に5年や上限なしとなる場合がある 有期労働契約の期間の上限は、原則3年です。ただし、一定の事業完了に必要な期間を定める場合、高度専門職の場合は5年、満60歳以上の労働者との契約には上限がありません。 |
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下限に法令上の制限はないが、使用者には配慮義務がある 有期労働契約の期間の下限については、法令上制限はありません。ただし、使用者には、必要以上に短い期間を定めることで反復更新することのないよう配慮する義務があります(労契法17条)。 |
目次
アルバイト、契約社員、嘱託など、様々な形態の有期契約労働者を雇用する会社にとって、契約期間の上限・下限のルールを正確に理解しておくことは、労務管理の基本です。
会社側専門の弁護士の立場から、有期労働契約の期間の上限と下限を解説します。
01有期労働契約とは
有期労働契約とは、期間の定めのある労働契約のことをいいます。アルバイト、契約社員、嘱託等、様々な名称がありますが、期間の定めのあるものは、全て有期労働契約です。なお、定年はここでいう「期間の定め」には当たりません。
02期間の上限(原則3年)
有期労働契約の期間の上限は、次の①〜③の例外を除き、3年です。ただし、この上限期間は、契約の更新を禁止・制限する趣旨ではありません。3年を超えて雇用を継続したい場合には、契約を更新することで対応できます。
03上限の例外①(事業完了に必要な期間)
一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの(労基法14条1項)については、「必要な期間」が契約の期間の上限となります。厚生労働省は、「例えば4年間で完了する土木工事において、技師を4年間の契約で雇い入れる場合のごとく、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかな場合であり、その事業の終期までの期間を定めて契約することが必要である」としています。
04上限の例外②(高度専門職・5年)
厚生労働大臣が定める基準に該当する高度の専門的知識、技術、又は経験を有する労働者が、当該専門的知識を必要とする業務に就く場合、有期労働契約の上限は5年となります。厚生労働大臣が定める基準に該当する高度の専門的知識等とは、概ね次のとおりです。
- 博士の学位を有する者
- 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士のいずれかの資格を有する者
- システムアナリスト、アクチュアリーの資格試験に合格した者
- 特許発明の発明者、登録意匠を創作した者または登録品種を育成した者
- 農林水産業・鉱工業・機械・電気・土木・建築に関する技術者、システムエンジニア、デザイナーであって、大学卒業後5年、短期大学、高等専門学校卒業後6年、高等学校卒業後7年以上従事した経験を有する者、またはシステムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントであって、年収1075万円以上の者
- 国、地方公共団体、公益法人等によりその有する知識、技術又は経験が優れたものであると認定されている者
05上限の例外③(60歳以上)
満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約については、期間の上限自体がありません。高年齢者の雇用実態に配慮した例外規定です。817・818の記事で解説した継続雇用制度のもとで再雇用される労働者との契約においても、この例外が適用されます。
06期間の下限と配慮義務
有期労働契約の期間の下限については、法令上制限はありません。ただし、使用者には、有期労働契約を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならないという、配慮義務があります(労契法17条)。この配慮義務に違反したとしても、その期間の定めや有期労働契約そのものが無効となるわけではありませんが、雇止めの相当性判断において、一要素となり得ると考えられます。
07会社側が押さえておくべき視点
会社側が有期労働契約を締結する際には、まず、対象となる労働者が高度専門職や60歳以上の特例に該当するかを確認し、該当しなければ、3年という上限を超えないよう契約期間を設定する必要があります。
期間の下限については法令上の制限はないものの、極端に短い期間(1か月など)を設定して頻繁に更新を繰り返すような運用は、配慮義務違反として、後の雇止めの場面で不利な事情として考慮されるリスクがあります。業務の実態に見合った、合理的な期間設定を心がけることが望ましいといえます。
08よくある質問(FAQ)
Q. 有期労働契約は、5年を超えて締結できますか。
原則として3年、高度専門職は5年が上限です。ただし、満60歳以上の労働者との契約や、一定の事業完了に必要な期間を定める契約には、これらの上限が適用されません。
Q. 契約期間を1か月にして毎月更新することは問題ありませんか。
法令上の下限制限はありませんが、必要以上に短い期間を定め反復更新することのないよう配慮する義務があります(労契法17条)。違反すると雇止めの相当性判断で不利な事情になり得ます。
Q. 3年を超える有期契約を結びたい場合、どうすればよいですか。
上限は更新を制限する趣旨ではないため、3年ごとに契約を更新することで対応できます。高度専門職や60歳以上の特例に該当すれば、単発でより長い期間の契約を締結することも可能です。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。有期労働契約の管理でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日