労働問題817 高年法について知っておくべきポイントを教えてください。
平成24年の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年法」という)の改正により、定年を65歳未満と定めている事業主は、雇用する65歳までの安定した雇用を確保するため、①定年の引き上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければならないとされました。中小企業では定年制を設けていない会社も少なくありませんが、大企業では、65歳までの定年制延長は賃金に見合った高齢者の能力を正確に識別できないとして採用せず、多くの会社が、60歳以上の高齢者の賃金を圧縮するため、60歳定年と再雇用を組み合わせた、②継続雇用制度を導入していると言われています。
「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」は、継続雇用制度について、次のとおり定めており、労働契約法16条の解雇事由と同様の事情がない限り、使用者は、継続雇用を拒否することはできません。
高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針
第2(2)継続雇用制度
心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職務を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しないことができる。
就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることもできる。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは、改正法の趣旨を没却するおそれがあることに留意する。
ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意する。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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