ワード:「労働問題」

懲戒処分として減給を行う場合、要件と上限額はどのようになりますか。

この記事の結論 1 就業規則の規定と懲戒権濫用法理の充足が前提となる 減給を行うには、就業規則に懲戒事由と懲戒処分の種類として「減給」が明記されていることが必要です(労基法89条)。客観的合理的理由がなく社会通念上相当と認められない場合には懲戒権の濫用として無効となります(労契法15条)。 2 1回の減給は平均賃金半日分、月の総額は……

労働審判手続中に会社更生手続が開始した場合、手続はどのように取り扱われますか。

この記事の結論 1 労働審判は原則として中断されず更生管財人が承継する 会社更生手続が開始した場合も、係属中の労働審判手続は原則として中断されません。更生管財人が手続を承継し、当事者の地位に就くことになります。 2 共益債権か優先的更生債権かで手続の進め方が異なる 共益債権(会社更生法130条)に当たる賃金は労働審判の審理が続行さ……

労働審判手続中に会社が破産した場合、手続はどのように取り扱われますか。

この記事の結論 1 労働審判は原則として中断されない 民事訴訟とは異なり、労働審判手続は破産手続が開始されても原則として中断されません(労働審判法第24条等参照)。ただし、請求の内容によって以後の手続の進め方が変わります。 2 財団債権か優先的破産債権かで手続の進め方が異なる 財団債権に当たる賃金は破産管財人が手続を承継して審判が……

降格をするには就業規則上の根拠が必要ですか。

この記事の結論 1 降格の種類によって就業規則上の根拠の要否が異なる 降格は4つの類型(懲戒処分としての降格、人事権による役職・職位の降格、職能資格の引下げ、職務・役割等級の引下げ)に分けられ、それぞれ就業規則上の根拠の要否が異なります。 2 職能資格の引下げは根拠規定が必須、他は原則不要 職能資格制度上の資格・等級は本来引下げが……

降格にはどのようなものがありますか。

 降格について法律上の定義はありませんが、一般的には、懲戒処分としての降格と、業務命令としての降格に分類されます。
 懲戒処分としての降格は、懲戒処分に対する法規制を受け、その要件と効果について就業規則で定められていることが必要です。
 業務命令としての降格は、人事権の行使として行われるものですから、就業規則の根拠は必ずしも必要とせず、使用者が業務命令や人事に関して有す……

出勤停止による無給は労基法91条に反しますか。

この記事の結論 1 出勤停止の無給はノーワークノーペイの結果 出勤停止による無給は、労働者が出勤停止処分によって労務提供しないことの結果(いわゆるノーワークノーペイ)ですので、減給処分による賃金減額とは異なります。 2 労基法91条は減給処分の上限を定めるにとどまる 労基法91条は減給処分における減額の上限を定めるものであり、出勤……

就業規則に「懲戒解雇の場合、退職金は不支給とする。」と定めておけば、懲戒解雇する労働者に退職金を支給しなくてもよいですか。

この記事の結論 1 規定があるだけでは不支給にできない 退職金には賃金の後払いという側面があるため、就業規則で不支給規定を定めていても、労働者が積み上げてきた労務提供に対する対価が否定されるような事情がなければ、不支給にすることはできません。 2 永年の勤続の功を抹消するほどの重大な不信行為が必要 裁判例では「永年の勤続の功を抹消……

従業員が10人未満の場合に就業規則を作成する必要はありますか。

 常時働いている労働者が10人未満であれば、労基法上、使用者は就業規則作成義務を負いませんので、就業規則を作成・届出をしなくても労基法違反にはなりません。
 しかし、懲戒処分をするためには就業規則に規定を設けて周知させる必要がありますし、就業規則に労働時間や賃金等の労働条件を画一的、統一的に定めることができますので、労働者が10人未満の会社であっても就業規則を作成することをお勧めしま……

兼業・副業が発覚した労働者を懲戒処分することはできますか。

この記事の結論 1 兼業・副業自体は懲戒処分の対象にならないのが原則 兼業・副業は、労働時間外の私生活上の行為ですので、労働契約における規律・秩序を保持するための制裁である懲戒処分の対象とはならないのが原則です。 2 一定の弊害があれば注意指導を経て懲戒処分を検討する 無許可兼業、頻繁な欠勤、業務への支障、競業会社の役員就任等の場……

労働者が業務時間外に刑事事件を起こした場合、懲戒処分できますか。

この記事の結論 1 懲戒事由該当性と社会通念上の相当性の両方が必要 業務時間外の刑事事件であっても、直ちに懲戒処分できるわけではなく、①懲戒事由に該当すること、②客観的に合理的な理由があり社会通念上相当であること(労契法15条)が必要です。 2 会社の社会的評価への重大な悪影響があれば規制が及ぶ 会社の社会的評価に重大な悪影響を与……

所持品検査拒否を理由とする懲戒処分の有効性の判断基準を教えてください。

この記事の結論 1 4つの要素で総合的に判断される 所持品検査拒否を理由とする懲戒処分の有効性は、①検査を必要とする合理的な理由、②妥当な方法・程度、③画一的な実施、④就業規則等の明示の根拠を基準に判断されます。 2 恣意的・個別的な検査は問題になりやすい 特定の労働者だけを対象にした恣意的な検査や、就業規則の根拠なく行う検査は、……

普通解雇の理由を後で追加することはできますか。

この記事の結論 1 解雇当時に存在した理由であれば普通解雇では追加できる 普通解雇した当時に存在していた理由であれば、追加することができるとされています。 2 懲戒解雇は制裁罰であるため理由の追加はできない 懲戒解雇は普通解雇とは異なり労働者に対する制裁罰であるため、懲戒処分の有効性はその理由とされた事実との関係においてのみ判断さ……

突然行方不明になった労働者との労働契約を終了させるためには、どのような方法が考えられますか。

この記事の結論 1 当然退職規定と長期無断欠勤による懲戒解雇の2つの方法がある 労働者が突然行方不明になった場合、労働契約を終了する方法は、①就業規則の当然退職規定による退職、②長期無断欠勤による懲戒解雇の2つが考えられます。 2 当然退職規定は意思表示の到達が不要な点で実務上有利 当然退職規定は解雇の意思表示を到達させる必要がな……

退職勧奨により労働者が退職届を提出したにもかかわらず、退職の意思表示が取り消されることはありますか。取り消されないためには、どのような点に配慮するべきですか。

この記事の結論 1 署名押印のある退職届でも取り消される恐れがある 退職勧奨の結果、労働者が自ら署名押印のある退職届を提出した場合であっても、民法の一般原則に基づいて、退職の意思表示が強迫や詐欺によるものであることを理由に取り消される恐れがあります(民法96条1項)。 2 無理強い・恐怖の惹起・虚偽の事実の提示を避ける 強迫による……

業績が悪くても就業規則に賞与を支給すると規定している場合は、必ず賞与を支給しなければならないのでしょうか。

 賞与の支給条件が、就業規則、労働協約又は労働契約等によりあらかじめ明記されている場合には、支給条件どおりの賞与を支払しなければなりません。例えば、「賞与年2回、3か月分」と規定している場合は、どんなに業績が悪くても、年2回、3か月分の賞与を支払わなくてはなりません。
 会社の業績が悪い時や、社員の勤務成績等が悪く賞与を支給するに値しない時等のために、例えば、次のように規定することを……

雇止め法理とはどういうものですか。

この記事の結論 1 有期契約でも、一定の場合は解雇権濫用法理が類推適用される 民法上は期間満了により契約関係が当然に終了しますが、判例は、一定の場合に解雇権濫用法理を類推適用し、合理的理由のない雇止めを無効と判断してきました。この「雇止め法理」は労働契約法19条として条文化されています。 2 2つの類型のいずれかに該当し、拒絶に合理……

有期労働契約の期間の上限と下限を教えてください。

この記事の結論 1 上限は原則3年、例外的に5年や上限なしとなる場合がある 有期労働契約の期間の上限は、原則3年です。ただし、一定の事業完了に必要な期間を定める場合、高度専門職の場合は5年、満60歳以上の労働者との契約には上限がありません。 2 下限に法令上の制限はないが、使用者には配慮義務がある 有期労働契約の期間の下限について……

高年法は継続雇用制度における労働条件について規定を設けていますか。

この記事の結論 1 継続雇用の労働条件は、使用者と労働者の合意に委ねられている 高年法は、継続雇用制度における労働条件について、何ら規定していません。そのため、継続雇用における労働条件は、使用者と労働者の合意に委ねられており、就業場所も定年時のものに拘束されません。 2 あまりに不利な条件の提示は、不法行為責任を生じ得る 従前の労……

高年法について知っておくべきポイントを教えてください。

この記事の結論 1 65歳未満定年の事業主は、3つの措置のいずれかを講じる必要がある 定年を65歳未満と定めている事業主は、65歳までの安定した雇用を確保するため、①定年の引き上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければなりません。多くの会社が②の継続雇用制度を採用しています。 2 解雇事由と同様の事……

在職中及び退職後の秘密保持義務についての留意点を教えてください。

この記事の結論 1 在職中は、規定がなくても当然に秘密保持義務を負う 在職中の労働者は、労働契約の付随義務として、使用者の営業上の秘密を保持すべき義務を負っています。この義務は、就業規則や個別合意がなくても発生すると考えられています(メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ事件、東京地裁平成15年9月17日判決)。 2 退職後……

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