ワード:「労働問題」

労働組合との労働協約で賃金を変更した場合、その効力は組合員に及びますか。

この記事の要点 ✓ 労働協約の規範的効力(労組法16条)により、会社と労働組合が合意した賃金の定めは個々の労働契約に優先して適用される 個別合意・就業規則変更と並ぶ3つの賃金変更手法の中で、最も強い法的効力を持ちます(368番参照) ✓ 組合員個人が賃金減額に反対していても、適法に締結された労働協約の効力は原則としてその組合員にも及……

賃金減額について労働者の同意があれば、有効になりますか。

この記事の要点 ✓ 使用者が一方的に賃金を引き下げることは原則としてできない——賃金減額には法的に認められた3つの手法のいずれかが必要 「経営上必要だから」という理由だけで賃金を下げると、無効として差額の未払賃金請求を受けるリスがあります ✓ 3つの方法は①労働協約の締結、②就業規則変更(労働契約法10条)、③個別合意——それぞれ法……

飲食店における手待時間は、労働時間として残業代の計算に含める必要がありますか。

この記事の要点 ✓ 「客がいない時間は休憩でよい」と指示していても、来客時に直ちに対応する義務がある以上、その時間は原則として残業代(割増賃金)計算の対象となる労働時間に当たる 実作業がないことと、労働時間でないこととは別問題です ✓ 法的に「休憩時間」と認められるためには、労働者が使用者の指揮命令から離れ、自由に時間を使える状態(……

飲食業で残業代(割増賃金)請求が多発する理由と、会社が講じるべき対策を教えてください。

この記事の要点 ✓ 「飲食業だから払えない」「昔からこのやり方で問題にならなかった」は法的に一切通用しない——労基法は業種を問わず一律に適用される 裁判所は経営事情よりも法令遵守の有無を基準に判断します ✓ 飲食業は長時間労働・深夜労働・固定残業代の設計不備という三重の構造から、残業代請求が高額化しやすい——「月数万円」が「数百万円……

ドライバーから「給料日前にお金を貸してほしい」と言われた場合、会社はどのように対応すればよいですか。

結論 ドライバーへの金銭貸付は、会社側弁護士の立場からは原則としてお勧めできません。貸付は「回収不能リスク」「関係悪化リスク」「残業代請求誘発リスク」という三重のリスクを抱えており、返済を求めた途端に残業代請求という反撃を受けることが実務上珍しくありません。どうしても対応するなら、貸付ではなく給与前払いという整理を検討してください。 目次 01 運送業で起こりがちな……

運送業で日当制を採用している場合、休日労働や深夜労働の割増賃金はどのように算定すればよいですか。

この記事の要点 ✓ 日当制を採用している場合でも、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金の支払義務は免除されない 賃金形態が日当制であっても、労基法の割増賃金規定(37条)はそのまま適用されます ✓ 休日に支払った「日当」が通常賃金相当額なのか休日労働の対価なのかを整理しないと、割増賃金の計算が狂う 月給制の感覚をそのまま日当制に……

定額残業代の比率は、どれくらいまで許されますか。

この記事の要点 ✓ 月例賃金に占めるみなし残業代(定額・固定残業代)の比率と有効性との間に論理必然の関係はない——比率が高ければ必ず無効とはいえないが、実務上のリスクは比率に連動して上がる 「比率が高ければ無効」ではないが、高くなるほど複数のリスクが増大します ✓ 脳・心臓疾患や精神疾患を発症した場合に労災認定されやすい長時間労働(……

組み込み型の定額残業代は、どのような場合に有効ですか。

この記事の要点 ✓ 最低限、賃金規程等への定め(または個別合意書への記載)が必要——口頭説明のみでは定額残業代として認められない 「口頭で説明した」だけでは労働契約の内容になっているとは認められないのが通常です ✓ 通常の賃金部分と定額残業代部分が「判別可能」である必要がある——判別できなければ残業代の支払があったとは認められない(……

社員全員が納得していれば、残業代は支払わなくてよいですか。

「社員から文句が出ていない」は安全の根拠にはなりません 残業代(割増賃金)込みで月給30万円等と約束しており、社員から文句が全く出ていないからといって、残業代に相当する金額を特定していなくても未払残業代の請求を受けるはずはないと思い込んでいる会社経営者がいらっしゃいますが、甘い考えと言わざるを得ません。本記事では、この思い込みが生じる理由と現実のリスクを解説します。 目次 ……

金額を特定しない残業代込みの合意は、有効ですか。

この記事の要点 ✓ 残業代に当たる部分の額を特定せずに合意・署名押印させても、通常の賃金と残業代の各部分が計算・検証できないため、残業代の支払があったとは認められない 「月給に残業代が含まれる」と口頭・書面で合意しても、金額の特定がなければ無効です ✓ モルガン・スタンレー・ジャパン(超過勤務手当)事件東京地裁H17.10.19判決……

高い給与を払っていれば、残業代は別途不要と言えますか。

この記事の要点 ✓ 高額の基本給・手当・賞与の支給は残業代の支払の代わりにはならない——別途残業代(割増賃金)の支払義務が生じる 「十分な報酬で報いているから残業代は別途不要」という考えは法律上通用しません ✓ むしろ、毎月の基本給等の金額が上がれば残業代の単価が上がることになり、かえって高額の残業代請求を受けるリスクが高くなる ……

年俸制の社員にも、残業代を支払う必要はありますか。

この記事の要点 ✓ 年俸制の社員も労基法上の労働者であり、時間外・休日・深夜に労働させた場合は残業代(割増賃金)を支払う必要がある 「年俸制=残業代不要」は法律上の根拠がない誤解です ✓ 労基法上、年俸制社員について残業代(割増賃金)の支払義務を免除する規定は存在しない 賃金の算定・支払方法が「年俸制」であることは、残業代免除の根……

残業代を支払わないという就業規則の定めは、有効ですか。

この記事の要点 ✓ 就業規則は労基法に違反してはならない(労基法92条1項)——残業代を支払わない旨の就業規則の定めは、労基法37条に違反するため無効 「就業規則に書けば合法になる」という誤解は法律上通用しません ✓ 労基法違反の就業規則はその部分に関して無効となり、無効となった部分は労基法が適用される(労契法13条) 「就業規則……

残業代不要の誓約書に署名させても、残業代は必要ですか。

この記事の要点 ✓ 「残業代を支払わなくても異存はない」という誓約書への署名押印があっても、残業代の支払義務は消えない 誓約書は「合意の証拠」にはなりますが、残業代支払義務を消す効力はありません ✓ 343番で解説したとおり、残業代(割増賃金)を支払わない旨の合意は労基法13条により無効——誓約書による「合意」も同様に無効 合意の……

残業代を支払わないという合意は、有効ですか。

この記事の要点 ✓ 残業代(割増賃金)を支払わない旨の合意は、たとえ労使双方が納得・合意していても無効——労基法13条の強行的効力による 「お互い合意しているから問題ない」という考えは法律上通用しません ✓ 根拠は労基法13条——「労基法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効となり、無効となった部分は……

残業代込みの月給の内訳を変更する際の注意点は何ですか。

この記事の要点 ✓ 残業代込みだった月給の内訳を変更することは、労働条件の不利益変更と判断される可能性が高い 「内訳を整理するだけ」でも、社員の側から見れば不利益になりうる変更です ✓ 使用者が一方的に社員の賃金の内訳を不利益に変更することはできない——社員から個別に同意書を取得する手続きが必要 「賃金内訳変更に関する同意書」「賃……

残業代を支払済みにするための賃金原資は、どのように確保すればよいですか。

この記事の要点 ✓ 残業代が払えなくなる最大の原因は「賃金の内訳の誤り」——本来残業代の支払に充てるべき金額を基本給・諸手当・賞与等に充ててしまっていること 「賃金総額は用意できているが内訳が間違っている」という状態です ✓ 正しい考え方は「残業代(割増賃金)は必ず支払わなければならない」ことを前提として、基本給・諸手当・賞与等の金……

自己申告制による労働時間管理は、残業代請求対策になりますか。

この記事の要点 ✓ 自己申告された労働時間が実際の労働時間と合致している場合に限り、自己申告制は残業時間の抑制・残業代請求対策として機能する 前提条件が崩れれば、制度全体の効果が失われます ✓ 自己申告された労働時間が実際の労働時間に満たない場合は、残業代請求対策としては機能せず、未払残業代が発生した状態が続く 「少なく申告してく……

タイムカードの打刻と実際の労働時間がずれる場合、どのように対応すればよいですか。

この記事の要点 ✓ タイムカードに打刻された出社時刻〜退社時刻の間の時間から休憩時間を差し引いた時間が、その日の実労働時間と認定されることが多い 「打刻時間=労働時間」として評価されるため、打刻と実態の食い違いは放置できません ✓ 打刻時間と実際の労働時間が食い違っている場合は、「①食い違いを容認してタイムカード基準で残業代を支払う……

残業の事前許可制は、残業代請求対策になりますか。

この記事の要点 ✓ 残業の事前許可制は、就業規則等に定めるだけでなく、実際に事前許可なく残業することを許さない運用がなされているのであれば、不必要な残業の抑制や残業代請求対策として機能する 「制度があること」だけでなく「実際に機能していること」が必要条件です ✓ 就業規則に定めて周知させても、実際には事前許可なく残業しているのを上司……

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