労働問題311 企画業務型裁量労働制の対象業務となり得ない業務の例を教えて下さい。
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企画業務型裁量労働制の対象業務となり得ない業務の例は6つ——会議の庶務・人事記録等の作成・経理事務・広報誌校正・個別の営業活動・個別の製造作業等 これらは、309番の4要件(特に要件(1)「事業の運営に関する事項」・要件(2)「企画・立案・調査・分析」)を満たしません |
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対象業務となり得ない業務の共通特徴は「既存の手順・基準に従って行う定型的・ルーティン的な業務」または「個別の業務実施に関する業務」であること 「調査・分析+企画・立案」という創造的な業務ではなく、手順通りに遂行する業務が該当します |
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同じ部署に所属していても、担当する業務の内容によって対象業務に当たるかどうかが分かれる 例えば、人事部門でも「人事制度の策定(310番③)」は対象業務となり得ますが「給与計算・人事記録作成」は対象業務に当たりません |
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対象業務に当たらない業務を行っている労働者に企画業務型裁量労働制を適用した場合、適用の要件(308番の要件③)を満たさず残業代請求を受けるリスがある 「企画部に所属しているから全員に適用できる」という考えは誤りです |
目次
01企画業務型裁量労働制の対象業務となり得ない6つの業務例
309番で解説した対象業務の4要件を踏まえ、指針は企画業務型裁量労働制の対象業務となり得ない業務の例を以下のとおり示しています。
02共通特徴——なぜ対象業務に当たらないのか
上記①〜⑥はいずれも、309番の4要件のいずれか(または複数)を満たしません。その理由を整理すると以下のとおりです。
要するに、「既に決まった手順・基準に従って処理する定型的な事務業務」や「企業全体・事業場全体の方針・計画ではなく個別の案件を遂行する業務」は、企画業務型裁量労働制の対象業務には当たりません。
03対象業務となり得る例(310番)との対比
310番で解説した「対象業務となり得る例」と本記事の「対象業務となり得ない例」を部署別に対比すると、以下のように整理できます。
この対比から分かるとおり、同じ部署内でも「全体の計画・方針の策定」は対象業務となり得ますが、「個別の定型事務・個別の業務実施」は対象業務となり得ません。同じ人事部門に所属していても、業務の性格が「人事制度の策定(企画・立案)」なのか「給与計算・保険手続(定型事務)」なのかによって、対象業務かどうかが分かれます。
04まとめ
企画業務型裁量労働制の対象業務となり得ない業務の例として、①会議の庶務、②人事記録作成・給与計算・保険手続・採用研修の実施、③出納・帳簿作成・税務申告・予算決算の計算、④広報誌の校正、⑤個別の営業活動、⑥個別の製造作業・物品の買い付けが挙げられています(指針)。
これらの業務は、「定型的・ルーティン的な事務業務」または「個別の業務実施」に当たり、309番の4要件(特に「事業の運営に関する事項」・「企画・立案・調査・分析の業務」)を満たしません。対象業務に当たらない業務に従事している労働者に企画業務型裁量労働制を適用すると、308番の適用要件を欠くとして残業代請求を受けるリスがあります。自社の業務が対象業務に当たるかどうかの判断については、使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。企画業務型裁量労働制の対象業務の判断・導入支援・残業代トラブルの予防でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。アドバイスします。
Q&Aよくある質問
Q1. 企画業務型裁量労働制の対象業務に当たらない業務の例にはどのようなものがありますか。
A. 指針は、①経営に関する会議の庶務等、②人事記録の作成・給与計算・保険手続・採用研修の実施等、③出納・帳簿作成・税務申告・予算決算の計算等、④広報誌の校正等、⑤個別の営業活動、⑥個別の製造作業・物品の買い付け等——を対象業務となり得ない例として示しています。
Q2. 「個別の営業活動」が対象業務に当たらないとはどういう意味ですか。
A. 個々の顧客を担当して商品・サービスを営業する日常的な活動は、309番の要件(1)「事業の運営に関する事項」に当たらないため対象業務になりません。対象業務となり得るのは、310番⑦のように「企業全体の営業方針や全社的な営業計画を策定する」業務です。「全社的な方針・計画の策定」と「個別の営業活動の実施」は明確に区別されます。
Q3. 人事部門の社員が行う給与計算等の業務は対象業務に当たりますか。
A. 当たりません。給与の計算・支払は、既存のルール(給与規程等)に従って行う定型的な事務業務であり、「企画・立案・調査・分析」(309番の要件(2))に当たりません。同じ人事部門でも、人事制度の策定(310番③)は対象業務となり得ますが、給与計算・人事記録作成・保険手続・採用研修の実施は対象業務に当たりません。
Q4. 広報部門に所属していれば対象業務に当たりますか。
A. 自動的には当たりません。広報部門でも、効果的な広報手法等を調査・分析して広報を企画・立案する業務(310番⑥)は対象業務となり得ますが、広報誌の原稿の校正等の定型的な事務業務(本記事④)は対象業務に当たりません。同じ部署内でも担当する業務の性格で判断されます。
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最終更新日:2026年5月10日