労働問題318 行政解釈は管理監督者の範囲と賃金等の待遇面との関係についてどのように考えていますか。
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行政解釈は賃金等の待遇面も「無視し得ない」として管理監督者性の判定において考慮すべき要素の一つとしている 基本給・役付手当・ボーナス等が一般労働者に比べ優遇されているかどうかに留意するとしています |
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「一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではない」——待遇面のみで管理監督者性は認められない 「給与が高いから管理監督者」という理由だけでは認められません |
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行政解釈における3要素の検討順序:①職務内容・責任と権限 → ②勤務態様等 → (①②をクリアした場合に)③賃金等の待遇面 ③は①②の後に検討する補完的要素です(316番・317番参照) |
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①②で管理監督者として相応しくないと判断されれば、③を判断するまでもなく管理監督者には当たらない ①②が不十分であれば③(高い給与等)があっても管理監督者とはなりません |
目次
01行政解釈が示す賃金等の待遇面の位置づけ
317番で解説したとおり、行政解釈は管理監督者の範囲を判断するに当たって①職務内容・責任と権限、②勤務態様等に着目するとしています。これらに加えて、行政解釈は賃金等の待遇面についても言及しています。
行政解釈は「管理監督者であるかの判定に当たっては、上記のほか、賃金等の待遇面についても無視し得ないものであること。」としています。「無視し得ない」という表現は、賃金等の待遇面が管理監督者性の判断において無視してよい要素ではない——すなわち考慮すべき要素の一つであることを示しています。ただし、「無視し得ない」という抑制した表現からは、①②の要素が主要なものであり、③待遇はそれに次ぐ補完的な要素として位置づけられていることが読み取れます。
02賃金等の待遇面で行政解釈が留意すべきとしていること
賃金等の待遇面について、行政解釈は以下の点に留意するよう求めています。
賃金等の待遇面で留意すべき事項(行政解釈)
定期給与(基本給・役付手当等):その地位にふさわしい待遇がなされているか否か
ボーナス等の一時金:支給率・算定基礎賃金等において、役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か
「その地位にふさわしい待遇」という表現は、管理監督者としての重要な職務と責任に見合った処遇がなされているかを確認するものです。管理職として重要な業務を担い、時間外・休日割増賃金の適用除外というデメリットを受ける立場にある以上、それに見合う待遇が受けられているかどうかを確認する趣旨です。
03「優遇措置があれば管理監督者」ではない——行政解釈の明示的な留保
行政解釈は賃金等の待遇面について言及した直後に、「なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと。」としています。
この「なお」以下の記述は非常に重要です。賃金等の待遇面における優遇措置があることは、管理監督者性を認める方向の要素ではありますが、それだけでは管理監督者に当たるとはいえないことを明示したものです。
実務上の重要な注意点
「うちの部長は一般社員より給与が高いから管理監督者だ」「役付手当を支給しているから管理監督者の要件を満たしている」という理解は行政解釈と相容れません。一般労働者に比べ優遇措置が講じられているという事実は管理監督者性の判断において考慮される要素の一つに過ぎず、①職務内容・責任と権限、②勤務態様等の実態を備えていなければ管理監督者とは認められません。
04行政解釈における3要素の検討順序と待遇の位置づけ
行政解釈の「なお、」以下の部分(「実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではない」)からすれば、行政解釈は、管理職が①職務内容・責任と権限、②勤務態様等の要素をクリアした場合に初めて、③賃金等の待遇面に関し役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否かを検討しようとしているものと考えられます。
①②を検討して管理監督者に相応しくないと判断されれば、③を判断するまでもなく、管理監督者には当たらないとしているものと考えられます。
05まとめ
行政解釈は、管理監督者性の判断において賃金等の待遇面も「無視し得ない」として考慮すべき要素の一つとしています。基本給・役付手当等がその地位にふさわしい待遇かどうか、ボーナス等も一般労働者に比べ優遇されているかどうかに留意するとしています。しかし、「一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではない」とも明示しており、待遇面だけで管理監督者性は認められません。行政解釈における検討順序は①職務内容・責任と権限→②勤務態様等→③待遇面であり、①②で管理監督者として相応しくないと判断されれば③を判断するまでもなく管理監督者には当たりません。自社の管理職の管理監督者性については、使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。管理職の管理監督者性の判断・残業代の取り扱い・残業代トラブルの予防でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。アドバイスします。
Q&Aよくある質問
Q1. 賃金等の待遇面は管理監督者性の判断においてどのような位置づけですか。
A. 行政解釈は賃金等の待遇面を「無視し得ない」として考慮すべき要素の一つとしていますが、①職務内容・責任と権限、②勤務態様等の要素をクリアした場合に初めて検討する補完的な要素です。①②で管理監督者として相応しくないと判断されれば、③を判断するまでもなく管理監督者には当たりません。
Q2. 賃金等の待遇面で行政解釈が留意すべきとしているのはどのような点ですか。
A. ①定期給与(基本給・役付手当等)がその地位にふさわしい待遇かどうか、②ボーナス等の一時金の支給率・算定基礎賃金等が役付者以外の一般労働者に比べ優遇されているかどうかの2点に留意するとしています。
Q3. 「給与が高いから管理監督者」と言えますか。
A. 言えません。行政解釈は「一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではない」と明示しています。賃金等の待遇面における優遇は管理監督者性を認める方向の要素ですが、それだけで管理監督者に当たるとはいえません。①職務内容・責任と権限、②勤務態様等の実態が伴っていることが前提として必要です。
Q4. 管理監督者性の判断における3つの要素の検討順序を教えてください。
A. 行政解釈の構造からすると、①職務内容・責任と権限→②勤務態様等→(①②をクリアした場合に)③賃金等の待遇面という順序で検討するものと考えられます。①または②で管理監督者として相応しくないと判断されれば、③の検討に至ることなく管理監督者には当たらないとされます。
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最終更新日:2026年5月10日