労働問題316 行政解釈は管理監督者について労基法で定める労働時間、休憩、休日等に関する規制の適用を除外する趣旨をどのように考えていますか。
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行政解釈は、管理監督者への適用除外が認められるのは「労働時間等の規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない立場にある者」に限ると明示している 「要請されざるを得ない」という必要性の観点が重要です |
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適用除外の趣旨として行政解釈が重視するのは、主に①重要な職務と責任 ②現実の勤務態様——の2点 ③待遇にも言及はあるが、①②を③より重視しているものと思われます |
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「その範囲はその限りに、限定しなければならない」——行政解釈は管理監督者の範囲を限定的に解すべき旨を明示している 「限定する」という表現が明確に盛り込まれており、広く認める立場ではありません |
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「現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまない」という要件は実態判断を重視するものであり、「形式上は制限なし」でも実態があれば要件を満たさない 就業規則上の規定だけでなく、実際の勤怠管理の実態が重要です |
目次
01行政解釈が示す適用除外の趣旨——限定された特別な立場のみ
315番で解説したとおり、行政解釈は割増賃金支払を「すべての労働者に共通する基本原則」とした上で、管理監督者への適用除外をその「例外」と位置づけています。では、その「例外」としての適用除外がなぜ認められるのか——その趣旨について、行政解釈は次のとおり述べています。
行政解釈が示す適用除外の趣旨(概要)
「これらの職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って管理監督者として法第41条による適用の除外が認められる趣旨であること。従って、その範囲はその限りに、限定しなければならないものであること。」
02適用除外が認められる趣旨として重視される2つの要素
上記の行政解釈の記述からは、管理監督者として労基法の労働時間・休憩・休日等の規制の適用を除外する趣旨として、行政解釈が主に重視しているのは以下の2点であることを読み取ることができます。
①重要な職務と責任——「要請されざるを得ない」という必要性
「労働時間等の規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない」という表現は、単に「時々残業する」というレベルではなく、職務の性質上、労働時間規制の枠を超えて活動することが必然的に求められる立場にあることを意味します。重要な職務と責任を担っているからこそ、労働時間規制の適用除外が合理的に認められる、という趣旨です。
②現実の勤務態様——「現実の勤務態様も」という実態重視
「現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場」という表現の「も」という助詞に注目する必要があります。これは①重要な職務と責任に加えて、さらに現実の勤務態様も規制になじまないことが必要であることを示しています。就業規則上「出退勤の自由あり」と規定されていても、実態として上司が細かく勤怠を管理している場合は、②の要件を満たさない可能性があります。
03「その範囲はその限りに、限定しなければならない」の意味
行政解釈は「従って、その範囲はその限りに、限定しなければならないものであること」と明示しています。この記述は、①重要な職務と責任、②現実の勤務態様という2要素を備えた者に限ってのみ適用除外を認めるべきであり、それ以外に広げることは許されないという意味です。
「限定しなければならない」という強い表現が使われていることは、行政解釈が管理監督者の範囲を狭く解釈することを明示的に要求していることを示しています。裁判例においても、この「限定的に解釈する」という姿勢が反映されており、管理監督者への該当性を認めない判決が多数存在します。
04③待遇との関係——①②を重視する理由
行政解釈は、管理監督者性の判断に際して③待遇についても別の項目で言及していますが、この316番の適用除外の趣旨に関する記述では①重要な職務と責任と②現実の勤務態様の2点が前面に出ており、③待遇はここでは主役ではありません。
このことから、行政解釈は管理監督者性を判断するに当たり考慮する要素として、①②を③よりも重視しているものと思われます。③待遇はあくまで①②を補完する確認要素として機能するものと考えられます。
①重要な職務と責任:適用除外が合理的に認められる実質的な根拠(最重要)
②現実の勤務態様:実態として労働時間規制になじまない状況の確認(同等に重要)
③待遇:①②と整合した相当な処遇があるかどうかの確認(補完的要素)
行政解釈の適用除外の趣旨に関する記述は①②に重きを置いており、この点が316番の核心です。
05まとめ
行政解釈は、管理監督者への適用除外が認められるのは「労働時間等の規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って」であり、「その範囲はその限りに、限定しなければならない」としています。適用除外の趣旨として行政解釈が主に重視するのは①重要な職務と責任と②現実の勤務態様の2点であり、これらを備えた者に限定して管理監督者を認めるという立場です。③待遇についても言及がありますが、①②より補完的な位置づけと考えられます。自社の管理職が管理監督者に当たるかどうかについては、使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。管理職の管理監督者性の判断・残業代の取り扱い・残業代トラブルの予防でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。アドバイスします。
Q&Aよくある質問
Q1. 行政解釈は管理監督者の適用除外の趣旨をどのように考えていますか。
A. 行政解釈は、「労働時間等の規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って管理監督者として適用除外が認められる」とし、「その範囲はその限りに、限定しなければならない」としています。
Q2. 行政解釈が重視する考慮要素は何ですか。
A. 適用除外の趣旨に関する行政解釈の記述からは、①重要な職務と責任②現実の勤務態様の2点が主に重視されていることが読み取れます。③待遇についても別の項目で言及がありますが、①②を③よりも重視していると考えられます。
Q3. 「現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまない」とはどういう意味ですか。
A. 就業規則等の形式上の規定だけでなく、実際の勤務の態様が労働時間規制の枠に縛られていない状態にあることを意味します。例えば、就業規則上「出退勤の自由あり」と規定されていても、実態として上司が細かく勤怠を管理し出退勤が制限されている場合は、この要件を満たさない可能性があります。
Q4. 「限定しなければならない」という表現はどのような意味を持ちますか。
A. ①重要な職務と責任、②現実の勤務態様という要素を備えた者に限ってのみ適用除外を認めるべきであり、それ以外に広げることは許されないという意味です。行政解釈が「限定する」という強い表現を用いていることは、管理監督者の範囲を広く認める立場ではなく、狭く限定的に解釈することを明示的に求めていることを示しています。
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最終更新日:2026年5月10日