ワード:「労働問題」

一の工場事業場に「常時使用される同種の労働者」の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする旨定める労組法17条の趣旨を教えて下さい。

この記事の結論 1 労組法17条の趣旨は事業場の労働条件の統一と公正妥当な実現 労組法17条は、4分の3以上の同種労働者に適用される労働協約の労働条件によって当該事業場の労働条件を統一し、労働組合の団結権の維持強化と当該事業場における公正妥当な労働条件の実現を図ることを趣旨とします(朝日火災海上保険(高田)事件最高裁平成8年3月26日判決)。 ……

就業規則に反する労使慣行が労働契約の内容となることがありますか。

この記事の結論 1 就業規則に反する労使慣行であっても、一定の要件を満たせば労働契約の内容となる 民法92条(事実たる慣習)の規定により、就業規則に反する労使慣行であっても、一定の要件を満たした「慣習」として法的効力が認められれば、労働契約の内容となります(商大八戸ノ里ドライビングスクール事件)。 2 就業規則に反する慣行が成立する……

賃金減額に対する同意の有効性の判断基準を教えて下さい。

この記事の結論 1 既発生の賃金債権の減額には「自由な意思」に基づくことが明確であることが必要 すでに発生した賃金債権を減額する同意は、賃金債権の一部放棄にほかならないため、シンガーソーイングメシーン事件(昭和48年)と同様の基準が適用されます。 2 未発生の賃金(将来の賃金)の減額は通常の合意で足りる 将来の賃金を引き下げること……

賃金債権の相殺に対する労働者の同意の有効性の判断基準を教えて下さい。

この記事の結論 1 賃金全額払の原則は一方的相殺だけでなく、同意を得た相殺も原則として禁止する 日新製鋼事件最高裁平成2年11月26日判決は、賃金全額払の原則は使用者が一方的に相殺することを禁止するのみならず、使用者が労働者の賃金債権と相殺することをも禁止する趣旨をも包含すると判示しました。 2 例外:労働者の自由な意思に基づく同意……

賃金債権放棄の有効性の判断基準を教えて下さい。

この記事の結論 1 賃金債権の放棄が有効であるには「自由な意思に基づくことが明確」でなければならない シンガーソーイングメシーン事件最高裁昭和48年1月19日第二小法廷判決は、賃金全額払の原則の趣旨に鑑み、賃金債権の放棄の意思表示の効力を肯定するには、それが労働者の自由な意思に基づくものであることが明確でなければならないとしました。 2 ……

賃金から社宅の費用を控除することはできますか。

この記事の結論 1 原則として賃金控除協定の締結と就業規則等への規定が必要 賃金全額払が原則(労基法24条1項)であり、社宅費用を賃金から控除するには、原則として過半数組合(または過半数代表者)との賃金控除協定の締結と、就業規則等への規定が必要です。 2 協定なしで「自由な意思に基づく同意」だけに頼るリスクが高い 日新製鋼事件最高……

一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給処分を行う必要がある場合、一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超える部分の減給を次期の賃金支払期に行うことができますか。

この記事の結論 1 10分の1を超える部分を次期に繰り越して行うことができる 一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給処分を行う必要がある場合、超える部分を次期の賃金支払期に繰り越して行うことができます(昭和23年9月8日基収第1789号)。 2 各賃金支払期ごとに10分の1以内という制限は守る必要がある 繰り越した……

問題を起こした社員の給料を6か月に渡り10%減給する懲戒処分をすることはできますか。

この記事の結論 1 6か月間10%減給は労基法91条に違反し無効 6か月にわたり10%減給する懲戒処分は、「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならない」とする労基法91条に違反し無効となります。 2 減給制裁には2つの上限がある ①一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならない、②総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の……

「常時10人以上の労働者を使用する使用者」は就業規則の作成届出義務があるとされていますが(労基法89条)、労働者の人数は企業単位・事業場単位のどちらで考えればいいのでしょうか。

この記事の結論 1 「常時10人以上」は事業場単位で判断するのが一般 就業規則の作成届出義務における「常時10人以上の労働者を使用する」かどうかは、事業場単位で判断するのが一般的です。企業全体の人数ではなく、各事業場ごとの人数で判断します。 2 A事業場7名・B事業場7名の場合、どちらにも作成届出義務はない 各事業場がそれぞれ独立……

年次有給休暇(労基法39条)を買い上げることはできますか。

この記事の結論 1 強制買い上げは不可。合意による買い上げも原則として認められない 使用者が強制的に年休を買い上げることはできず、労働者との合意による買い上げも、労基法39条の趣旨(「休暇を与える制度」)に反するものは労基法13条により無効となります。 2 例外的に認められる買い上げは2場面 ①退職時に消化しきれなかった年休の買い……

労基法39条の年次有給休暇はいつまで繰り越さなければならないのでしょうか。

この記事の結論 1 年次有給休暇の消滅時効は2年(労基法115条) 労基法上の年次有給休暇の消滅時効は2年と考えられています(労基法115条)。当該年度に消化できなかった年休は翌年度(2年間)まで繰り越す義務があります。 2 就業規則で繰越禁止は定められない 2年の時効は労基法上の最低基準であり、就業規則で「繰越禁止」と定めても労……

当社では年休取得者に対し、「通常の賃金」を支払うこととしていますが、パート・アルバイトの場合、1日の所定労働時間が長い日と短い日があるため、どの日に年休を取るかによって休んだ日の賃金額が変わってきます。何とかならないでしょうか。

この記事の結論 1 所定労働時間が日によって異なる以上、賃金格差はやむを得ない 「通常の賃金」方式のもとでは、所定労働時間がその日によって変わる以上、年休取得日によって支給額が変わることはやむを得ません。根本的な解決策は所定労働時間の均一化です。 2 年休中の賃金算定には3つの方式がある ①通常の賃金(原則)、②平均賃金(就業規則……

「全労働日」(労基法39条1項)とは、何を指しますか。

この記事の結論 1 「全労働日」とは所定労働日のこと 「全労働日」(労基法39条1項)とは、所定労働日を指します。総歴日数から所定休日を除いた日のことです。 2 休日労働した日は「全労働日」に含まれない 所定休日に出勤した(休日労働)としても、その日は「全労働日」には含まれません。全労働日はあくまで所定労働日の総数であり、実際の労……

労基法39条1項の出勤率の算定に際し、産前産後休業期間については、出勤したものとして取り扱うべきでしょうか。

この記事の結論 1 産前産後休業期間は出勤したものとみなされる 産前産後休業期間は、労基法39条8項により、年次有給休暇の出勤率算定上は出勤したものとみなされます。 2 業務上の災害による休業・育児介護休業も同様にみなし出勤 産前産後休業のほか、業務上の災害による休業期間、育児介護休業の期間についても、労基法39条8項により出勤し……

労基法39条1項には、年休が付与されるためには全労働日の8割以上出勤しなければならないと定められていますが、遅刻、早退した日であっても出勤したことになるのでしょうか。

この記事の結論 1 出勤率は労働日を単位として計算する 労基法39条1項の出勤率は、労働日を単位として計算すべきものです。1日のうちに何時間働いたかではなく、その日に出勤したかどうかという観点で判断されます。 2 遅刻・早退した日でも「出勤」として取り扱われる 遅刻・早退した日であっても、その日に出勤したことに変わりはありません。……

採用面接の際,「うちの会社は年休がないけど,それでもいいですか?」との質問に対し,「年休なしでも構いません。ぜひ雇って下さい。お願いします。」と回答したこともあって採用した社員が,年休の取得を求めてきました。労基法上,年休取得の要件を満たしている場合は,年休取得に応じざるを得ないのでしょうか。

この記事の結論 1 「年休なし」の合意は労基法13条により無効 労基法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となります(労基法13条)。「年休なし」という合意は労基法39条の基準に達しないため、無効です。 2 書面による合意・署名押印があっても結論は変わらない 仮に「年休がない」旨を書面で合意し、……

当社のように社員が2名しかおらず年休を取得されると常に事業運営に支障を来すことになるような零細企業でも、年休取得を認めなければならないのでしょうか。

この記事の結論 1 零細企業であっても年休取得は原則として認めなければならない 社員が2名しかいない会社であっても、年休取得を一切認めないという運用は許されません。年休は労働者の権利であり、事業規模にかかわらず保障されます。 2 小規模であることは時季変更権が認められやすくなる一要素にとどまる 年休取得により常に事業運営に支障が生……

「事業の正常な運営を妨げる場合」(労基法39条5項)に該当するかどうかは、どのような要素を考慮して判断すればいいのでしょうか。

この記事の結論 1 当該労働者の所属する事業場を基準に客観的に判断する 「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するかどうかは、当該労働者の所属する事業場を基準として、諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきとされています。 2 考慮要素は事業規模・作業内容・繁閑・代行者配置の難易等 事業の規模・内容、当該労働者の担当する作業の内容・……

年次有給休暇を取得する日の3日以上前に年休取得を会社指定の書式で申請しない場合は、年休取得を一切認めないという運用にすることはできますか。

この記事の結論 1 3日前申請ルールを設けること自体には合理性がある 代替要員の手配等の必要性から、年休取得日の3日以上前に会社指定の書式で申請するルールを設けること自体には一応の合理性が認められ、許容されるものと考えられます。 2 期限に遅れたことだけを理由に年休取得を一切認めない運用は問題がある 申請期限を過ぎたからといって一……

退職予定の社員の年休付与日数を残勤務期間で日割計算することはできますか。

この記事の結論 1 退職間近であっても労基法所定の日数を付与しなければならない 労基法は退職間近であるか否かによって年休の付与日数を変えていません。1年6か月継続勤務して所定の出勤要件を満たした社員には、退職予定であっても11日の年休を付与する必要があります。 2 日割計算して付与日数を減らすことはできない 年休付与日数を残勤務期……

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