労働問題596 労働者を雇い入れる際に,労働者に通知すべき事項を教えてください。
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最低7事項を書面で通知する義務がある(労基法施行規則5条) 使用者は、最低限①労働契約期間②更新の基準③就業場所④業務の内容⑤労働時間⑥賃金⑦退職に関する事項(解雇事由等)を書面で通知する必要があります。 |
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パートタイム労働者にはさらに4事項の追加明示が必要 パートタイム労働者に対しては、上記7事項に加えて、昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無・相談窓口についても明示する必要があります(パートタイム労働法6条)。 |
目次
01書面交付が義務付けられている7事項(労基法施行規則5条)
使用者は、労働者を雇い入れる際に、最低限、次の7事項を書面によって通知する必要があります(労基法施行規則5条1項1号から4号)。
書面交付が義務付けられている事項
① 労働契約期間
② 更新の基準(有期契約の場合)
③ 就業場所
④ 業務の内容
⑤ 労働時間(始業・終業の時刻、休憩時間、休日等)
⑥ 賃金(賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切・支払時期)
⑦ 退職に関する事項(解雇事由等)
これらの事項は、「絶対的明示事項」として書面交付が義務付けられており、口頭による通知だけでは足りません。労働条件の明示義務(労基法15条)に反した場合、30万円以下の罰金が科されることがあります(労基法120条)。
なお、2024年4月からの法改正により、有期労働契約の更新の有無・判断基準、無期転換ルールへの対応、労働時間に関する情報等についても明示義務が追加・強化されていますので、最新の法令・厚生労働省の通達を確認することが重要です。
02パートタイム労働者への追加明示事項(パートタイム労働法6条)
パートタイム労働者(短時間労働者)に対しては、上記7事項に加えて、次の4事項についても明示する必要があります(パートタイム労働法6条)。
パートタイム労働者への追加明示事項
① 昇給の有無
② 退職手当の有無
③ 賞与の有無
④ 相談窓口(苦情・相談の担当者・担当部署)
「有無」の明示ですので、昇給・退職手当・賞与がない場合でも「なし」と明示する必要があります。また、相談窓口については、担当者名や担当部署名、連絡先を示す必要があります。
03会社経営者が取るべき実務上の対応
労働条件通知書の書式は厚生労働省のホームページに掲載されているものが参考になりますが、各労働者との間の契約内容に沿った書面を毎回作成することが重要です。厚生労働省の書式はあくまでも参考であり、職種限定・勤務地限定・各種手当の内容等、個別の雇用条件を正確に反映した書面を作成する必要があります。
特に、職種や勤務地を限定する場合(563番参照)、それが労働条件通知書に明記されているか否かが、後日の配転・異動の有効性に影響します。また、有期労働契約の場合は更新基準を明確に記載することが、雇止め(更新拒否)の有効性にも関わります。
労働条件通知書の内容と実際の運用に齟齬がある場合、後日のトラブルの原因となりますので、定期的に見直しを行うことをお勧めします。雇入れ時の書面作成に不安がある場合は、使用者側弁護士・社会保険労務士に相談することをお勧めします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 雇用契約書と労働条件通知書は、どちらを作成すればよいですか。
A. 法律上は「労働条件の書面明示(通知)」が義務付けられており、雇用契約書でも労働条件通知書でも、書面に義務記載事項が明記されていれば問題ありません。実務上は、会社・労働者双方が署名・押印する「雇用契約書」の形式をとることで、契約内容の明確化と後日の紛争防止に役立てる会社が多くなっています。どちらの形式でも、義務記載事項を正確に記載することが重要です。
Q2. 口頭で労働条件を伝えた場合、書面明示したことになりますか。
A. なりません。①〜⑦の絶対的明示事項については、書面による交付が法律上義務付けられており、口頭による通知だけでは労基法上の書面明示義務を果たしたことになりません。口頭で伝えただけで書面を交付しなかった場合、後日「聞いていない」「条件が違う」というトラブルになりやすく、また労基法違反として罰則の対象となる可能性もあります。
Q3. 有期労働契約を更新する際にも、労働条件の書面明示が必要ですか。
A. 有期労働契約の更新(更新後の条件)についても、書面明示が必要です。特に、2024年4月施行の改正により、有期労働契約の更新時における無期転換申込機会の明示や、更新上限・雇止め理由の明示義務が強化されています。更新時の書面には最新の法令に基づく記載が必要ですので、更新手続の書式を定期的に見直すことをお勧めします。
最終更新日:2026年2月25日