ワード:「残業代」

残業しても残業代を支給しないという合意は有効ですか?

 一般の賃金債権については、退職金等の賃金債権の放棄の意思表示が、労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足る合理的な理由が客観的に存在している場合に、賃金債権を放棄する意思表示の効力が肯定されます。
 残業代についても、一般の賃金債権と同様に、労働者の放棄の意思表示が自由な意思によるものと認めるに足る合理的な理由が客観的に存在していれば、割増賃金(残業代)債権放棄の意思表示は……

残業時間について行政通達では30分未満の端数を切り捨てても労基法違反にはならないと書かれているようなので、そのように計算しても問題ありませんよね?

 行政解釈では、割増賃金(残業代)計算における端数の処理として、
① 1か月における時間外労働、休日労働、深夜労働の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合には、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
② 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
③……

半日分の年休を取得した後に所定終業時刻後に業務を行った場合、残業代はどうなりますか?

 割増賃金(残業代)はあくまでも実際に労働した時間について発生するものであり、年次有給休暇の対象時間をもって労働したとはいえませんので、労働者の1日の実労働時間が法定労働時間である8時間を超えない限り、割増賃金の支払義務は生じません。年次有給休暇を取りながら稼動した8時間を超えない労働時間については、法内残業として扱うことになります。ただし、労働が深夜に及んだ場合には、深夜割増賃金を支払う必要があ……

残業したら他の日に残業時間分だけ早退させることで相殺し、残業代の支払を免れることはできますか?

 労基法32条2項は、「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。」と規定していることから、法定労働時間を1日1日で計算すべきことと規定していることが分かります。したがって、残業時間を他の日に残業時間分だけ早退させることで相殺したりして、労働時間が平均して1日8時間になるよう調整することは許されず、1日8時間を超過した場合は、その日……

振替休日と残業代の関係について教えて下さい。

 法定休日について予め振替えが行われた場合、もとの休日における労働は休日ではなくなり、振り替えられた日の労働について、残業代の支払義務は生じませんが、振り替えたことにより当該日の労働が1日8時間又は週40時間の法定労働時間を超えた場合には、時間外割増賃金(残業代)を支払う必要があります。
 また、予め振り替えるべき日を特定することなく、適法な休日の振替と認められないようなものについて……

法定労働時間を超えて労働させても残業代が発生しないのはどのような場合ですか?

 労基法32条は、1日及び1週の労働時間の上限を定めており、これを超えて労働させることを禁止しています。36協定を締結すれば、法定労働時間を超えて労働させることが可能になりますが、その場合でも、法定労働時間を超えた労働時間に対して、残業代を支払わなければなりません。
 しかしながら、一定の条件を満たす場合には、残業を行っても残業代の支払が事実上免除されることがあります。このような例外……

労働者と定額残業代(みなし残業代)の合意をしたものの、予想したほど残業しなかった場合、当該賃金計算期間の定額残業代を減額することはできますか?

 定額残業代(みなし残業代)は、労働者が全く残業しなかったとしても定額で残業を支払う制度です。実際に行われた残業時間に基づいて計算した残業代の額が定額残業代(みなし残業代)に満たなかったとしても、当該賃金計算期間の定額残業代(みなし残業代)を減額することはできません。
 定額残業代(みなし残業代)を合意するメリットは、予め残業が予想される場合に、一定時間までの残業時間に対する残業代に……

定額残業代(みなし残業代)とはどういうものですか?

 定額残業代(みなし残業代)とは、毎月決まった金額を見込みの残業代として、実際の残業の有無にかかわらず一定に支給する制度のことをいいます。
 労基法が残業代について使用者に命じているのは、時間外・休日・深夜労働に対し、労基法の基準を満たす一定額以上の割増賃金を支払うことですから、その要件を満たしていれば、労基法所定の計算方法をそのまま用いなくても問題ありません。
 定額……

台風等の不可抗力の事態により社員が遅刻した場合、残業代にはどのように影響しますか?

 台風等の不可抗力の事態により社員が遅刻した場合、現実に1日8時間又は1週40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超える労働をさせていない限り、割増賃金(残業代)の支払義務は生じません。
 例えば、台風により社員が2時間遅刻し、所定終業時刻後に2時間労働させたとしても、就業規則等で定めたりしていない限り、割増賃金(残業代)の支払義務は生じません。これは、夕刻の台風に備えて労働時間を……

社員が遅刻した場合、残業代にはどのように影響しますか?

 時間外割増賃金(残業代)は、原則1日8時間又は1週40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えた労働に対して支払われるべきものですから、就業規則等で定めていない限り、現実に1日8時間又は1週40時間を超える労働をしていない場合には、割増賃金の支払義務は生じません。
 例えば、社員が30分遅刻し、その分、所定終業時刻後に30分労働した場合、1日の労働時間は8時間を超えていませんので……

「労働時間」の概念にはどのようなものがありますか?

[toc] 法定労働時間の定義  労働基準法では、労働時間について、1週及び1日の原則的な最長労働時間が定められており、これを法定労働時間といいます。「1週」の上限は40時間、「1日」の上限は8時間となっており、この「1週」とは、日曜日から土曜日までの暦週をいい、「1日」とは、午前0時から午後12時までの暦日をいいます。ただし、2暦日に渡って連続勤務した場合には、それは1勤務として勤務全体が始……

法定休日をまたぐ勤務の残業代はどう考える?―2日にまたがる勤務の割増賃金の整理方法

[toc] 1. 法定休日をまたぐ勤務に関する基本的な考え方  法定休日を含む2日にまたがる勤務については、割増賃金の考え方を誤解しているケースが少なくありません。特に、「連続して勤務しているのだから一律に休日労働になる」といった理解は、実務上の誤りとなります。  労働基準法において、法定休日は暦日、すなわち午前0時から午後12時までの24時間で判断されます。そのため、勤務が日をまたいで連続……

店舗の店長が管理監督者に該当するか否かが問題となった裁判例を教えてください。

[toc] 1.事案の紹介  店舗の店長が管理監督者に該当するか否かが問題となった裁判例で代表的なのは、日本マクドナルド事件です(東京地裁平成20年1月28日判決)。本件は、原告であるハンバーガー店の店長が、会社に対して残業代等を請求し、同店長が労働基準法41条2号の管理監督者に該当するか否かが問題となりました。 2.管理監督者該当性の判断基準  原告が管理監督者に当たるといえるためには、……

持ち帰り残業の時間は労働時間に該当するのか?【会社経営者向け】

[toc] 1. 持ち帰り残業と労働時間の基本的な考え方  持ち帰り残業とは、労働者が会社の事業場ではなく、自宅など私的な生活の場において業務を行う形態をいいます。近年、テレワークや業務のデジタル化により、持ち帰り残業が問題となる場面も増えていますが、その時間が直ちに労働時間に該当するわけではありません。  労働時間に該当するかどうかの判断基準は、場所ではなく「使用者の指揮命令下に置かれてい……

研修や会社行事の時間は労働時間になるのか|会社経営者が判断を誤りやすいポイント

[toc] 1.研修・会社行事の時間が問題になりやすい理由  研修や会社行事の時間は、会社経営者にとって「業務の延長なのか」「任意参加なのか」が曖昧になりやすく、労働時間該当性を巡ってトラブルが生じやすい分野です。特に、所定労働時間外や休日に実施される場合、残業代や休日割増賃金の支払義務が問題となります。  多くの会社では、研修や会社行事を「人材育成の一環」「社内コミュニケーションのためのイ……

出張中の移動時間は労働時間になるのか|休日移動と割増賃金の判断基準を整理

[toc] 1.出張中の移動時間に関する基本的な考え方  出張中の移動時間が労基法上の労働時間に該当するかどうかは、その移動時間が使用者の指揮命令下に置かれているかという観点から判断されます。出張という業務に関連しているからといって、移動時間が直ちに労働時間になるわけではありません。  出張の際の往復に要する移動時間は、労働者が日常的に行っている通勤と同様に、労務提供の前提行為として位置付け……

通勤時間や取引先への移動時間は労働時間になるのか|会社経営者が押さえるべき判断基準

[toc] 1.通勤時間が労働時間に該当しないとされる理由  労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。この点を前提にすると、通常の通勤時間は、原則として労働時間には該当しません。  労働者が使用者に対して負う労務提供義務は、使用者の指定する場所において労務を提供することを内容とするものです。通勤は、その労務を提供するために労働力を使用者のもとへ運ぶ……

手待時間は労働時間になるのか|会社経営者が誤解しやすい休憩時間との境界線

[toc] 1.手待時間とは何か―労基法上の基本的な位置づけ  手待時間とは、労働者が使用者の指示があれば直ちに業務に従事しなければならない状態に置かれている時間をいいます。労働基準法上は、この手待時間は原則として労働時間に該当すると整理されています。  重要なのは、実際に作業をしているかどうかではありません。作業をしていなくても、使用者の管理下にあり、自由に時間を使うことができない状態であ……

労基法上の「労働時間」とは何か|会社経営者が見落としやすい指揮命令下の判断基準

[toc] 1.労基法上の労働時間の基本的な考え方  労働基準法における「労働時間」とは、単に会社に滞在している時間や、労働者が自主的に作業をしている時間を指すものではありません。労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、客観的に判断されるものとされています。  この「指揮命令下にあるかどうか」は、会社経営者の主観的な認識や、労働者本人の意識によって決まるも……

36協定を締結していても残業代は不要にならない|会社経営者が誤解しやすい割増賃金の基本

[toc] 1.36協定の役割と会社経営者が誤解しやすいポイント  36協定は、法定労働時間である1日8時間、1週40時間を超えて労働者に時間外労働や休日労働をさせるために、会社経営者が必ず締結しておくべき労使協定です。これがなければ、時間外労働や休日労働そのものが違法となります。  一方で、36協定を締結したことで「残業代を支払わなくてもよい」「長時間働かせることが正当化される」と誤解して……