ワード:「残業代」

労働時間の概念(法定・所定・実労働・時間外)はどのように整理すればよいですか。

 「残業代は何時間から発生するか」「所定労働時間と法定労働時間は何が違うか」——こうした質問は、残業代トラブルが表面化した際に会社側が最初に直面する疑問です。労働時間の概念を正確に整理しておくことは、残業代請求への適切な対応や、就業規則・労務管理の適正化において欠かせない知識です。  本記事では、法定労働時間・所定労働時間・実労働時間・時間外労働の概念を、使用者側専門の弁護士が経営者・人事担当者……

法定休日をまたぐ勤務の残業代はどのように考えればよいですか。

[toc] 1. 法定休日をまたぐ勤務に関する基本的な考え方  法定休日を含む2日にまたがる勤務については、割増賃金の考え方を誤解しているケースが少なくありません。特に、「連続して勤務しているのだから一律に休日労働になる」といった理解は、実務上の誤りとなります。  労働基準法において、法定休日は暦日、すなわち午前0時から午後12時までの24時間で判断されます。そのため、勤務が日をまたいで連続……

店舗の店長は管理監督者に該当しますか。

この記事の結論 1 日本マクドナルド事件は店長の管理監督者性を否定した 東京地裁は、店長の権限が店舗内業務に限られ経営への一体的関与といえないこと、労働時間の自由裁量が実質なかったこと、待遇面で管理監督者にふさわしい優遇がなかったことから、管理監督者性を否定しました(東京地裁平成20年1月28日判決)。 2 通達により管理監督者性の……

持ち帰り残業の時間は労働時間になりますか。

この記事の結論 1 会社の指示・黙認があれば労働時間になる 持ち帰り残業が労働時間に該当するかは、使用者の指揮命令下にあるかで判断されます。業務量が所定時間内に処理できない状況での持ち帰りを会社が把握しながら黙認していれば、黙示の業務命令として労働時間になります。 2 禁止するだけでなく業務量の見直しが不可欠 「持ち帰り残業を禁止……

研修・会社行事の時間は労働時間になりますか。

この記事の結論 1 名称ではなく参加義務の実態で判断される 「任意参加」と案内されていても、欠席すると評価に影響する等の事情があれば事実上の強制と評価され、労働時間に該当し得ます。業務関連性の高い研修ほど労働時間と判断されやすくなります。 2 真の任意参加であれば労働時間に当たらない 参加が人事評価の対象になっておらず、不参加者が……

出張中の移動時間は労働時間になりますか。

この記事の結論 1 出張移動時間は原則として労働時間に当たらない 出張に伴う往復の移動時間は通勤時間と同様の性質を有し、原則として労働時間には該当しません。休日に出張のため移動した場合であっても、原則として休日労働として取り扱わなくて差し支えないとされています(昭和23年3月17日基発461号、昭和33年2月13日基発90号)。 2 ……

通勤・取引先への移動時間は労働時間になりますか。

この記事の結論 1 通勤時間・直行直帰の移動時間は原則として労働時間に当たらない 通常の通勤時間、取引先への直行・直帰の移動時間は、移動手段・経路の選択が自由で業務上の即時対応義務も課されていないのが通常であるため、原則として労働時間には該当しません。 2 職場から取引先への移動時間は労働時間に該当する 業務開始後に使用者の指示で……

手待時間は労働時間になりますか。

この記事の結論 1 即時対応義務があれば手待時間として労働時間になる 手待時間とは、指示があれば直ちに業務に従事しなければならない状態に置かれている時間をいい、実際に作業をしているかどうかにかかわらず、指揮命令下に置かれていれば労働時間に該当します。 2 仮眠時間も対応義務があれば手待時間になり得る 実際の作業発生頻度が少なくても……

労基法上の「労働時間」に当たるかどうかは、どのような基準で判断されますか。

この記事の結論 1 労働時間は指揮命令下にあるかで客観的に判断される 労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、これに該当するか否かは客観的に定まります(三菱重工業長崎造船所事件、最高裁)。会社の主観的意図や就業規則の定めによって左右されません。 2 明示の指示がなくても黙示の指揮命令が認定され得る 時間外……

36協定を締結すれば残業代は不要になりますか。

この記事の結論 1 36協定は労働を適法にする手続にすぎない 36協定は、法定労働時間を超える時間外労働・法定休日労働を適法に行わせるための手続要件にすぎません。割増賃金の支払義務は完全に別の問題として存続し、協定の締結が残業代の支払いを免除する効果はありません。 2 合意による残業代不要化も無効になり得る 割増賃金の支払義務は強……

家族手当や住宅手当などの手当が除外賃金に当たるためには、どのような要件が必要ですか。

この記事の結論 1 各手当は費用・事情との対応関係が除外賃金該当の鍵 家族手当は扶養家族の人数、住宅手当は住宅費、通勤手当は通勤費、別居手当は単身赴任の事実と、それぞれ支給額が連動している必要があります。この対応関係がなければ除外賃金には当たりません。 2 全社員一律定額の支給は除外賃金に当たらないリスクが高い 名称にかかわらず、……

残業代を算定する基礎から除外される賃金には、どのようなものがありますか。

この記事の結論 1 労働の対価はすべて算定基礎に含まれるのが原則 残業代算定の基礎については、労働の対価として支払われる賃金はすべて含まれるのが原則です。除外できる賃金は、労基法37条5項・労基則21条に限定列挙されたものに限られます。 2 名称ではなく実質で判断される 「家族手当」「住宅手当」等の名称を付けていても、実態が除外賃……

年俸制の賞与は割増賃金の除外賃金になりますか。

この記事の結論 1 年俸制の賞与は支給額が事前確定しているため除外できない 「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」として除外賃金に該当するには支給金額が確定していないことが必要ですが、年俸制の賞与は年俸決定時点で支給額が確定しているため、この要件を満たさず除外賃金にはなりません。 2 年俸総額を割増賃金の計算基礎に算入する必要が……

労働者に「課長」「店長」等の肩書きを付ければ残業代を支払わなくてもよいのですか。

この記事の結論 1 管理監督者性は、名称ではなく実態に即して判断される 通達上、管理監督者にあたるか否かは、資格及び職位の名称にとらわれず、実態に即して判断すべきとされています(昭和63年3月14日基発第150号)。 2 4つの判断要素で実態を確認する必要がある 重要な職務内容・責任権限、労働時間規制になじまない勤務態様、地位にふ……

時間外労働が発生した翌日に、時間外労働に係る時間分だけ労働時間を短縮すれば、残業代を支払わなくてもよいですよね。

この記事の結論 1 法定労働時間は1日ごとに計算する必要がある 労基法32条1項は法定労働時間を1日1日で計算すべきことを意味しており、平均して1日8時間とすることを許容しているものではありません。1日8時間を超過すれば、その日の労働として時間外割増賃金の支払義務が発生します。 2 翌日以降の短縮や代休は、既発生の割増賃金に影響しな……

始業前の朝礼は「残業代」の支払いが必要ですか。

この記事の結論 1 朝礼が指揮命令下にあれば、始業前でも労働時間になる 始業時刻前に行われる朝礼が労働時間に該当するかは、朝礼という名称や実施時間帯によって決まるものではなく、会社の指揮命令下で行われているかどうかで客観的に判断されます。 2 確実なリスク回避策は、朝礼を始業時刻後に移すこと 実務上、朝礼は労働時間と判断されやすい……

勤務時間外における企業外での犯罪行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

この記事の結論 1 企業秩序に関係を有する場合に限り、懲戒事由となる 勤務時間外の企業外行動は原則として労働者の私生活上の行為ですが、企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるなど企業秩序に関係を有する場合は、懲戒事由となります(関西電力事件、最高裁昭和58年9月8日判決)。 2 運転業務従事者は、他の職種より厳格に判断される バス……

定額残業代の最近の裁判例を教えてください。

この記事の結論 1 月45時間を大幅に超える定額残業代は、公序良俗違反とされるリスクがある 36協定の延長限度基準である月45時間を大幅に超える時間数を前提とした定額残業代は、その時間数を義務付けること自体が安全配慮義務や公序良俗に反するとして、月45時間相当分の対価としてしか認められない裁判例があります。 2 手当の性質が時間外労……

定額残業代が適法となる要件について教えてください。

この記事の結論 1 通常賃金と割増賃金部分が判別できることが最重要の要件 通常の労働時間の賃金に当たる部分と、時間外・深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することができない場合、定額残業代の支払によって割増賃金が支払われたとは認められません(高知県観光事件、最高裁平成6年6月13日判決)。 2 法定額を上回れば適法、下回れば差額支払義……

労基法は残業代の割増率についてどのように定めていますか。

この記事の結論 1 割増率は時間外25%以上(月60時間超は50%以上)、休日35%以上、深夜25%以上 労基法が定める割増率は、時間外労働が1か月60時間以下で25%以上、60時間超で50%以上、法定休日労働が35%以上、深夜労働が25%以上です。これは最低基準であり、これを下回る定めは無効です。 2 中小事業主への月60時間超5……

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