Q908 労働時間の定義を教えて下さい。

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 労働時間とは,労働者による労働契約の履行として労務提供がなされている時間をいいますので,労務提供義務が存在していることを前提として,債務の本旨に従った労務の提供が行われていることが必要です。
 労働基準法上の労働時間とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれた時間をいい,この時間に該当するか否かは,労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれていたと評価することができるか否かより客観的に定まるものであり,労働契約や就業規則,労働協約などの定めに決定されるべきものではないとされています。
 労働契約上,労働者が使用者の指揮命令下に置かれているのは,原則として所定労働時間であり,所定労働時間外での就業が使用者の指揮命令下に置かれているというためには,使用者の明示又は黙示の指示に基づいているかどうかにより判断されます。黙示の指示ついては,労働者が所定時間外に従事し,使用者がそれを知りつつも放置しているような場合や,業務量が所定労働時間内に処理できない程多く,時間外労働が常態化している場合などに肯定されます。例えば,裁判例では,金融機関において,社員のほとんどが始業時刻である午前8時35分より前の8時15分以前に出社し,銀行の業務として金庫を開きキャビネットを運び出したりするなどの業務が特殊なものではなかった状況や,会議には事実上出席が義務付けられていた状況,終業時刻後である午後5時以降も多くの社員が午後7時を超えて業務に従事しており,それが特殊なものではなかった状況等から,黙示の指示を認定したものがあります(京都銀行事件大阪高裁平成13年6月28日判決)。他方で,使用者において,繰り返し36協定が締結されるまで残業を禁止する旨の業務命令をだし,所定時間内に終わらない業務については役職者に引き継ぐことを命じ,この命令を徹底している事案について,業務命令に反した業務への従事があったとしても,労働時間には当たらないと判断した裁判例があります(神代学園ミューズ音楽院事件東京高裁平成17年3月30日判決)。


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