労働問題498 労組法17条の「常時使用される」労働者とは、どのような労働者のことをいいますか。

この記事の結論
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「常時使用される」とは常時使用されていることが客観的に判断しうる状態にあること

労組法17条の「常時使用される」労働者とは、常時使用されているということが客観的に判断しうる状態にある労働者をいいます(昭和24年5月28日労収2829号)。

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契約が反復更新される有期契約労働者・臨時工も「常時使用される」に該当する

臨時工等の有期契約労働者であっても、契約が反復更新されて常時使用されていることが客観的に判断しうる状態にあるときは、「常時使用される」労働者に該当します。

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「常時使用される」の範囲は、4分の3要件の計算に影響する重要概念

一般的拘束力(労組法17条)の4分の3要件を充足するかどうかを計算する際の分母となる労働者の範囲に影響します。

01労組法17条における「常時使用される」の意義

 労組法17条は、「一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。」と定めています(497番参照)。

 この「常時使用される」という要件は、一般的拘束力(拡張適用)の発動要件である4分の3要件を計算する際の母数(分母)となる労働者の範囲を画するものとして重要です。

 行政解釈は、「常時使用される」労働者とは、「常時使用されているということが客観的に判断しうる状態にある労働者」をいうものとしています(昭和24年5月28日労収2829号)。「常時」とは「継続的・恒常的に」という意味であり、一時的・臨時的な使用は含まれません。

02有期契約労働者・臨時工も含まれる場合

 「常時使用される」かどうかは、雇用形態(正社員か有期契約かなど)によって形式的に決まるものではなく、実態として継続的・恒常的に使用されているかどうかによって客観的に判断されます。

 臨時工等の有期契約労働者であっても、契約が反復更新されて常時使用されているということが客観的に判断しうる状態にあるときは、「常時使用される」労働者に該当するものと考えられています(昭和24年5月28日労収2829号参照)。

 例えば、3か月ごとに有期雇用契約を反復更新しながら実質的に継続して勤務しているパート・アルバイトや契約社員は、その実態から「常時使用される」労働者に該当する可能性があります。

03「常時使用される」に該当しない労働者

 一方、真に一時的・臨時的な使用にとどまる労働者は「常時使用される」には該当しません。例えば、繁忙期や特定のプロジェクト期間だけ短期で雇用され、雇用が継続されることが客観的に判断しうる状態にない者、いわゆるスポット雇用の労働者などがこれにあたります。

 「常時使用される」に該当するかどうかの判断要素としては、①雇用継続の期間・頻度、②反復更新の状況、③業務の内容・性質(継続的な業務かどうか)、④使用者・労働者双方の継続雇用の意思・期待、などが考慮されます。

044分の3要件の計算への影響

 労組法17条の一般的拘束力(拡張適用)が発動するには、「同種の労働者の4分の3以上」が当該労働協約の適用を受けていることが必要です(497番参照)。この4分の3の計算は、「常時使用される同種の労働者」の総数を分母として計算します。

 「常時使用される」労働者の範囲が広く認定されるほど分母が大きくなりますので、4分の3要件の充足が難しくなります。逆に範囲が狭く認定されれば分母が小さくなり、要件を充足しやすくなります。

 実務では、有期契約労働者・パート・アルバイト等が「常時使用される」に含まれるかどうかによって、組合が締結した労働協約の一般的拘束力が発動するかどうかが変わりうる場合があります。

05使用者として注意すべき実務上のポイント

 使用者として、労組法17条の一般的拘束力の発動を正確に把握するためには、事業場内の「常時使用される同種の労働者」の範囲を適切に把握しておくことが重要です。特に、反復更新されているパート・アルバイト・契約社員等が「常時使用される」に含まれる場合、これらの労働者が組合員数の計算(4分の3要件)に影響し、また拡張適用の対象となり得ます。

 組合との労働協約を締結する場合は、その協約が拡張適用される可能性のある範囲(未組合員・他組合員)も含めた影響を事前に検討することをお勧めします。

経営上のポイント 「常時使用される」労働者には、正社員だけでなく、反復更新されて実質的に継続雇用されているパート・アルバイト・契約社員等も含まれます。事業場内の「常時使用される同種の労働者」の範囲を正確に把握することが、労組法17条の適用を判断する前提として重要です。アドバイスします。
SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 当社には3か月更新のパートが多数います。このパートたちは「常時使用される」労働者に含まれますか。

A. 3か月ごとに反復更新されて実質的に継続勤務しているパートは、「常時使用されているということが客観的に判断しうる状態」にあるとして、「常時使用される」労働者に含まれると判断される可能性が高いです。雇用期間・更新の状況・業務の継続性等を踏まえて個別に判断することになりますが、反復更新が常態化している場合は「常時使用」に該当しやすいといえます。

Q2. 繁忙期(夏期・年末年始)だけ雇用する短期アルバイトは「常時使用される」に含まれますか。

A. 繁忙期のみの雇用で、閑散期は雇用されない場合は、「常時使用されている」とは客観的に判断しにくいため、「常時使用される」労働者には該当しないと考えられます。ただし、毎年同じ繁忙期に必ず再雇用されるという慣行が続いており、継続的な雇用関係に準じる実態がある場合は、判断が分かれる可能性があります。

Q3. 「常時使用される」労働者の範囲によって4分の3要件の判断が変わることがありますか。具体例を教えてください。

A. あります。例えば、正社員40名・反復更新パート10名の計50名がいる事業場で、正社員40名全員がA組合員だとします。「常時使用される」が正社員のみとすれば分母40名、A組合員40名で4分の3(30名)以上を満たすため一般的拘束力が発動します。一方、「常時使用される」にパート10名も含まれるとすれば分母50名、A組合員40名で40/50=80%となり、この場合も4分の3以上を充足します。しかし、パートの中に別の組合員が含まれる等のケースでは、要件充足の判断に影響が生じます。

Q4. 派遣社員は「常時使用される」労働者に含まれますか。

A. 派遣社員は、法律上は派遣元(派遣会社)に雇用されており、派遣先(会社)に「使用される」形態です。労組法17条の「常時使用される」は当該工場事業場の使用者と直接の雇用関係にある労働者を念頭においていますので、派遣社員は原則として「常時使用される」労働者には含まれないと考えられます。ただし、事案によって判断が異なる場合もありますので、具体的な状況について弁護士に確認することをお勧めします。

最終更新日:2026年2月25日

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