労働問題519 所定始業時刻より早く来ている時間は「労働時間」になる?会社側が判断すべきポイント
目次
従業員が所定の始業時刻より前に出社している時間が、労働基準法上の「労働時間」に該当するかどうかは、単純な出社時間だけでは判断できません。何をしていたか、使用者の指示・管理下にあったかがポイントになります。
1. 「労働時間」の考え方
労働基準法上の「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指します。つまり、会社の管理・命令を受けて働いていると評価される時間=賃金支払いの対象になり得ます。
2. 早出出社が「労働時間」と認められるケース
次のような場合には、始業時刻前の出社時間も労働時間として扱われる可能性が高いです。
業務命令として早出が必要な場合
例:朝礼、申し送り、交替制の引継ぎなど、会社の指示で決まっている業務がある場合。
始業前でも明確な業務を行っている場合
例:メールチェックや仕事セットアップを義務づけられている状況。
→ このような場合は、始業時刻前の出社時間にも賃金が発生すると判断されます。
3. 早出出社が「労働時間と認められない」ケース
一方で、次のようなケースでは、始業前の出社時間は労働時間とみなされないことが一般的です。
本人の裁量で早めに来ている場合
例:遅刻防止のために自主的に早く来ているだけで、会社からの指示や業務の義務がない場合。
→ この場合は、使用者の指揮命令下にあるとは言えず、賃金支払いの対象とならない可能性が高いです。
4. 判断基準──会社は何を見れば良いか?
以下の観点で検討するのが実務上の基本です。
① 指揮命令の有無
出社時間や作業内容について会社の明確な指示があったか。
② 義務性(業務上必須だったか)
会社が早出を義務として課していたか。任意の出社ではないか。
③ 時間・場所の拘束性
仕事の準備として会社の管理下に時間的・場所的に拘束されていたか。
5. 実務上の注意点(会社側)
就業規則・始業規定の整備
早出時の業務範囲や始業前の業務を明確に定めないと、後々トラブルになる可能性があります。
早出が常態化している場合の管理
従業員が早く来て働くことが常態化している場合でも、会社が指示していれば労働時間と評価される可能性があります。
6. まとめ
| 判断ポイント | 労働時間になる? |
|---|---|
| 会社の指示がある仕事 | ◎ なり得る |
| 会社管理下での作業 | ◎ なり得る |
| 自主的に早く来ただけ | × 労働時間ではない可能性 |
早出出社の時間を労働時間として扱うかどうかは、業務命令・拘束の程度・場所・時間の関係を総合的に見て判断されます。必要な場合は就業規則や運用を見直し、労働時間管理のルール整備を検討しましょう。
