労働問題504 2021年(令和3年)4月施行の改正高年齢者雇用安定法の概要と会社経営者が今後考えて行かなければならないことを教えて下さい。

 高年齢者雇用安定法では、従来から60歳未満の定年禁止、65歳までの雇用確保措置などが定められていましたが、2021年(令和3年)4月施行の改正高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会の確保が努力義務として新設されました。改正後の高年齢者雇用安定法の概要は次のとおりです(3が改正部分)。
1 60歳未満の定年禁止(義務)
2 65歳までの雇用確保措置(義務)
 ① 65歳までの定年引き上げ
 ② 定年制の廃止
 ③ 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度等)
3 70歳までの高年齢者就業確保措置(努力義務)→2021年(令和3年)4月施行
 ① 70歳までの定年引き上げ
 ② 定年制の廃止
 ③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度等)
 ④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度
 ⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
   ・事業主自ら実施する社会貢献事業
   ・事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業

 60歳から70歳までは10年もあります。生活保障(「雇用と年金の接続」)のためだけに定年後の高年齢者全員を雇用したり、就業を確保しなければならないと考えるには、長過ぎる期間といえます。会社経営者としては、高年齢者の能力(健康状態を含みます。)や意欲に応じて活躍する機会を与えられるよう、高年齢者の活用法について本腰を入れて考えなければならない時期に来ていると思います。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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