ワード:「労働問題」

裁判所で解雇が無効と判断された場合の解雇日から復職日までの不就労日などは、労基法39条の出勤日数・全労働日に含まれますか?

 裁判所で解雇が無効と判断された場合の解雇日から復職日までの不就労日などが労基法39条の出勤日数・全労働日に含まれるかについては、行政通達(平成25年7月10日付け基発0710第3号)が存在します。
 同通達は、八千代交通(年休権)事件最高裁第一小法廷平成25年6月6日判決(労判1075号21頁)を踏まえて出されたものということもあり、今後の裁判実務においても概ね同通達の解釈に沿った……

解雇が無効と判断された場合、労基法39条1項及び2項における出勤率の算定に当たり、解雇により労働契約が終了していることを理由として就労を拒んでいた所定労働日を出勤日数に算入する必要がありますか?

 解雇が無効と判断された場合、労基法39条1項及び2項における出勤率の算定に当たり、解雇により労働契約が終了していることを理由として就労を拒んでいた所定労働日を出勤日数に算入する必要があるかどうかについては、最高裁判例が存在します。
 八千代交通(年休権)事件最高裁第一小法廷平成25年6月6日判決(労判1075号21頁)は、以下のように判示し、そのような日は、労基法39条1項及び2項……

能力不足を理由とした解雇が認められるかどうかは、どのように判断すればよろしいでしょうか?

 能力不足を理由とした解雇が認められるかどうかは、基本的には労働契約で求められている能力が欠如しているかどうかによります。
 単に思ったほど能力がなく、見込み違いであったというだけでは、解雇は認められません。
 長期雇用を予定した新卒採用者については、社内教育等により社員の能力を向上させていくことが予定されているのですから、能力不足を理由とした解雇は、例外的な場合でない……

「仕事を休みます。」とだけ連絡してきて、勝手に何日も休んで周りに迷惑をかけている問題社員を解雇する際の注意点を教えて下さい。

 勝手に何日も休んで周りに迷惑をかけている社員を解雇する場合は、正当な理由なく欠勤を続けていることを解雇理由とするのが通常です。
 したがって、この解雇の有効性を判断するにあたっては「欠勤」の有無、日数、欠勤の理由等が問題となります。
 ここで最初に問題となるのが、「仕事を休みます。」との連絡が、年次有給休暇の取得申請なのか、欠勤の届出なのかという点です。
……

問題社員の解雇で苦労しないようにするためのポイントを教えて下さい。

 私の印象では、問題社員の解雇で苦労することになった原因のかなりの部分は、会社経営者が多忙であることなどから、採用活動にかける手間や費用を惜しんだり、人手不足の解消を優先させたりして、問題社員であるかもしれないと感じていながら、採用してしまったことにあります。
 確かに、問題を起こすような応募者だとは全く思わなかったのに、採用してみたら問題ばかり起こして困っているという事案もないわけ……

社員の態度が悪いため改善するよう指導したところ口論になり、当該社員は会社を辞めると言い残して退職届も提出せずに出て行ってしまいました。どのように対応すればいいでしょうか?

 まずは、本人と連絡を取って、会社を辞めるのであれば退職届を提出するよう促して下さい。
 退職届等の客観的証拠がないと、口頭での合意退職が成立したと会社が主張しても認められず、解雇したと認定されたり、解雇もなく合意退職も成立していないからまだ在職中であると認定されたりすることがあります。
 退職届を提出するよう促しても提出しない場合は、電子メールか書面で、会社を辞めるの……

労基署に相談してから解雇すれば、裁判にも勝てますよね?

 労基署は労基法違反を取り締まっていますので、労基法20条の解雇予告等をしてから解雇するよう指導する等、労基法違反にならないようにするためのアドバイスはしてくれるかもしれません。
 労基官によっては、解雇には客観的に合理的な理由が必要であり、社会通念上相当なものである必要もあること(労契法16条)についても教えてくれるかもしれません。
 しかし、解雇の有効性を判断する最……

問題社員に注意指導や懲戒処分をしたら、気分を害して職場の雰囲気が悪くなりますから、注意指導や懲戒処分なんてせずに直ちに解雇した方がいいのではないですか?

 確かに、問題社員に注意指導や懲戒処分をした場合、一定の軋轢が生じることは予想されるところです。
 しかし、注意指導や懲戒処分もせずに問題社員の好き勝手にさせていることの方が、職場の雰囲気にとって大きな問題です。
 当然行うべきであった注意指導や懲戒処分をしなかった結果、上司に対する態度もますます悪化したり、新入社員に仕事を教えなかったりいじめたりして何人も辞めさせたり……

問題社員の解雇に臨むに当たってのあるべきスタンスを教えて下さい。

 最初に解雇を決定してからどうやって問題社員を辞めさせるかを検討するのではなく、解雇せずに正常な労使関係を回復する方法がないか検討したものの正常な労使関係を回復する現実的方法がないため、やむなく解雇に踏み切るというスタンスが重要です。
 余程ひどい事案でない限り、まずは十分に注意指導し、懲戒処分を積み重ね、それでも改善されない場合に初めて解雇に踏み切るべきことになります。 弁護士法……

解雇に踏み切るタイミングを教えて下さい。

 解雇に踏み切るのは、原則として解雇が有効であることを証拠により立証できるようにしてからです。
 まずは、何月何日にどこでどのようなことがあったといったような解雇に客観的に合理的な理由があることを基礎付ける事実を紙に書き出してみて下さい。
 紙に書かれた事実だけで、解雇に客観的に合理的な理由があるといえるでしょうか?
 解雇に客観的に合理的な理由があるとい……

誰の目から見ても勤務態度が悪く、改善するとは到底思えない社員であっても、解雇に先立ち注意指導する必要がありますか?

 解雇権の濫用に当たるかどうか(労契法16条)を判断するにあたっては、注意指導や懲戒処分歴の有無等が考慮されます。
 勤務態度の悪さが客観的に改善の見込みが乏しいことを立証できるのであれば別ですが、注意指導や懲戒処分をしていないのでは、よほど悪質な事案でない限り、勤務態度の悪さが客観的に改善の見込みが乏しいことを立証することに困難を伴うのが通常です。
 勤務態度の悪さが……

勤務成績、勤務態度が悪いことは本人が一番よく知っているはずだし、このことは社員みんなが知っているような場合であっても、証拠固めが必要だというのはどうしてですか?

 十分な証拠固めをしないまま、「彼の勤務成績、勤務態度が悪いことは、本人が一番良く知っているはずだ。このことは社員みんなが知っていて証言してくれるはずだから、裁判にも勝てる。」といった安易な考えに基づいて「問題社員」を解雇する事例が見られますが、訴訟になるような事案では、労働者側はほぼ間違いなく自分の勤務成績、勤務態度には問題がなかったと主張してきますし、経営者、社員等の利害関係人の証言は経営者が……

問題社員を解雇する際の注意点のうち、最初に理解すべきものを教えて下さい。

 漠然と会社が解雇を有効と判断すべき事情が多いように思えた場合であっても、問題社員を解雇しても大丈夫だとは直ちにはいえないということには、十分な注意が必要です。
 有効に解雇するためには、解雇に「客観的に」合理的な理由が必要であり(労契法16条)、会社経営者が主観的に解雇には合理的な理由があると考えただけでは足りません。
 勤務成績、勤務態度等が不良であるというためには……

解雇を弁護士に相談するタイミングを教えて下さい。

 近年、解雇を契機として労使紛争が表面化し、使用者が多額の解決金の支払を余儀なくされることが多くなっています。
 社員を解雇し、紛争が表面化してから弁護士に相談したのでは、過去の事実は動かせない以上、どれだけ優秀な弁護士に依頼したとしても、それなりの出費は避けられないといった事態になりがちです。
 解雇を検討する場合は、解雇に踏み切る前の段階から弁護士に相談し、弁護士の……

解雇が無効と判断され、解雇期間中の賃金の支払を命じる判決が出たところ、労働者代理人弁護士から、「債務名義があるのだから、源泉徴収せずに全額払って欲しい。」と言われています。債務名義があるかどうかと源泉徴収義務の有無は関係あるのでしょうか。

 使用者は、強制執行により賃金の回収を受ける場合であっても、源泉所得税の源泉徴収義務を負うとするのが最高裁判所第三小法廷平成23年3月22日判決なのですから、使用者が判決に従い任意に賃金を支払う場合は、当然、源泉徴収義務を負い、源泉所得税を納付しなければならないことになります。
 したがって、使用者としては、債務名義の有無にかかわらず、源泉徴収した上で、賃金を支払うべきこととなります……

解雇が無効と判断され、解雇期間中の賃金の支払を命じる判決を放置していたところ、強制執行されてしまいました。強制執行のため、源泉所得税を源泉徴収できなかったのですから、源泉所得税を納付しなくても構いませんよね?

  所得税法28条1項に規定する給与等の支払をする者が、その支払を命ずる判決に基づく強制執行により賃金の回収を受ける場合であっても、源泉所得税の源泉徴収義務を負うとするのが最高裁判所第三小法廷平成23年3月22日判決ですので、源泉所得税を納付しなければなりません。
 源泉徴収できないのに源泉所得税を納付しなければならないのは不当だと言いたくなるかもしれませんが、上記最高裁判決が「上記……

解雇が無効と判断された場合に支払う賃金(バックペイ)から、解雇された労働者が解雇期間中に他社で働いて得た収入(中間収入)や失業手当を控除することはできませんか?

 解雇期間中の中間収入(他社で働いて得た収入)がある場合、その収入が副業収入のようなものであって解雇がなくても取得できた(自社の収入と両立する)といった特段の事情がない限り、
 ① 月例賃金のうち平均賃金の60%(労基法26条)を超える部分(平均賃金額の40%)
 ② 平均賃金算定の基礎に算入されない賃金(賞与等)の全額
が控除の対象となります(米軍山田部……

解雇が無効と判断された場合に解雇期間中の賃金として使用者が負担しなければならない金額を教えて下さい。

 解雇が無効と判断された場合に、解雇期間中の賃金として使用者が負担しなければならない金額は、当該社員が解雇されなかったならば労働契約上確実に支給されたであろう賃金の合計額です。
 解雇当時の基本給等を基礎に算定されますが、各種手当、賞与を含めるか、解雇期間中の中間収入を控除するか、所得税等を控除するか等が問題となります。
 
 通勤手当が実費保障的な性質を……

解雇が無効と判断された場合、使用者はいつまでの賃金を支払い続けなければならないのですか?

 解雇が無効と判断された場合、労働者が転職せずに職場復帰を求め続けた場合は、実際には全く働いていない期間についても賃金の支払を命じられることになります。
 もっとも、解雇された労働者が他社に正社員として就職したり、使用者が解雇を撤回して労働者に出社するよう命じたにもかかわらず労働者が出社しなかったような場合は、解雇された労働者が労務提供の意思を喪失していると評価できるのが通常であり、……

解雇が無効だったとしても、ノーワーク・ノーペイなのですから、働いていない期間の賃金は支払う必要はありませんよね?

 解雇が無効の場合において、労働者が就労の意思と能力があるにもかかわらず、使用者が就労を拒絶しているような場合には、就労不能の帰責事由が使用者にあると評価されるのが通常です。
 したがって、解雇された労働者が現実には働いていなかったとしても、使用者は賃金支払義務を免れず(民法536条2項)、実際には働いていない期間についての賃金についても、支払わなければならなくなります。
……

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