労働問題237 タイムカードや日報等に記録されている出社時刻・退社時刻と労働時間の開始時刻・終了時刻との関係を教えて下さい。
タイムカードや日報等の出社時刻、退社時刻が分かる客観的証拠がある場合であっても、必ずしもタイムカードや日報等に記録されている出社時刻=労働時間の開始時刻、退社時刻=労働時間の終了時刻とは限りませんので、タイムカードや日報等に記録されている時刻が直ちに労働時間の開始時刻や終了時刻になるわけではありません。
しかし、実際には、出社時刻≒労働時間の開始時刻、退社時刻≒労働時間の終了時刻と事実上推定され、使用者が、出社時刻≠労働時間の開始時刻、退社時刻≠労働時間の終了時刻であること、休憩時間以外にも労働していない時間があることなどを具体的に主張立証できない限り、
労働時間=出社時刻から退社時刻までの時間-休憩時間
と認定されるリスクが高くなっています。
したがって、タイムカードや日報等に記録されている出社時刻・退社時刻と異なる労働時間の開始時刻・終了時刻を使用者が主張したいのであれば、その立証のための客観的な証拠を残しておく必要がありますが、通常は困難を伴います。
タイムカードや日報等に記録された労働時間(労働時間の開始時刻・終了時刻)を認めることを前提として賃金額を設定し、タイムカードの管理、ダラダラ残業の防止・指導に力を入れた方が現実的なのかもしれません。
会社経営者は、残業代を請求する内容証明郵便が届いて初めて、タイムカードや日報等に記録された出社時刻・退社時刻に問題があり、残業時間が水増しされているといった主張をすることになりがちですが、タイムカードや日報等に記録された出社時刻・退社時刻に問題があるのであれば、紛争になる前にその都度、問題点を指摘して改めさせる必要があります。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎