ワード:「就業規則」
在職中及び退職後の秘密保持義務についての留意点を教えてください。
この記事の結論
1
在職中は、規定がなくても当然に秘密保持義務を負う
在職中の労働者は、労働契約の付随義務として、使用者の営業上の秘密を保持すべき義務を負っています。この義務は、就業規則や個別合意がなくても発生すると考えられています(メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ事件、東京地裁平成15年9月17日判決)。
2
退職後……
競業行為に対し差止め請求する場合、どのようなことに留意する必要がありますか。
この記事の結論
1
契約上の差止め条項があれば、これに基づき差止めを求める
就業規則や個別の合意書に競業の差止め条項が明記されている場合、通常は、同条項に基づき、競業行為の差止めを求めることになります。
2
契約上の義務がない場合、差止めが認められるのは限定的な場合のみ
契約上の競業避止義務を負わない労働者への不法行為に基づく差止……
退職後の競業行為が不法行為と判断される場合のポイントを教えてください。
この記事の結論
1
退職後の競業は原則自由。就業規則等があれば別
従業員の退職後の競業は、原則として自由と考えられています。退職後の競業避止義務が認められる場合として、まず、就業規則の規定や個別の合意があり、これらが有効な場合が考えられます。
2
自由競争の範囲を逸脱した顧客奪取は不法行為になり得る
規定や合意がなくても、元従業員……
在職中の従業員が競業や競業準備を行った場合、競業避止義務違反か否かはどのように判断されていますか。
この記事の結論
1
在職中は、規定がなくても当然に競業避止義務を負う
個別の労働契約や就業規則の規定がなくても、在職中の従業員は、労働契約に付随する誠実義務の一環として、当然に競業避止義務を負うと考えられます。在職中の競業行為は当然に義務違反となります。
2
競業「準備」は、事業活動への影響の有無で判断される
在職中の競業準備が義……
無期契約における辞職と、有期契約における辞職は、どのように違いますか。
この記事の結論
1
無期契約は2週間前の予告で、いつでも辞職できる
無期契約においては、労働者は2週間の予告期間を置けばいつでも辞職が可能です。過度に長期の予告期間を就業規則で定めても、辞職の自由を制限するものとして公序良俗に反し無効と判断されるおそれがあります。
2
有期契約の辞職も、多くの会社では無期契約と同様に運用されている
……
解雇の規制にはどのようなものがありますか。
この記事の結論
1
業務上災害の療養中・産前産後休業中は解雇できない
業務上災害による療養のための休業期間、産前産後休業期間およびその後30日間は、その労働者を解雇することはできません。打切補償を支払えば解雇制限は解除され、労災保険給付を受ける労働者もその対象になります(専修大学事件、最高裁平成27年6月8日判決)。
2
組合活動・……
労働者から解雇理由証明書の発行を請求された場合、どのように対応すればよいですか。
この記事の結論
1
請求があれば、使用者は遅滞なく交付しなければならない
労基法では、労働者から解雇理由証明書の発行を請求された場合、使用者は遅滞なく交付しなければならないと定めています。
2
請求されていない内容は記載してはならない
解雇理由証明書には、労働者が請求していない内容については書いてはならず、労働者が解雇事実について……
情報漏洩、兼業、競業行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。
この記事の結論
1
企業情報の漏洩は、企業秩序を現実に侵害する場合に懲戒事由となる
業務上知り得た情報を、職務と密接に関連する形で外部に発信する行為は懲戒事由となり得ます。SNSでの漏洩がインターネット上で炎上し、企業秩序を侵害するケースも増えています。
2
兼業は労務支障や秘密漏洩のおそれがあれば禁止でき、競業行為はより厳格
兼……
勤務時間外における企業外での犯罪行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。
この記事の結論
1
企業秩序に関係を有する場合に限り、懲戒事由となる
勤務時間外の企業外行動は原則として労働者の私生活上の行為ですが、企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるなど企業秩序に関係を有する場合は、懲戒事由となります(関西電力事件、最高裁昭和58年9月8日判決)。
2
運転業務従事者は、他の職種より厳格に判断される
バス……
企業内政治活動・組合活動を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。
この記事の結論
1
就業時間中の政治活動は原則懲戒処分の対象、時間外は特別の事情が問題になる
就業時間中の政治活動は職務専念義務に違反するため原則として懲戒処分が肯定されます。終業時間外の活動は、企業秩序を乱すおそれのない特別の事情がある場合には就業規則違反になりません(目黒電報電話局事件、最高裁昭和52年12月13日判決)。
2
……
懲戒処分が法的に有効とされるために必要な手続の相当性について、具体的に教えてください。
この記事の結論
1
本人への弁明機会の付与は、規定の有無を問わず原則として必要
懲戒処分は制裁罰としての性格を有し、労働者に与える不利益も大きいことから、弁明の機会の付与を欠く場合には、特段の事情がない限り、手続的正義に反して懲戒処分は無効になると考えられます。
2
労働者の調査協力義務は、業務との関連性で判断される
調査協力義務……
懲戒処分が法的に有効とされるために必要な処分の相当性について、具体的に教えてください。
この記事の結論
1
課せる懲戒処分は、就業規則に定めた種類に限定される
就業規則に記載されていない懲戒処分を行うことはできません。就業規則が懲戒事由ごとに処分の種類を限定的に規定している場合、その手段はそこに限定され、より軽い処分であっても課すことはできないとされています。
2
同種の非違行為には、先例を踏まえた同等の処分が求められ……
懲戒処分が法的に有効とされるために必要な懲戒処分事由該当性について、具体的に教えてください。
この記事の結論
1
懲戒事由は就業規則に明確に定め、合理的な限定解釈が加えられる
懲戒処分が有効となるには、まず懲戒事由を就業規則に明確に定める必要があります。「その他これに準ずる場合」といった包括条項も、合理的な限定解釈が加えられるのが通常です。
2
懲戒当時に認識していなかった非違行為は、原則として追加主張できない
懲戒当時に……
職務資格制度・職務等級制度における降格のポイントを教えてください。
この記事の結論
1
職能資格制度上の等級の引下げには、就業規則の明確な根拠が必要
職能資格制度は、一旦到達した職務遂行能力が引き下がることは本来予定されていないため、資格・等級を引き下げる降格には、就業規則等に引下げがあり得る旨を明記するなど、特別の労働契約上の根拠が必要です。
2
降格が有効でも、賃金減額には別途の根拠が必要
降……
降格が人事権濫用と判断されるのはどのような場合ですか。
この記事の結論
1
職位・役職の降格は、就業規則の根拠規定なく人事権として行える
一定の役職を解く降格は、差別や不利益取扱い禁止の規制に該当する場合を除き、労働契約を根拠とする人事権の行使として行うことができ、就業規則等の根拠規定は必要ありません。
2
社会通念上著しく妥当性を欠けば、権利濫用として無効になる
人事権は経営上の裁量……
定額残業代の最近の裁判例を教えてください。
この記事の結論
1
月45時間を大幅に超える定額残業代は、公序良俗違反とされるリスクがある
36協定の延長限度基準である月45時間を大幅に超える時間数を前提とした定額残業代は、その時間数を義務付けること自体が安全配慮義務や公序良俗に反するとして、月45時間相当分の対価としてしか認められない裁判例があります。
2
手当の性質が時間外労……
就業規則に配転に関する規定を設ければ、自由に配転できますか。
この記事の結論
1
個別の職種・勤務場所限定合意があれば、包括規定より優先する
就業規則に包括的な配転規定があっても、個別に職種や勤務場所を限定する合意をしている場合には、原則として、その従業員の同意がない限り、合意の範囲を超える配転を命じることはできません。
2
転勤命令権は無制約ではなく、濫用は許されない
使用者は業務上の必要……
月給制の時間単価の計算方法を教えてください。
この記事の結論
1
時間単価=1か月の基礎賃金÷1か月の所定労働時間数
月給制における残業代の時間単価は、1か月の基礎賃金を、1か月の所定労働時間数で除して算定します。所定労働時間が月によって異なる場合には、1年間の1月平均所定労働時間数を用います。
2
割増率は原則、時間外1.25・休日1.35・深夜0.25
算定した時間単価に……
残業代(割増賃金)の支払の対象となる労働時間とはどのような時間ですか。
この記事の結論
1
残業代の対象は、法定時間外労働・法定休日労働・深夜労働の3区分
使用者は、労働者を法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働に従事させた場合には、残業代(割増賃金)を支払わなければなりません(労基法37条)。従業員から残業代を請求された際は、この3区分に沿って対象時間を精査する必要があります。
2
法定内残業や法定外……
出向先の会社は出向社員を懲戒処分できますか。
この記事の結論
1
軽微な懲戒処分は出向先の職場秩序維持権限の範囲内で可能
出向先は、就業管理や職場秩序維持に関する権限を有するのが一般的であり(763の記事参照)、この範囲で、戒告や譴責といった軽微な懲戒処分を行うことは可能と考えられます。
2
懲戒解雇は雇用契約の当事者でない出向先にはできない
懲戒解雇は雇用契約の終了を伴うた……