労働問題750 勤務場所限定合意があると認められるのはどのような場合ですか?
1 勤務場所限定合意とは
勤務場所限定合意とは、雇用契約において労働者を一定の勤務場所に限定して配置する旨の合意をいいます。勤務場所限定合意がある場合、使用者は、労働者の同意を得ない限り、労働者を他の勤務場所へ配転させることはできません。
勤務場所限定の合意は、明示の合意のみならず、黙示の合意でもよいとされています。
2 労働契約通知書に勤務場所が記載されている場合
労働契約通知書に勤務場所が記載されていたとしても、当該記載は、通常、採用直後の就業場所として記載されているものと考えられますので、労働契約通知書に勤務場所が記載されていることのみをもって勤務場所限定合意があるとは認められないと考えます。
3 特定の職種で採用された場合
たとえば、事務職や現地採用社員として雇用されていたとしても、そのことのみをもって直ちに明示又は黙示の勤務地限定合意があると認められるものではなく、採用面接における使用者側及び労働者側の説明内容、契約締結時の事情、配転に関する就業規則の規定などを考慮して、職種限定の合意があるかを検討していくことになります。
もっとも、労働契約締結時に勤務地を限定する明示の合意をしなかった場合で、尚且つ就業規則や労働協約に「業務上の必要により社員を転勤させることがある。」旨の記載が存在し、入社時点で既に他の事業所への転居を伴う転勤措置が同僚に対し実施されているなどの事情がある場合、通常は、転勤の可能性があることを把握していたといえ、勤務地限定合意は認められないと考えます。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
勤務弁護士作成