Q791 懲戒処分が法的に有効とされるために必要な手続の相当性について、具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには、本人への弁明機会、賞罰委員会の開催、労働組合等の手続的保障がどこまで求められているのかが問題となります。
 本人への弁明の機会は、規定の有無を問わず必要なものであり、実質的に行われる必要があります。裁判例(ホンダエンジニアリング事件宇都宮地裁平成27年6月24日判決)では、就業規則上、懲戒解雇に際して労働者に弁明の機会を与える旨の規定がない場合には、会社が規定に沿って賞罰委員会に諮って懲戒解雇を行った以上、弁明の機会を付与しないことをもって直ちに懲戒処分が違法になるものではないと判示するものもあります。しかし、懲戒処分は刑罰に類似する制裁罰としての性格を有するものであることや、懲戒処分が労働者に対し与える不利益に鑑みると、弁明の機会の付与を欠く場合には、特段の事情がない限り手続的正義に反して懲戒処分は無効となると考えます(日本通信事件東京地裁平成24年11月30日判決、甲社事件東京地裁平成27年1月14日判決、日本ボクシングコミッション事件東京地裁平成27年1月23日判決)。
 もっとも、適正手続保障も、懲戒手続きにおける各種の調査において、当該労働者の協力が前提となります。裁判例(富士重工業事件最高裁第三小法廷昭和52年12月13日判決)は、調査協力義務を企業秩序遵守義務の内容と考え、調査への協力が「労務提供義務を履行する上で必要かつ合理的」な場合に認められるとしました。このことから、労働者が誠実に対応しない場合については、使用者の対応もそれに応じたもので許されることもあり得ると考えられます。また、議事が賞罰委員会の規定に違反していたとしても、懲戒処分が直ちに無効になるものではないとされた例もあります(日本工業新聞社事件東京高裁平成15年2月25日判決)。

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