労働問題789 懲戒処分が法的に有効とされるために必要な懲戒処分事由該当性について、具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには、まず、懲戒事由を就業規則に明確に定める必要があります。ただし、懲戒事由が就業規則に定められた場合であっても、当該行為が懲戒事由に該当するか否かの判断において合理的な限定解釈を加えることは多くあります。また、一般の就業規則には、列記された懲戒事由の末尾に「その他、これに準ずる場合」という条項が置かれていることが多いですが、このような規定についても、合理的な限定解釈が加えられるのが通常です。
 また、新たに設けた懲戒規定をそれ以前の行為に適用することはできず、過去に懲戒の対象となった行為について重ねて処分を行うこともできません。例えば、過去において懲戒の対象となった行為と、新たな対象行為との間に社会的同一性ないし関連性が認められる場合に、当該懲戒処分が無効とされることがあります。また、個別の事実に関する処分とされても、時間の経過により企業秩序が回復していたり、懲戒処分は行わないであろうという労働者の期待権を侵害する場合には、処分の社会的相当性を欠くことを理由に無効とされることもあります。
 次に、懲戒処分後新たに判明した非違行為を使用者が懲戒事由として主張できるか否かが問題となってきます。判例(山口観光事件最高裁第一小法廷平成8年9月26日判決)は、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情がない限り、当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないとしています。ただし、懲戒当時に使用者が認識していた非違行為については、告知された非違行為と実質的に同一性を有するものや、同種・同類型、密接に関連するものと認められる場合には、当該懲戒処分の有効性を根拠付けることができるとされ、解雇時に認識はしていたが多岐にわたるために通告しなかった事実理由とする懲戒解雇が有効とされた例があります(富士見交通事件東京高裁平成13年9月12日判決)。

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