ワード:「労働問題」

就業規則に「懲戒解雇の場合、退職金は不支給とする。」と定めておけば、懲戒解雇する労働者に退職金を支給しなくてもいいですか。

 退職金には、在職期間中の労務提供の対価(賃金)の後払いという側面があります。賃金の後払いという側面がある以上、懲戒解雇の場合に退職金を不支給とすると就業規則で規定しても、労働者が退職時までに積み上げてきた労務提供に対する対価が否定されるような事情がなければ、退職金を不支給にすることはできないとされています。
 裁判例では、「当該労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な不信……

従業員が10人未満の場合に就業規則を作成する必要はありますか。

 常時働いている労働者が10人未満であれば、労基法上、使用者は就業規則作成義務を負いませんので、就業規則を作成・届出をしなくても労基法違反にはなりません。
 しかし、懲戒処分をするためには就業規則に規定を設けて周知させる必要がありますし、就業規則に労働時間や賃金等の労働条件を画一的、統一的に定めることができますので、労働者が10人未満の会社であっても就業規則を作成することをお勧めしま……

兼業・副業が発覚した労働者を懲戒処分することはできますか?

 兼業・副業は、労働時間外の私生活上の行為ですので、労働契約における規律・秩序を保持するための制裁である懲戒処分の対象とはならないのが原則です。
 もっとも、就業規則で無断兼業・無断副業の禁止規定があるにもかかわらず無許可で兼業・副業している場合、兼業・副業が原因で何度も欠勤している場合、兼業・副業によって業務に支障が生じている(兼業・副業で深夜まで働いているために遅刻や居眠りが目立……

労働者が業務時間外に刑事事件を起こした場合、懲戒処分できますか。

 労働者が業務時間外に刑事事件を起こした場合、直ちに懲戒処分に処することができるわけではなく、
① 社員の言動が懲戒事由に該当すること
② 当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められること(労契法15条)
等が必要となります。  業務時間外の行為を理由に懲戒処分で……

所持品検査拒否を理由とする懲戒処分の有効性の判断基準を教えて下さい。

 所持品検査拒否を理由とする懲戒処分の有効性について、裁判では、
① 所持品検査を必要とする合理的な理由に基づいているか
② 一般的に妥当な方法と程度で行われているか
③ 制度として労働者に対し画一的に実施されているか
④ 就業規則等の明示の根拠に基づいて行われているか
を基準に判断されています。 弁護士法人四谷麹町法律事務所……

「退職します」と連絡した後、連絡を断つ。

1 退職届の要否
 就業規則に、退職する場合には退職届を提出するよう規定している会社がありますが、退職届が提出されていなかったとしても、メールその他の客観的状況から社員が真に退職する意思を有していると評価できる場合には、退職届があった場合と同様に扱うことができます。
 もっとも、紛争を生じさせないためには、社員に退職届を提出してもらうよう方法を尽くすことが重要であり、退……

普通解雇の理由を後で追加することはできますか?

 普通解雇した当時に存在していた理由であれば、追加することができるとされています。
 他方、懲戒解雇は、後になって懲戒解雇理由を追加することはできません。懲戒解雇は普通解雇とは異なり労働者に対する制裁罰であるため、懲戒処分の有効性はその理由とされた事実との関係においてのみ判断される必要があるからです。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
勤務弁護士作成……

突然行方不明になった労働者との労働契約を終了させるためには、どのような方法が考えられますか。

 労働者が突然行方不明になった場合、労働契約を終了する方法は、次の2つが考えられます。 ① 就業規則の当然退職規定による退職
② 長期無断欠勤による懲戒解雇  ①は、就業規則において、長期間連絡が取れず行方不明となった者を退職とする規定を設けておく方法です。①のメリットは、労働者が当然退職の扱いになるため、使用者が解雇しなくても労働契約が終了するという点です。解雇しなくてもよいと……

退職勧奨により労働者が退職届を提出したにもかかわらず、退職の意思表示が取り消されることはありますか。取り消されることがある場合,取り消されないためにはどのような点に配慮するべきですか。

 退職勧奨の結果、労働者が自ら署名押印のある退職届を提出した場合であっても、一般原則である民法に基づいて、労働者の退職の意思表示が強迫や詐欺によるものであること理由に取り消される恐れがあります(民法96条1項)。
 退職の意思表示が強迫によるものであることを理由に取り消されないようにするためには、何らかの無理強いをしたり、労働者に恐怖を抱かせるような状況を作り出したりして退職勧奨しな……

インターネット上で会社を誹謗中傷する。

1 書き込んだ社員を特定する
 まずは、IPアドレスを割り出し、誰が当該記事を書き込んでいるかを特定する必要があります。IPアドレスを割り出す方法としては、掲示板運営者に対して、開示請求する方法と、裁判手続があります。
 次に、IPアドレスをもとにwhois検索を行い、プロバイダを割り出します。
 プロバイダが判明した場合は、プロバイダに対して発信者情報の……

役職を外したのに役職手当の不支給に納得しない。

1 人事権の行使としての降職
 会社は、業務上の必要性や労働者の資質などに応じて、組織の中のどこに社員を配置し役割を決めるかの人事権を有していますので、人事権に基づいて当該社員を役職につけたり、外したり(降職させたり)することができます。
 これに対し、懲戒処分として降職させる場合には、就業規則を社員に周知しているか、懲戒処分として降職の規定があるかどうかを確認し、懲戒……

多重債務を抱えている。

1 金融業者から会社に電話がかかってきた場合の対応
 金融業者から当該社員宛に電話がかかってくることで、多重債務の事実が判明することがあります。
 原則として、当該社員が借金をしていることは私的事項であり、会社の業務とは関係ありませんので、事情を聞く場合であっても、プライバシーの侵害にならないよう常識的な範囲内で聞くようにしましょう。
 当該社員が経理担当……

高年法は継続雇用制度における労働条件について規定を設けていますか?

 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年法」という)は、継続雇用制度における労働条件について、何ら規定していません。そのため、継続雇用における労働条件は、使用者と労働者の合意に委ねられていることになります。就業場所も、定年時のものに拘束されません。
 しかしながら、使用者が、継続雇用を希望する労働者に対し、従前の労働条件と比較してあまりに不利な労働条件を提示し、応じない場合……

高年法について知っておくべきポイントを教えてください。

 平成24年の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年法」という)の改正により、定年を65歳未満と定めている事業主は、雇用する65歳までの安定した雇用を確保するため、①定年の引き上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければならないとされました。中小企業では定年制を設けていない会社も少なくありませんが、大企業では、65歳までの定年制延長は賃金に見合った高齢者の……

在職中及び退職後の秘密保持義務についての留意点を教えてください。

1 在職中の労働者
 在職中の労働者は、労働契約の付随義務として、使用者の営業上の秘密を保持すべき義務を負っています。
 この秘密保持義務については、多くの会社が就業規則で定めており、また、誓約書や秘密保持契約書等もなされていますが、就業規則や個別合意がなくても発生すると考えられています(メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ事件東京地裁平成15年9月17日判決……

退職勧奨をした際に退職を強要したとして慰謝料請求が認められた事例には,どのようなものがありますか?

 退職勧奨とは、辞職を勧める使用者の行為、あるいは、使用者による合意解約の申し込みに対する承諾を勧める行為をいいます。退職勧奨自体は事実行為ですので、使用者がこれを行なうかどうかは基本的には自由です。
 しかし、社会的相当性を逸脱した態様での半強制的ないし執拗な退職勧奨行為が行なわれた場合には、使用者は労働者に対して、不法行為に基づく損害賠償義務を負うことになります。
……

退職勧奨とはどういうものですか?

 退職勧奨とは、使用者が労働者に対して辞職や労働契約の合意解約の承諾を促すことをいいます。厳格な解雇規制を回避するために、使用者が経営上の理由によるリストラを行うに際して、希望退職募集制度を実施しながらも目標退職者数を確保する目的で、あるいは、希望退職募集制度実施後の事業方針に適合しない労働者等の特定の労働者の退職を促す目的で、労働者との個別面談を通じて行われるのが通常です。また、目標退職者数が少……

解雇の規制にはどのようなものがありますか?

1.労働契約上の規制
 解雇権は、労働契約に当然に付随する権利と理解されており、普通解雇をするに当たり、就業規則の定めなどは必要ありません。しかし、常時10人以上の労働者を雇用する場合は、就業規則を定め、労働基準監督署に届け出なければならず、解雇事由は就業規則の絶対的必要事項であり、労働契約時に書面により明示しなければなりません(労基法15条1項、労規則5条1項4号)。
……

情報漏洩、兼業、競業行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

1.情報漏洩
 企業情報等の漏洩は、企業秩序を現実に侵害する場合は懲戒事由となります。例えば、新聞記者が個人用ホームページに業務上知り得た事実や体験談を掲載したことが、新聞社における職務と密接に関連し、取材源秘匿との会社方針に反する行為であった等として、出勤停止処分が有効とされた裁判例があります(日本経済新聞社事件東京地裁平成14年3月25日判決)。近年では、SNSに企業情報の漏洩な……

企業内政治活動・組合活動を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

 企業内の政治活動、組合活動の懲戒事由該当性は、慎重に判断されるのが通常です。具体的には、まず、政治活動等の禁止、許可規定に違反してなされた政治活動が懲戒事由になるか否かが問題になります。就業時間中の活動は、職務専念義務に違反するため原則として懲戒処分が肯定されますが、問題は、終業時間前、終業時間後、休憩時間等、終業時間外に行ったケースです。判例は(目黒電報電話局事件最三小昭和52年12月13日判……

YOTSUYA-KOJIMACHI LAW OFFICE

K-WING Bldg. 7F
5-2 Kojimachi, Chiyoda-ku,
Tokyo 102-0083 JAPAN
TEL. +81-03-3221-7137

Copyright ©I solve the labor problems such as the issue of lawyer corporation Yotsuya Kojimachi law office employee, discharge, the retirement trouble, overtime pay request, a labor umpire, group negotiations with company management's lawyer. I cope with online consultation. All Rights Reserved.

弁護士法人四谷麹町法律事務所

〒102-0083 東京都千代田区麹町5丁目2番地 
K-WINGビル7階 TEL:03-3221-7137

Copyright ©問題社員、懲戒処分、退職、解雇、残業代、労働審判、団体交渉等の労働問題は経営労働相談で解決|弁護士法人四谷麹町法律事務所 All Rights Reserved.
Return to Top ▲Return to Top ▲