労働問題883 出勤停止による無給は労基法91条に反しますか。
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出勤停止の無給はノーワークノーペイの結果 出勤停止による無給は、労働者が出勤停止処分によって労務提供しないことの結果(いわゆるノーワークノーペイ)ですので、減給処分による賃金減額とは異なります。 |
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労基法91条は減給処分の上限を定めるにとどまる 労基法91条は減給処分における減額の上限を定めるものであり、出勤停止による無給には適用されません(昭和23年7月3日基収2177号、パワーテクノロジー事件、東京地裁平成15年7月25日判決)。 |
懲戒処分の一種である出勤停止は、対象となる労働者の給与に大きな影響を与える処分です。この際、労基法91条が定める減給処分の上限規制との関係が問題になることがあります。
会社側専門の弁護士の立場から、出勤停止による無給が労基法91条に反するかを解説します。
01出勤停止の無給と減給処分の違い
出勤停止による無給は、労働者が出勤停止処分によって労務提供しないことの結果(いわゆるノーワークノーペイ)ですので、減給処分による賃金減額とは異なります。減給処分は、労働者が実際に勤務した日について、その賃金額を制裁として減額するものであるのに対し、出勤停止は、そもそも労働者に就労させないことによって、その期間の賃金請求権自体が発生しないという構造の違いがあります。
02労基法91条が適用されない理由
労基法91条は減給処分における減額の上限を定めるものですから、出勤停止による無給には適用されません。解釈例規や裁判例でも同様の見解が述べられています(昭和23年7月3日基収2177号、パワーテクノロジー事件、東京地裁平成15年7月25日判決)。
つまり、出勤停止処分の日数分の賃金を支払わないという扱いは、「賃金からの減額」ではなく、「そもそも労務提供がなかったことに対応する賃金の不発生」という理屈で説明され、労基法91条が定める1回の減給額(平均賃金の1日分の半額以内等)や総額の制限規制の枠外に置かれるということです。
03会社側が押さえておくべき視点
会社側としては、出勤停止処分を実施する場合、その期間中の賃金を無給とすることは、労基法91条の減給上限規制には抵触しないという点を正確に理解しておく必要があります。もっとも、出勤停止期間の長さ自体は、懲戒処分としての相当性(789・791の記事で解説した懲戒事由該当性・手続の相当性の判断枠組み)の観点から、別途、当該非違行為の内容・程度に照らして相当な範囲にとどめる必要があります。
労基法91条の枠外にあるからといって、無制限に長期の出勤停止を科してよいわけではなく、あくまで懲戒処分の一般的な有効性判断(客観的合理性・社会通念上の相当性)の枠内で、適正な期間を設定することが重要です。
04よくある質問(FAQ)
Q. 出勤停止処分の期間の賃金を無給とした場合、労基法91条の減給上限に違反しますか。
違反しません。出勤停止の無給はノーワークノーペイの結果であり、労基法91条が対象とする減給処分とは異なります。
Q. 労基法91条の枠外なら、出勤停止の期間は自由に決めてよいですか。
自由には決められません。懲戒処分としての一般的な有効性判断(客観的合理性・社会通念上の相当性)の枠内で、非違行為の内容・程度に照らして相当な期間にとどめる必要があります。
Q. 減給処分と出勤停止処分の違いは何ですか。
減給処分は実際に勤務した日の賃金を制裁として減額するのに対し、出勤停止は就労させないことでその期間の賃金請求権自体が発生しないという構造上の違いがあります。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。懲戒処分の設計・運用でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日:2026年7月13日