労働問題685 企画業務型裁量労働制の概要を教えてください。

 企画業務型裁量労働制とは、賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする労使委員会が設置された事業場において、当該労使委員会がその委員の5分の4以上の多数による議決により、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務(対象業務)、対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者であって、当該対象業務に就かせたときは当該決議で定める時間労働したものとみなされることとなるもの(対象労働者)の範囲等、労基法38条の4第1項に掲げる事項に関する決議をし、かつ、使用者が当該決議を労働基準監督署長に届け出た場合に、対象労働者を当該事業場における対象業務に就かせたときは、実労働時間と関係なく、決議で定められた時間労働したものとみなす制度です(労基法38条の4)。
 使用者は労働者の労働時間を把握し、把握した時間に応じて算定した賃金を支払う義務を負うのが原則ですが、企画業務型裁量労働制の適用により、労働時間把握義務を免除されることになります(平成13年4月6日基発339号)。
 本制度は、みなし労働時間の決定を労使自治に委ねるものである以上、企画業務型裁量労働制の適用要件を充足する限り、みなし労働時間と実労働時間が乖離している場合であっても、みなし労働時間労働したものとみなされることになります。
 本制度は、労働時間をみなす制度であり、労働時間に関する労基法の規制の適用を除外する制度ではありませんので、休憩(労基法34条)、休日(同法35条)、時間外及び休日の労働(同法36条)、時間外、休日及び深夜の割増賃金(同法37条)などの規定は原則どおり適用されます。
 したがって、みなし時間が法定労働時間(労基法32条)を超える場合や法定休日に労働させる場合には時間外・休日労働に関する労使協定の締結・届出(同法36条)や時間外・休日割増賃金(残業代)の支払(同法37条1項)が必要となりますし、深夜(22時~5時)に労働させた場合には、深夜割増賃金の支払(同法37条4項)が必要となります。

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