労働問題846 時間外労働が発生した翌日に、時間外労働に係る時間分だけ労働時間を短縮すれば、残業代を支払わなくてもいいですよね?
たとえば、ある労働日に1時間時間外労働したため、その翌日に、所定労働時間よりも1時間早く帰らせ残業代を支払わない方法や、割増の25%部分のみ支払い、100%部分は代休を取得させて相殺させるという方法が問題となることがあります。
労基法32条1項は、「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。」と規定しており、これは労働時間の上限である法定労働時間を1日1日で計算すべきことを意味しているのであって、平均して1日8時間とすることを許容しているものではありません。したがって、1日8時間の労働時間を超過した場合は、当該時間外労働時間はその日の労働として、時間外割増賃金の支払義務が発生します。つまり、翌日以降に労働時間を短縮したり、代休を取得させたとしても、既に発生した割増賃金に影響を与えるものではないということです。
なお、1日の所定労働時間が8時間以内の会社における法内残業や、所定労働時間内の法定外休日における労働に対して、賃金を支払う代わりに代休を付与することは、労使間の契約(合意)に委ねられています。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
勤務弁護士作成