ワード:「固定残業代」

定額残業代(みなし残業代)が割増賃金(残業代)の支払として認められるためのポイントは何ですか。

この記事の結論 1 割増賃金として有効とされるには「明確区分性」と「対価性」の2要件が必要 定額残業代が割増賃金(残業代)の支払として認められるためには、①定額残業代部分とその他の賃金が明確に区分されていること(明確区分性)、②定額残業代が時間外労働等の対価として支払われていること(対価性)の2要件が必要です(日本ケミカル事件最高裁平成29年7月7日判決等参照……

固定残業代(定額残業代・みなし残業)は、最低賃金の判断で考慮されますか。

この記事の結論 1 残業代は最低賃金の判断に考慮されない。固定残業代も同様 残業代は最低賃金以上の賃金を支払っているかを判断する際に考慮されません。固定残業代(定額残業代・みなし残業)も残業代ですから、原則として最低賃金の判断には考慮されません。 2 理論上は残業代の実質を持たない場合に考慮される余地がある 固定残業代が「時間外労……

賃金減額について労働者の同意があれば、有効になりますか。

この記事の要点 ✓ 使用者が一方的に賃金を引き下げることは原則としてできない——賃金減額には法的に認められた3つの手法のいずれかが必要 「経営上必要だから」という理由だけで賃金を下げると、無効として差額の未払賃金請求を受けるリスがあります ✓ 3つの方法は①労働協約の締結、②就業規則変更(労働契約法10条)、③個別合意——それぞれ法……

飲食店における手待時間は、労働時間として残業代の計算に含める必要がありますか。

この記事の要点 ✓ 「客がいない時間は休憩でよい」と指示していても、来客時に直ちに対応する義務がある以上、その時間は原則として残業代(割増賃金)計算の対象となる労働時間に当たる 実作業がないことと、労働時間でないこととは別問題です ✓ 法的に「休憩時間」と認められるためには、労働者が使用者の指揮命令から離れ、自由に時間を使える状態(……

飲食業で残業代(割増賃金)請求が多発する理由と、会社が講じるべき対策を教えてください。

この記事の要点 ✓ 「飲食業だから払えない」「昔からこのやり方で問題にならなかった」は法的に一切通用しない——労基法は業種を問わず一律に適用される 裁判所は経営事情よりも法令遵守の有無を基準に判断します ✓ 飲食業は長時間労働・深夜労働・固定残業代の設計不備という三重の構造から、残業代請求が高額化しやすい——「月数万円」が「数百万円……

ドライバーから「給料日前にお金を貸してほしい」と言われた場合、会社はどのように対応すればよいですか。

結論 ドライバーへの金銭貸付は、会社側弁護士の立場からは原則としてお勧めできません。貸付は「回収不能リスク」「関係悪化リスク」「残業代請求誘発リスク」という三重のリスクを抱えており、返済を求めた途端に残業代請求という反撃を受けることが実務上珍しくありません。どうしても対応するなら、貸付ではなく給与前払いという整理を検討してください。 目次 01 運送業で起こりがちな……

運転手が「休みなしで働きたい」と言った場合、会社はどのように対応すればよいですか。

この記事の要点 ✓ 「本人が望んでいるから問題ない」は通用しない——労働時間規制は強行法規であり当事者の合意で変更できない 本人の同意があっても、恒常的な長時間労働は法令違反になります ✓ 会社経営者には労契法5条の健康配慮義務がある——本人の希望があっても過労・事故リスクを放置することはできない 運送業では交通事故が重大な結果を……

運送業において、ドライバーの休憩時間を適切に管理し、運転日報を整備するにはどうすればよいですか。

この記事の要点 ✓ 出社・退社時刻の把握だけでは不十分——休憩時間が不明確なままでは実際の労働時間を算定できない 労働時間は拘束時間から休憩時間を差し引いて算定されるため、休憩時間の把握が核心です ✓ 残業代請求訴訟では「休憩は取れていなかった」という主張がほぼ必ず出てくる——休憩記録がなければ反論できない 「それなりに休憩を取っ……

定額残業代制度は、どのような手順で導入すればよいですか。

この記事の要点 ✓ Step1:当該業務の通常必要とされる時間外・休日・深夜労働時間等の勤務実態を調査し、調査経過・結果を記録に残す 実態に基づかない定額残業代の設定は、後の紛争で問題になります ✓ Step2:調査結果に基づき、何時間分の割増賃金を定額残業代として支払うかを協議決定し、記録に残す 時間数の決定プロセスを記録するこ……

日当を1日12時間勤務の対価とする合意は、できますか。

この記事の要点 ✓ 所定労働時間を1日12時間とすることは労基法上できないが、「1日12時間勤務の対価=8時間の所定労働時間の対価+4時間の時間外割増賃金」と解釈できる場合は原則有効 解釈の問題であり、金額の特定方法が鍵を握ります ✓ 最低限、書面上「日当が12時間分の労働の対価であること」を明示する必要がある——「日当1万○○○○……

残業代込みで基本給を高く見せた方が、社員募集に有利ですか。

この記事の要点 ✓ 残業代(みなし残業代を含む)は残業代以外の賃金とは別に支払うべきものであり、内訳が判別できないと残業代の支払があったとは認められない——結局、内訳を明らかにする必要がある 「内訳を明らかにすれば残業代を除いた基本給の金額がはっきりしてしまう」のは避けられません ✓ 採用された社員が「騙された」と感じるような採用募……

定額残業代の支給名目は、どうすべきですか。

この記事の要点 ✓ 「残業手当」「時間外勤務手当」「深夜勤務手当」「休日勤務手当」等、給与明細書の記載から直ちにみなし残業代(残業代)であることが分かる名目が最善 明白な名目なら労働者の納得も得やすく、訴訟での残業代支払論争も回避できます ✓ 残業代かどうか一見して分からない名目の場合は、労働条件通知書・賃金規程等への明記が最低限必……

定額残業代の比率は、どれくらいまで許されますか。

この記事の要点 ✓ 月例賃金に占めるみなし残業代(定額・固定残業代)の比率と有効性との間に論理必然の関係はない——比率が高ければ必ず無効とはいえないが、実務上のリスクは比率に連動して上がる 「比率が高ければ無効」ではないが、高くなるほど複数のリスクが増大します ✓ 脳・心臓疾患や精神疾患を発症した場合に労災認定されやすい長時間労働(……

定額残業代の有効性を判断する際のイメージは、どのようなものですか。

定額(固定)残業代の有効性——一言で言えば 「残業代の支払であることが明確であるほど有効と認められやすく、分かりにくくなるほど認められにくくなる。そして、いいとこ取りしようとして分かりにくくするほど、多額の残業代請求が認められるリスクが高くなる。」 目次 01 明確であるほど有効、分かりにくくなるほど無効——連続したグラデーション 02 「いいとこ取り」を望む会……

定額残業代を採用した場合、追加で支払う残業代はいくらですか。

この記事の要点 ✓ 定額残業代が「有効」と認められた場合——定額残業代を除外した賃金を基礎賃金として残業代を計算し、定額残業代で不足する「不足額」のみを追加で支払う義務が生じる 「定額残業代は残業代として認められる」という前提で計算するため、追加支払額は相対的に少額になります ✓ 定額残業代が「無効」と認められた場合——定額残業代も……

手当型の定額残業代は、どのような場合に有効ですか。

この記事の要点 ✓ 「時間外勤務手当」等の名目が明白な場合は通常認められるが、「営業手当」等の曖昧な名目の場合は残業代の趣旨である旨の賃金規程等の定めが必要 手当の名目が重要な第一関門です ✓ 賃金規程の定めがあっても、当該手当が「実質的にも」残業代の対価と認められなければ支払があったとは認められない——反対尋問で「精神的負担の補填……

組み込み型の定額残業代は、どのような場合に有効ですか。

この記事の要点 ✓ 最低限、賃金規程等への定め(または個別合意書への記載)が必要——口頭説明のみでは定額残業代として認められない 「口頭で説明した」だけでは労働契約の内容になっているとは認められないのが通常です ✓ 通常の賃金部分と定額残業代部分が「判別可能」である必要がある——判別できなければ残業代の支払があったとは認められない(……

社員全員が納得していれば、残業代は支払わなくてよいですか。

「社員から文句が出ていない」は安全の根拠にはなりません 残業代(割増賃金)込みで月給30万円等と約束しており、社員から文句が全く出ていないからといって、残業代に相当する金額を特定していなくても未払残業代の請求を受けるはずはないと思い込んでいる会社経営者がいらっしゃいますが、甘い考えと言わざるを得ません。本記事では、この思い込みが生じる理由と現実のリスクを解説します。 目次 ……

金額を特定しない残業代込みの合意は、有効ですか。

この記事の要点 ✓ 残業代に当たる部分の額を特定せずに合意・署名押印させても、通常の賃金と残業代の各部分が計算・検証できないため、残業代の支払があったとは認められない 「月給に残業代が含まれる」と口頭・書面で合意しても、金額の特定がなければ無効です ✓ モルガン・スタンレー・ジャパン(超過勤務手当)事件東京地裁H17.10.19判決……

高い給与を払っていれば、残業代は別途不要と言えますか。

この記事の要点 ✓ 高額の基本給・手当・賞与の支給は残業代の支払の代わりにはならない——別途残業代(割増賃金)の支払義務が生じる 「十分な報酬で報いているから残業代は別途不要」という考えは法律上通用しません ✓ むしろ、毎月の基本給等の金額が上がれば残業代の単価が上がることになり、かえって高額の残業代請求を受けるリスクが高くなる ……

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