ワード:「解雇」

労基法では解雇予告義務・解雇予告手当についてどのように定められていますか?

 労基法では、使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告しなければならないとされており、予告しない場合には、解雇予告手当として、30日分以上の平均賃金を支払わなければならいと定められています。
 予告期間を置かずに解雇手当も支払わなかった場合の解雇は、使用者が即時解雇に拘らない限り、解雇通知後30日を経過するか、解雇通知後に予告手当の支払があれば、そのいずれか先の……

情報漏洩、兼業、競業行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

[toc] 1.情報漏洩  企業情報等の漏洩は、企業秩序を現実に侵害する場合は懲戒事由となります。例えば、新聞記者が個人用ホームページに業務上知り得た事実や体験談を掲載したことが、新聞社における職務と密接に関連し、取材源秘匿との会社方針に反する行為であった等として、出勤停止処分が有効とされた裁判例があります(日本経済新聞社事件東京地裁平成14年3月25日判決)。近年では、SNSに企業情報の漏洩……

勤務時間外における企業外での犯罪行為を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

[toc] 勤務時間外の企業外行動における懲戒処分の考え方  勤務時間外における企業外での行動は、本来は労働者の私生活上の行為であり、使用者が懲戒をもって臨むことはできないはずです。しかし、労働者は信義則上、使用者の業務利益や信用・名誉を毀損しない義務を負っていますので、原則として企業外での行動を規制することはできないものの、それが「企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるときなど企業秩序に関……

経歴詐称を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

 経歴詐称とは、採用時に、学歴や職歴、犯罪歴などの経歴を偽ることをいいます。このような経歴詐称は、一般には、使用者と労働者間の信頼関係を壊し、労働力の評価を誤らせ、人事異動等に関する秩序を乱すものであることから、裁判例(スーパーバッグ事件最高裁第一小法廷平成3年9月19日判決)は、詐称された経歴が最終学歴や職歴など、重要なものであることを前提として、経歴詐称の懲戒事由該当性を肯定しています。経歴を……

職務懈怠を理由として懲戒処分を行う場合のポイントを教えてください。

 職務懈怠とは、労働の遂行が不適切なことをいい、無断欠勤、遅刻、早退、職場離脱、勤務不良、業務命令違反等が含まれます。
 労働者による職務懈怠が客観的に認められるとしても、その原因や使用者の対応によっては、懲戒処分が無効になる場合があります。
 裁判例では、精神的な不調のために欠勤を続けている社員について、使用者としては精神科医による健康診断を実施するなどした上で、その……

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な手続の相当性について、具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには、本人への弁明機会、賞罰委員会の開催、労働組合等の手続的保障がどこまで求められているのかが問題となります。
 本人への弁明の機会は、規定の有無を問わず必要なものであり、実質的に行われる必要があります。裁判例(ホンダエンジニアリング事件宇都宮地裁平成27年6月24日判決)では、就業規則上、懲戒解雇に際して労働者に弁明の機会を与える旨の規定がない場合……

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な処分の相当性について、具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには、懲戒事由の他に、懲戒処分を就業規則に明確に定める必要があります。就業規則に記載されていない懲戒処分を行うことはできず、判例(立川バス事件東京高裁平成13年9月12日判決)でも、就業規則において経歴詐称を理由とする懲戒処分の種類を懲戒解雇・出勤停止・減給・格下げにとどめるものと規定している場合には、懲戒の手段はこれらに限定されてしまい、より軽い譴責処分などであ……

懲戒処分が法的に有効とされるために必要な懲戒処分事由該当性について、具体的に教えてください。

 懲戒処分が法的に有効とされるためには、まず、懲戒事由を就業規則に明確に定める必要があります。ただし、懲戒事由が就業規則に定められた場合であっても、当該行為が懲戒事由に該当するか否かの判断において合理的な限定解釈を加えることは多くあります。また、一般の就業規則には、列記された懲戒事由の末尾に「その他、これに準ずる場合」という条項が置かれていることが多いですが、このような規定についても、合理的な限定……

懲戒処分とはどういうものですか?

 懲戒処分とは、使用者が、従業員の企業秩序違反行為に対して加える制裁罰です。懲戒処分には、懲戒解雇、諭旨解雇、降職、降格、懲戒休職、出勤停止、減給、戒告、譴責等があります。
 労働契約法15条は、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない……

出向先の会社は出向社員を懲戒処分できる?解雇の限界と出向元との連携実務を解説

この記事の結論 出向先ができるのは「注意・指導・軽い処分」までです 出向社員が問題を起こした場合、出向先のルールで対処できますが、以下の法的限界に注意が必要です。 懲戒処分は可能: 出向先の企業秩序を守るため、戒告や減給などは原則として可能です。 懲戒解雇は不可: 雇用契約がないため、出向先が直接「クビ」にすることは法律上できません。 重大事案の正解: 出向契約を解除して「出……

出向先の会社が出向してきた社員を解雇することはできますか。

 出向とは、社員が自己の雇用先の会社に在籍したまま、他の会社の従業員となって長期間にわたって業務に従事することをいいます。
 労働者と雇用契約を締結しているのは出向元ですから、出向先の会社は出向してきた社員に問題があったとしても解雇することはできません。
 出向してきた社員が出向元の会社の解雇事由に該当するような行動を取った場合、出向先は、出向元と出向先との間の出向契約……

出向中の労働者との労働関係はどうなりますか。

 出向は、労働者と出向元・出向先との二重の労働契約関係が生じることになります。
 労働者に対する懲戒権や解雇権が出向元と出向先のどちらにあるかが問題になりますが、契約自由の原則により、三者間の合意内容に委ねられることになります。
 もっとも、通常の出向の場合、賃金の支払義務及び解雇権などの労働契約の基本的部分は出向元が有しており、労働時間等の就業管理及び職場秩序維持に関……

自己都合,会社都合などの退職事由によって退職金の額に差を設けることに問題はありますか?

 退職金は、就業規則などにおいて支給要件や支給基準が明確にされ、労働契約の内容になっている場合に限り、使用者に退職金の支払義務が生じますので、そうでない場合は、そもそも労働者が退職金を請求すること自体認められません。
 したがって、明らかに不合理で、労基法7条にいう労働条件としての合理性を肯定できないものであったり、女子であることを理由とする差別的取扱いであったりなどの、他の法令に触……

就業規則や退職金規定に退職金に関する規定がない場合は、退職金を支払わなくていいですよね?

 使用者に退職金の支払義務があると判断されるのは、通常は、就業規則や就業規則の性質を有する退職金規定等に、退職金に関する規定が置かれている事案が多いのですが、就業規則などに退職金に関する規定がない場合でも、個々の労働者との間の労働契約書に退職金の定めがあれば、当然、当該契約どおりの支払義務があると判断されます。
 また、就業規則や退職金規定、労働契約書等に退職金の定めがない場合であっ……

新卒採用者と地位特定者(中途採用者)を解雇(能力不足)する場合の検討方法を教えてください。

 新卒採用者は、一般的にゼネラリストとして採用されますので、仮に能力不足が認められたとしても、指導教育により改善する可能性が十分に認められる余地があると考えられます。解雇を検討する場合には、十分な期間、指導・教育をしたか、配置転換を検討したか、現に配置転換をしたかなどを考慮します。
 地位特定者とは、一般の従業員とは異なり、「営業部長」などの職務上の地位を特定して、その地位に応じた能……

残業代の消滅時効期間の起算点を教えて下さい。

 消滅時効期間の起算点は、各賃金支払日の翌日です(「類型別 労働関係訴訟の実務 改訂版 Ⅰ」262頁参照)。
 民法では、「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。」と定められています。労働者が残業代を受け取る権利を行使できる時、つまり、一般的には給料日がこれに当たり、残業代の消滅時効は、給料日の翌日からカウントすることになります。就業規則などにおいて、所定内賃金の支給……

賃金の時効について、民法では1年、労基法では2年と定められているようですが、どちらが適用されますか?

 賃金の時効について、民法174条では、「月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権」は、1年間これを行使しないことにより時効により消滅すると規定されています。しかし、労基法は、労働者の賃金の消滅時効が1年では労働者保護に欠けるとして、賃金の消滅時効期間を2年とました(労基法115条)。
 労基法の規定は民法の規定の特別規程に該当しますので、この場合、労基法の時効が優……

労働審判の対応

労働審判の申立書が届いたら──会社側の対応は「初動」が勝負です  突然、裁判所から労働審判の申立書が届いた。そんな経験がある経営者の方は少なくありません。申立書受領から第1回期日まではわずか約1か月。この短期間でいかに万全の準備をするかが、結果を大きく左右します。  弁護士法人四谷麹町法律事務所は、会社経営者側に特化した労働審判対応で、全国の経営者をサポートしています。 ▼ この……

労働審判の申立書が届いた経営者の方へ|適正な解決を実現するための会社側防衛実務【完全版】

[toc]  裁判所から突然「労働審判手続申立書」が届いた場合、多くの会社経営者は「何から対応すればよいのか分からない」という状況に直面します。労働審判は通常の民事訴訟とは異なり、原則3回以内の期日で紛争解決を目指す極めてスピードの速い手続であり、申立書が届いてから約1か月程度で第1回期日が開かれるのが一般的です。  この短期間のうちに、事実関係の整理、証拠の収集、答弁書の作成などを行……

個別労働関係民事紛争とは何か?労働審判手続の対象範囲を会社経営者向けに徹底解説

[toc] 1. 個別労働関係民事紛争の基本概念  個別労働関係民事紛争とは、労働者個人と事業主との間に生じた、労働契約に関する権利義務をめぐる民事上の紛争をいいます。労働審判手続の対象となるのは、この「個別」の紛争に限られます。  典型例としては、解雇や雇止めの効力を争う紛争、未払い賃金や残業代、退職金の請求、安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求などが挙げられます。いずれも、労働契約に……