ワード:「解雇」

試用期間中の社員の能力が低い。

1 本採用拒否
(1)新規採用の段階と本採用拒否の段階での違い
 新規採用の場面では,契約自由の原則から,採用申込者を雇用するかを自由に決めることができます。雇用契約を締結しなかったとしても,その理由や証拠は不要です。ただし,男女雇用機会均等法などに違反した場合には不法行為責任が生じる可能性があります。
 試用期間中の社員との間の契約関係は,特段の事情が認……

休職事由が消滅したか否かを判断する際の注意点を教えて下さい。

 休職事由の消滅とは,業務を十分に行うことができる健康状態が回復したことをいい,労働者が休職前の職務を支障なく行い得る程度に健康状態が回復している場合には,休職事由は消滅しているといえます。
 問題となるのは,職種が限定されていない社員について,休職前の職務を支障なく行い得る程度に健康状態が回復してはいないが,現実に配置可能性のある他の業務があり,その業務であれば職務を支障なく行い得……

私傷病休職期間中は,賃金を支払わなければならないのでしょうか?

 私傷病休職期間中の賃金の発生の有無は,就業規則等の定めによるのが通常ですから,就業規則等で私傷病休職期間中に賃金を支払うと定めている場合には,支払う必要があります。
 私傷病休職期間中の賃金の有無の定め方について,大企業では,有給期間と無給期間を併用している会社が多いですが,一般的には,私傷病休職は労働者側の事情による欠勤として無給とし,私傷病手当金等を活用することが多いです。……

労働基準監督署は,何を基準に精神疾患の労災を認定しているのですか?

 労働基準監督署は,平成23年12月23日に厚生労働省が定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準」に沿って,うつ病などの精神疾患の労災認定を行っていると考えます。  「心理的負荷による精神障害の認定基準」は,労災認定の要件として,次のものを挙げています。
① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
② 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に……

労働者が10人未満であれば就業規則を作成しなくても良いですか。

 労基法上,就業規則の作成義務,労基署への届出義務が課されているのは労働者が10人以上の場合ですので,労働者が10人未満であれば就業規則の作成義務はありません。
 しかし,労働者を懲戒処分する場合や出向させる場合などの企業の人事権を有効に行使するためには,企業規模に関わらず,就業規則で根拠となる規定を定め,周知しておく必要がありますので,労働者が10人未満の場合であっても,就業規則を……

就業規則を作成する際の手順を教えてください。

1 就業規則の作成義務
 常時10人以上の労働者を使用する場合には,就業規則の作成義務と労基署への届出義務があります。労働者は,正社員,パート,契約社員などの雇用形態を問わず当該事業場で使用されている者をいいます。
 常時10人以上の労働者を使用していない場合であっても,懲戒処分をするためには就業規則を定めて周知させている必要がありますので,会社の規模に関係なく就業規則……

労働者を雇い入れる際に,労働者に通知すべき事項を教えてください。

 使用者は,最低限,①労働契約期間,②更新の基準(有期契約の場合),③就業場所,④業務の内容,⑤労働時間,⑥賃金,⑦退職に関する事項(解雇事由等)を書面によって通知する必要があります(労基法施行規則5条1項1号から4号)。
 また,パートタイム労働者に対しては,上記労働条件に加えて,昇級の有無,退職手当の有無,賞与の有無,相談窓口についても明示する必要があります。(パートタイム労働法……

付加金について教えて下さい。

 使用者が時間外・深夜・休日割増賃金,解雇予告手当,休業手当,有給休暇取得日の賃金の支払義務に違反した場合に,裁判所は,使用者が支払うべき未払金のほか,これと同額の付加金の支払を命じることができます。
 付加金の支払義務は労基法違反によって当然に発生するものではなく,裁判所の命令があって初めて発生します。
 例えば,未払の残業代(割増賃金)の額が300万円の場合,最大3……

労働組合から解雇後に加入した労働者に関する団交の申し入れがあった場合,会社は応じるべきですか。

 ここでは,解雇後に組合に加入した労働者の労働条件等に関する事項が組合員である労働者の労働条件その他の待遇に該当し,義務的団交事項となるかが問題となります。
 既に解雇しているのであるから会社の労働者ではないようにも思われますが,無効な解雇をしている場合は,今なお労働者の地位にあることになりますので,潜在的に労働者であるといえますし,団体交渉の申し入れがなされているということは解雇の……

就業規則に定年の定めがない場合,60歳で辞めてもらうにはどうしたら良いですか。

 ①労働者と個別に定年の合意をすること(労契法8条),②労働者と就業規則に定年制を定めることの同意を得ること(労契法9条),③労働者の同意なく就業規則に定年制を定めること(労契法10条)が考えられます。
 ③の場合は変更後の就業規則を周知させ,かつ,就業規則の変更が合理的なものである必要があります。合理性の有無は,労働者の受ける不利益の程度,変更後の就業規則の内容の相当性,労働条件の……

解雇が無効の場合,解雇期間中,労働者が当社で働いていなくても賃金を支払う必要がありますか。解雇期間中,労働者が他社で働いていた場合でも同じですか。

 解雇が無効の場合,原則として解雇期間中の賃金を支払わなければなりません。労働者が貴社では働けなかった責任は,無効な解雇をした会社側にあるとされるからです。
 ただし,解雇期間中に労働者が他社で収入を得ていた(中間収入)場合は,特段の事情を除いて,支払うべき賃金から40%まで控除することができます。ただし,控除しうる中間収入は,その発生期間が賃金の支給対象期間と時期的に対応しているこ……

職務限定の合意がある労働者を配転することはできますか。

 当該労働者の合意が得られた場合には配転することできます。合意が得られなかった場合には原則として配転することはできませんが,例外的に配転をする正当な理由があるとの特段の事情が認められる場合には,配転することができます。
 正当な理由があるかどうかは①採用経緯と当該職種の内容,②職種変更の必要性及びその程度が高度であること,③変更後の業務内容の相当性,④他職種への配転による不利益に対す……

労働者が「解雇をされても異議を申し出ない」旨の書面を提出している場合,懲戒解雇は有効ですよね?

 労働者が「懲戒解雇をされても異議を申し出ない」旨の書面を提出したとしても,これは懲戒解雇を有効とする要素にはならないと考えます。
 裁判例でも,情報漏洩を疑われていた労働者が,「解雇されても異議がない」旨の書面を提出していた事案について,「(当該書面は)被告会社から懲戒解雇に至らない寛大な処置を受けられるようにと期待したものであって,真意にでたものとは認めがたい」とし,懲戒解雇を無……

退職勧奨と希望退職者の募集の共通点と相違点を教えてください。

 退職勧奨は,労働者の自発的な退職意思の形成を促そうとする事実行為をいいます。
 希望退職者の募集は,多くの場合,使用者が上積み条件を提示して,労働者の自発的な退職の意思表示を待つことをいいます。
 両者の共通点は労働者の意思に基づくもの(合意退職)である点にあります。
 両者の相違点は,退職勧奨が会社から労働者に働きかけるのに対して,希望退職者の募集は労……

試用期間中であれば自由に本採用拒否できますか。

 試用期間を設けていたとしても,使用者と労働者の間では,労働契約が成立している以上,その契約の一方的解消は解雇の一形態ですから,本採用拒否の有効性は,解雇権濫用法理に基づいて検討することになりますので,自由に本採用拒否することはできません。
 本採用拒否は,通常の解雇よりも広い範囲で行使することが可能とされていますが,必ずしも通常の解雇よりも緩やかに判断されているわけではありません。……

懲戒解雇する場合には,退職金を支給しなくても良いですか。

 有効に懲戒解雇できるからといって,当然に退職金を不支給にできるわけではありません。
 退職金を不支給とするためには,就業規則に退職金を不支給とする規定を定めることが必要ですし,規定があったとしても退職金を不支給とするためには,労働者のそれまでの勤続の功績を抹消する程の著しく信義に反する行為があったと認められる必要があります。
 裁判例には,鉄道会社の職員が電車内で3度……

私傷病休職と業務上の傷病による休職の違いを教えてください。

 私傷病休職は,業務外の傷病による欠勤又は不完全な労務提供が一定期間に及んだときに行われる休職措置ですので,業務上の傷病による休職とは異なる制度です。
 私傷病休職の場合,休職期間満了時までに復職できなければ自動退職となるのが一般的です。
 これに対し,業務上の傷病による休職の場合は,その休業中及び復帰後30日間は,解雇が原則として制限され,また,労災保険の療養補償・休……

懲戒解雇するかを検討するために一旦出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできますか?

 一つの非違行為に対して2回懲戒処分することはできませんので,懲戒解雇するかを検討するために一旦出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできません。
 しかし,懲戒処分としての出勤停止とは別に,業務命令として出勤停止や自宅待機を命じることができます。これは処分するかの調査または審議決定をするまでの間,就業を禁止する前置措置としての意味を持ちます。
 もっとも,業……

裁判で懲戒解雇の理由に懲戒解雇当時に認識していなかった非違行為を追加して主張できますか。

 懲戒処分の有効性は懲戒処分時に理由とした具体的な非違行為について判断すべきものですので,特段の事情のない限り,使用者が懲戒解雇時には認識していなかった事実を主張することはできません。
 懲戒処分の理由とされた非違行為と密接に関連した同種の非違行為等の場合には「特段の事情」に該当するので主張できます。
 たとえば,一連の横領行為の一部のみの調査が先行し,これのみで労働者……

懲戒処分の有効要件を教えてください。

 懲戒処分の有効要件は,①就業規則に懲戒処分の規定を定めこれを労働者に周知していることを前提に懲戒処分事由に該当すること,②処分が相当であること,③手続の相当であることです。  ①の懲戒事由には経歴詐称,業務命令違反,職場規律違反,無断欠勤,会社物品の私用,私生活上の非行,二重就職・兼業規制などがあります。 懲戒処分時に使用者が認識していなかった非違行為は,原則として,当該懲戒処分が有効であるこ……

弁護士法人四谷麹町法律事務所

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