労働問題694 労働審判手続の対象となる「個別労働関係民事紛争」とはどういうものですか?
個別労働関係民事紛争とは、労働者個人と事業主との間の解雇や雇止めの効力に関する紛争、賃金や退職金に関する紛争、安全配慮義務違反による損害の賠償を求める紛争等をいいます。
個別労働関係民事紛争に該当するためには、個々の労働者と事業主との間の紛争であることが必要であるから、労働組合と事業主との間に生じた集団的労使紛争は、労働審判手続の対象にはなりません。
もっとも、不当労働行為禁止規定(労組法7条)を根拠とする解雇無効や損害賠償等の紛争であっても、個々の労働者と事業主との間の個別労働関係民事紛争として構成されていれば、労働審判手続の対象となり得ると解されています。
また、個々の労働者と事業主との間に生じた紛争であれば、労働審判手続の対象となるため、たとえば、労働者の相続人は、吸収合併や営業譲渡等により事業主の権利義務を承継した会社を相手方として労働審判手続を申し立てることができます。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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