ワード:「解雇」

労働者が「解雇をされても異議を申し出ない」旨の書面を提出している場合,懲戒解雇は有効ですよね?

 労働者が「懲戒解雇をされても異議を申し出ない」旨の書面を提出したとしても,これは懲戒解雇を有効とする要素にはならないと考えます。
 裁判例でも,情報漏洩を疑われていた労働者が,「解雇されても異議がない」旨の書面を提出していた事案について,「(当該書面は)被告会社から懲戒解雇に至らない寛大な処置を受けられるようにと期待したものであって,真意にでたものとは認めがたい」とし,懲戒解雇を無……

退職勧奨と希望退職者の募集の共通点と相違点を教えてください。

 退職勧奨は,労働者の自発的な退職意思の形成を促そうとする事実行為をいいます。
 希望退職者の募集は,多くの場合,使用者が上積み条件を提示して,労働者の自発的な退職の意思表示を待つことをいいます。
 両者の共通点は労働者の意思に基づくもの(合意退職)である点にあります。
 両者の相違点は,退職勧奨が会社から労働者に働きかけるのに対して,希望退職者の募集は労……

試用期間中であれば自由に本採用拒否できますか。

 試用期間を設けていたとしても,使用者と労働者の間では,労働契約が成立している以上,その契約の一方的解消は解雇の一形態ですから,本採用拒否の有効性は,解雇権濫用法理に基づいて検討することになりますので,自由に本採用拒否することはできません。
 本採用拒否は,通常の解雇よりも広い範囲で行使することが可能とされていますが,必ずしも通常の解雇よりも緩やかに判断されているわけではありません。……

懲戒解雇する場合には,退職金を支給しなくても良いですか。

 有効に懲戒解雇できるからといって,当然に退職金を不支給にできるわけではありません。
 退職金を不支給とするためには,就業規則に退職金を不支給とする規定を定めることが必要ですし,規定があったとしても退職金を不支給とするためには,労働者のそれまでの勤続の功績を抹消する程の著しく信義に反する行為があったと認められる必要があります。
 裁判例には,鉄道会社の職員が電車内で3度……

私傷病休職と業務上の傷病による休職の違いを教えてください。

 私傷病休職は,業務外の傷病による欠勤又は不完全な労務提供が一定期間に及んだときに行われる休職措置ですので,業務上の傷病による休職とは異なる制度です。
 私傷病休職の場合,休職期間満了時までに復職できなければ自動退職となるのが一般的です。
 これに対し,業務上の傷病による休職の場合は,その休業中及び復帰後30日間は,解雇が原則として制限され,また,労災保険の療養補償・休……

懲戒解雇が妥当か検討するために出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできますか。

 一つの非違行為に対して2回懲戒処分することはできませんので,出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできません。
 これに対して,懲戒処分としての出勤停止ではなく,業務命令として出勤停止や自宅待機を命じることができます。これは処分するかの調査または審議決定をするまでの間,就業を禁止する前置措置としての意味を持ちます。ただし,会社側の都合で出社させないものですので,出勤停止の……

懲戒解雇するかを検討するために一旦出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできますか?

 一つの非違行為に対して2回懲戒処分することはできませんので,懲戒解雇するかを検討するために一旦出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできません。
 しかし,懲戒処分としての出勤停止とは別に,業務命令として出勤停止や自宅待機を命じることができます。これは処分するかの調査または審議決定をするまでの間,就業を禁止する前置措置としての意味を持ちます。
 もっとも,業……

裁判で懲戒解雇の理由に懲戒解雇当時に認識していなかった非違行為を追加して主張できますか。

 懲戒処分の有効性は懲戒処分時に理由とした具体的な非違行為について判断すべきものですので,特段の事情のない限り,使用者が懲戒解雇時には認識していなかった事実を主張することはできません。
 懲戒処分の理由とされた非違行為と密接に関連した同種の非違行為等の場合には「特段の事情」に該当するので主張できます。
 たとえば,一連の横領行為の一部のみの調査が先行し,これのみで労働者……

懲戒処分の有効要件を教えてください。

[toc] 1. 懲戒処分の有効要件  懲戒処分の有効要件は,①就業規則の懲戒事由に該当すること,②処分が相当であること,③手続が相当であることです。 2. 懲戒事由  ①の懲戒事由には経歴詐称,業務命令違反,職場規律違反,無断欠勤,会社物品の私用,私生活上の非行,二重就職・兼業規制などがあります。 懲戒処分時に使用者が認識していなかった非違行為は,原則として,当該懲戒処分が有効であること……

整理解雇する際に検討すべき要素を教えてください。

[toc] 1. 整理解雇の定義  整理解雇は,企業が経営上,人員削減するために行う解雇です。整理解雇は労働者に帰責事由がない点が特徴ですので,労働者側に帰責事由がある場合の普通解雇よりも厳しく有効性が判断されることになります。 2. 整理解雇の有効性の判断要素  整理解雇の有効性については,次の4つの要素を検討すべきことになります。 ① 人員整理の必要性  企業経営上の必要性に基づい……

能力不足を理由に解雇したい場合,どのような点に着目して検討すればいいですか。

 勤務成績・態度が不良で,職務を行う能力や適格性を欠いているという場合,
① 使用者と当該労働者との労働契約上,その労働者に要求される職務の能力・勤務態度がどの程度のものか
② 勤務成績,勤務態度の不良はどの程度か
③ 指導による改善の余地はあるか
④ 他の労働者との取扱いに不均衡はないか
という点に着目して検討していくことにな……

就業規則を定めていなくても懲戒解雇できますか。

 懲戒解雇といった懲戒処分をするためには就業規則に懲戒事由を定め,かつ,これを周知していなければいけませんので,常時10人以上を雇用していなく,労基法上,就業規則の作成・届出義務が課せられていない会社であっても,就業規則に懲戒事由を定めていなければ,懲戒処分はできません。
 なお,普通解雇は就業規則に解雇事由を定めていなくても可能ですが,当該解雇に客観的合理的な理由があり,社会通念上……

解雇の有効性を判断する際の判断要素を教えてください。

[toc] 1. 解雇事由の合理性と社会通念上の相当性  使用者が労働者を解雇するためには,解雇事由に客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当であると認められなければなりません。 2. 解雇権濫用の判断要素  解雇権濫用となるか否かの判断は,以下の要素が挙げられます。 ① 労働者の服務規律違反や能力不足の内容・程度,改善可能性  ・ 解雇事由が労働契約の継続を期待し難いほど重大なもの……

解雇が個別の法令によって制限されるのは、どのような場合ですか?

 法令により解雇が制限されているのは、次のとおりです。
①業務上災害による療養中・産前産後の休業中の解雇の禁止
②労働組合の組合員であること、労働組合への加入・結成、正当な組合活動を行ったことなどを理由とする解雇の禁止
③公益通報したことを理由とする解雇の禁止
④労働基準監督署などに対して、労働基準法違反の事実について申告や通報等を行ったこと……

雇入れから14日以内の試用期間中の労働者は解雇予告義務等の適用がないのですから、自由に解雇できますよね。

 たしかに、試用期間中の労働者で雇い入れから14日以内であれば解雇予告義務及び解雇予告手当支払義務は生じません。
 しかし、この規定は、あくまでも解雇予告義務及び解雇予告手当支払義務が生じないというだけで、解雇権濫用法理(客観的に合理的な理由を有し社会通念上相当であること)及び個別法令による解雇制限、当事者自治による規制(労働協約、就業規則等)が適用されなくなるわけではありませんので……

解雇予告制度とその例外について教えてください。

[toc] 1. 解雇予告制度  期間の定めのない労働契約の場合、労働者からは2週間の予告期間を置けばいつでも解約できますが、使用者からは労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければならず、予告しない場合には30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(解雇予告義務等)。 2. 解雇予告制度の例外  ①日々雇い入れられる労働者、②2か月以内の期間を定めて使用される……

一般的に、労働契約が終了する原因にはどのようなものがありますか?

 労働契約が終了する原因には以下のものがあります。
① 解雇
 (1) 普通解雇
  ア 労働者側の事情に基づく解雇
  イ 整理解雇
  ウ 試用期間解雇
 (2) 懲戒解雇
② 辞職
③ 合意退職
④ 雇止め
⑤ 休職期間の満了による自動退職
……

退職勧奨の際に「本来であれば懲戒解雇だが、退職願を提出してもらえれば自主退職として処理する」と言うことに問題はありますか。

 懲戒解雇事由に該当していることが客観的証拠から認定できるのであれば問題ありませんが、客観的証拠がない場合は懲戒解雇や解雇といった言葉を使うべきではありません。
 懲戒解雇事由がないにもかかわらず、あるかのように退職勧奨をして退職の意思表示をさせた場合には、労働者が当該意思表示は取消・無効であると争い、労働者であることの地位確認及び賃金請求をしてくる可能性があります。  ……

就業規則に定める出勤停止の日数は何日が適切か

[toc] 1. 出勤停止の日数設定に悩む会社経営者へ  就業規則を見直す際、「懲戒処分としての出勤停止の日数を、どれくらいに定めておくのが適切なのか」と悩む会社経営者は少なくありません。短すぎると抑止力に欠け、長すぎると重すぎる処分になってしまうため、判断が難しい項目です。  実務では、「とりあえず数日程度にしておけばよいのではないか」「長期間の出勤停止は現実的ではないのではないか」といっ……

派遣元と派遣先との間の派遣契約が中途解約された場合、派遣元は直ちに労働者を解雇できますか?

[toc]   派遣契約が中途解約された場合、派遣元は直ちに労働者を解雇できるか?  派遣元と派遣先との間の派遣契約が途中で解約された場合、派遣元が当該派遣労働者を直ちに解雇できるかどうかは、会社経営者が誤解しやすい労務テーマのひとつです。表面的には「派遣先との契約がなくなったのだから雇用関係も消滅する」と考えたくなりますが、労働契約と派遣契約は別の契約関係であり、実務上の対応に注意が必要で……

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