労働問題690 企画業務型裁量労働制を導入するにあたり、労使委員会で決議すべき対象労働者の同意及び厚生労働省で定める事項の具体的内容を教えてください。
1.対象労働者の同意等
対象労働者の同意等の具体的内容は、対象労働者を対象業務に就かせたときは対象労働者の労働時間として算定される時間労働したものとみなすことについて対象労働者の同意を得なければならないこと及び当該同意をしなかった対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならないことです。
「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針」(以下、指針といいます。)では、対象労働者の同意は、労働者ごとに、かつ、同項第7号に規定する決議事項として定められる決議の有効期間ごとに得られるものであることが必要であり、書面によること等その手続に加えて、対象労働者から当該同意を撤回することを認めることとする場合にはその要件及び手続を決議において具体的に定めることが適当であるとされています。
企画業務型裁量労働制の適用を受けることに同意しなかった場合の配置及び処遇は、同意をしなかった労働者をそのことを理由として不利益に取り扱うものであってはなりません(指針)。
2.厚生労働省令で定める事項
厚生労働省令で定める事項は、
① 決議の有効期間の定め
② 使用者は、対象社員の労働時間の状況、健康・福祉確保措置として講じた措置、苦情処理措置として講じた措置、対象社員の同意に関する対象社員ごとの記録を、決議の有効期間中及び当該有効期間の満了後3年間保存すること
です(労基法施行規則24条の2の3第3項)。
労使委員会の決議の有効期間については、不適切に制度が運用されることのないように、3年以内とすることが望ましいとする通達があります(平成15年10月22日基発1022001号)。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
勤務弁護士作成