ワード:「解雇」

整理解雇する場合に検討すべき事項を教えてください。

 整理解雇とは,使用者が経営上必要とされる人員削減のために行う解雇です。
 整理解雇の有効性は,①人員削減の必要性,②解雇回避努力義務の履行,③人選の合理性,④手続の相当性の要素を考慮して判断されます。
 ①人員削減の必要性では,整理解雇による人員削減が,不況や経営不振等,使用者の経営上の十分な必要性に基づくものか否かがポイントとなります。財務諸表の内容や赤字かどうかだ……

作業の準備や後片付けの時間の労働時間該当性は,どのように判断されますか。

 三菱重工業長崎造船所事件最高裁判決は,「就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行なうことを使用者から義務付けられ,又はこれを余儀なくされたときは,当該更衣を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても,当該行為は,特段の事情のない限り,使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができ」ると判示しています。「余儀なくされたとき」とは,就業規則や具体的な業務指示がなく……

どのような手当が除外賃金に当たるのか具体的に教えて下さい。

1.除外賃金とは
 除外賃金とは,家族手当,通勤手当,別居手当,子女教育手当,住宅手当,臨時に支払われた賃金,1か月を超える期間ごとに支払われる賃金をいいます。除外賃金に該当するかは,形式や名称ではなく支給された各手当の実質をみて判断されます。
  除外賃金に該当する場合には,残業代を計算する際の基礎賃金にはは含まれません。  2.家族手当
 扶養家族の……

希望退職者を募集する際の注意点を教えてください。

 希望退職者募集にあたっては,募集時期,募集人員,募集対象者,退職上積金等の条件を労働者に提示します。条件は,退職金が自己都合退職の場合より明らかに低い等の不合理な内容でなければ,使用者が自由に決定することができます。
 ここでよく問題となるのが,募集対象者の限定です。希望退職者募集は,使用者が早期の退職希望を募っているものであって,労働者の退職の意思表示を誘引しているに過ぎず強制力……

降格にはどのようなものがありますか?

 降格は,降格の根拠がどのようなものかという観点から,懲戒処分としての降格と,業務命令としての降格に分けられます。
 懲戒処分としての降格は,懲戒処分に対する法規制を受け,その要件と効果について就業規則で定められていることが必要です。
 業務命令としての降格は,人事権の行使として行われるものですから,就業規則の根拠は必ずしも必要とせず,使用者が業務命令や人事に関して有す……

割増賃金の割増率を教えて下さい。

1 時間外労働
 1日8時間または週40時間を超えて労働させた場合は,その超えた時間につき通常の労働時間の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払う必要があります。
 1日とは,午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいいますが,勤務が2暦日にわたる場合には,暦日を異にする場合であっても1日の勤務として取り扱い,当該勤務は始業時刻の属する日の労働として,当該日の「1日」の労……

就業規則に「懲戒解雇の場合,退職金は不支給とする。」と規定している場合には,懲戒解雇する労働者に退職金を支給しなくてもいいですか。

 退職金には,在職期間中の労務提供の対価(賃金)の後払いという側面があります。賃金の後払いという側面がある以上,懲戒解雇の場合に退職金を不支給とすると就業規則で規定しても,労働者が退職時までに積み上げてきた労務提供に対する対価が否定されるような事情がなければ退職金を不支給にすることはできないとされています。
 裁判例では,「当該労働者の永年の勤続の功を抹消してしまうほどの重大な不信行……

労働者が「退職届」という件名で退職する内容のメールを送信後,無断欠勤している場合,労働契約は終了すると考えていいですか?

 労働者からの労働契約の一方的解約(辞職)の要件は,期間の定めの有無によって異なります。
 契約社員等の期間の定めのある労働者の場合,期間途中の解約は認められず,労働者が病気,事故等によって長期間就労できない等の「やむを得ない事由」がなければ辞職の意思表示の効果は生じません(民法628条)。他方,期間の定めのない労働者は,いつでも労働契約を解約でき,辞職の意思表示後2週間の経過をもっ……

賃金に関する労基法上の原則を教えてください。

1 通貨払の原則
 賃金は,「通貨」で支払わなければならないという原則であり(労基法24条1項),日本国において強制通用力ある貨幣(日本円)のことを指し,外国通貨は入らないとされています。この原則は,現物給与を禁止することを目的としたものです。
 賃金の口座振込みは,行政解釈において、①労働者の同意を得ること,②労働者が指定する銀行等本人名義の預貯金口座に振り込むこと,……

就業規則で普通解雇事由を定めている場合,定めた事由以外の解雇は認められないのですか?

 就業規則で普通解雇事由を定めている場合,①就業規則に解雇事由を定めた以上,それ以外の事由による解雇は制限されるべきだとする説と,②解雇権の行使は民法の規定により原則として自由であり,就業規則の解雇事由は例示的な定めと考えるべきという説が対立しており,一概には言えません。
 このような問題が生じないよう,就業規則の普通解雇事由の最後に,「その他前各号に掲げる事由に準ずる事由があるとき……

普通解雇の理由を後で追加することはできますか?

 普通解雇した当時に存在していた理由であれば,追加することができるとされています。
 他方,懲戒解雇は,後になって懲戒解雇理由を追加することはできません。懲戒解雇は普通解雇とは異なり労働者に対する制裁罰であるため,懲戒処分の有効性はその理由とされた事実との関係においてのみ判断される必要があるからです。

突然行方不明になった労働者との労働契約を終了させるためには,どのような方法が考えられますか。

 労働者が突然行方不明になった場合,労働契約を終了する方法は,次の3つが考えられます。 ① 就業規則の当然退職規定による退職
② 長期無断欠勤による懲戒解雇  ①は,就業規則において,長期間連絡が取れず行方不明となった者を退職とする規定を設けておく方法です。①のメリットは,労働者が当然退職の扱いになるため,使用者が解雇しなくても労働契約が終了するという点です。解雇しなくてもよいと……

普通解雇をする際,労働者に対して弁明の機会を与えた方がよいのですか。

 普通解雇の有効性は,解雇に客観的に合理的な理由があるか,解雇が社会通念上相当であるかという観点から判断されます。
 労働者に弁明の機会を与えたかどうかは,解雇が社会通念上相当といえるかを判断する際の考慮要素の一つとされています。。
 例えば,能力不足を理由とする普通解雇をする場合には,当該労働者のどのような能力が不足しており,その改善を促したのか,本人の言い分(弁明)……

解雇予告手当の支払義務がある場合とない場合を教えてください。

解雇予告手当を支払わなければならない場合
 解雇予告期間を置かずに即時解雇する場合は,解雇予告手当を支払わなければなりません。解雇予告手当の額は,当該労働者の30日分の平均賃金です。平均賃金は,算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額を,その期間の総日数で除して計算します。
 また,解雇予告期間が30日より短い場合も,解雇予告手当の……

退職勧奨により労働者が退職届を提出したにもかかわらず,退職の意思表示が取り消されることはありますか。取り消されないために,どのような点に配慮するべきですか。

 退職勧奨の結果,労働者が自ら署名押印のある退職届を提出した場合であっても,一般原則である民法に基づいて,労働者の退職の意思表示が詐欺や強迫を理由に後で取り消されるおそれがあります(民法96条1項)。
 退職の意思表示が強迫を理由に取り消されないようにするためには,何らかの無理強いをしたり,労働者に恐怖を抱かせるような状況を作り出したりして退職勧奨しないように配慮する必要があります。……

多重債務を抱えている。

1 金融業者から会社に電話がかかってきた場合の対応
 金融業者から当該社員宛に電話がかかってくることで,多重債務の事実が判明することがあります。
 原則として,当該社員が借金をしていることは私的事項であり,会社の業務とは関係ありませんので,事情を聞く場合であっても,プライバシーの侵害にならないよう常識的な範囲内で聞くようにしましょう。
 当該社員が経理担当……

有期労働契約における不更新条項や更新限度特約について,最近の裁判例ではどのような判断がなされていますか?

 雇止めの有効性に関連して,その有効性が問題となっているのが,不更新条項や更新限度特約です。不更新条項とは,有期労働契約について当該契約期間満了した場合には更新しないことをあらかじめ合意しておくことをいいます。更新限度特約とは,有期労働契約を結ぶ際に,更新の回数の限度についてあらかじめ合意しておくことをいいます。最近の裁判例では,ある程度の更新がなされている場合でも,更新限度特約などから解雇権濫用……

雇止め法理とはどういうものですか?

 民法上の原則では,有期労働契約は定められた期間が満了すれば,契約を更新しない限り契約関係が終了し,使用者は更新しないことについて特段の理由を必要としていません。しかし,裁判では,有期労働契約であっても,一定の場合には解雇権濫用法理が類推適用され,合理的理由のない雇止めが無効と判断されてきました。この判例法理を「雇止め法理」といい,法改正により,労働契約法19条として,以下のとおり条文化されました……

有期労働契約における期間途中の解雇・解除ついてのポイントを教えてください。

使用者側からの期間途中の解雇について  使用者は,有期労働契約について,やむを得ない事由がある場合でなければ,労働者を期間途中で解雇することはできません(労働契約法17条1項)。この「やむを得ない事由」は,期間の定めのない労働契約における解雇に必要とされる「客観的に合理的で,社会通念上相当と認められる場合」よりもさらに限定的・制限的な事由であると考えられます。   労働者側からの期……

高年法について知っておくべきポイントを教えてください。

 平成24年の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年法」という)の改正により,定年を65歳未満と定めている事業主は,雇用する65歳までの安定した雇用を確保するため,①定年の引き上げ,②継続雇用制度の導入,③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければならないとされました。中小企業では定年制を設けていない会社も少なくありませんが,大企業では,65歳までの定年制延長は賃金に見合った高齢者の……

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