労働問題892 法人の解散に伴い解雇する場合でも、解雇権の濫用になることはありますか?
法人が解散する場合、清算の結了により労働契約は自動的に終了します。法人の解散手続の際に行われた解雇が解雇権の濫用になるかどうかについては、整理解雇の4要素により判断されるのではなく、事業廃止の必要性と解雇手続きの妥当性を総合的に考慮して判断されることになります。
会社が解散する場合、社員の雇用を継続する基盤が存在しなくなりますので、その社員を解雇する必要性が認められ、客観的に合理的な理由を有するものとして原則として有効です。ただし、会社が社員を解雇するにあたっての手続的配慮を著しく欠き、会社が解散したことや解散に至る経緯などを考慮してもなお解雇することが著しく不合理であり、社会通念上相当として是認できないときには、解雇権の濫用と判断されることがあります(石川タクシー富士宮ほか事件東京高裁平成26年6月12日判決)。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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