労働問題966 整理解雇する場合に検討すべき事項を教えてください。
整理解雇とは、使用者が経営上必要とされる人員削減のために行う解雇です。
整理解雇の有効性は、①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務の履行、③人選の合理性、④手続の相当性の要素を考慮して判断されます。
①人員削減の必要性では、整理解雇による人員削減が、不況や経営不振等、使用者の経営上の十分な必要性に基づくものか否かがポイントとなります。財務諸表の内容や赤字かどうかだけではなく、使用者の経営状況の実態や使用者の矛盾行動の有無、本当に労働者を解雇しなければならない状況なのか等により判断されます。
②解雇回避努力義務の履行では、経費削減、残業の禁止、配転、出向、早期退職希望者の募集等、人員削減を回避するための措置をとったのかがポイントとなります。使用者の選択した解雇回避努力の内容、手順が、当該使用者の具体的状況に照らして妥当なものであったかどうかが検討されます。
③人選の合理性では、どのような過程を踏んで人員削減対象者を選択したか、その選択が合理的かどうかがポイントとなります。出勤率、人事考課内容、懲戒歴の有無等、できる限り客観的な事情を考慮して、特定の労働者を狙う等の不公平な人選ではないことを説明できるようにしておく必要があります。
④手続の相当性では、労働組合又は労働者に対して整理解雇の必要性やその具体的内容について十分に説明していたかがポイントになります。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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