ワード:「問題社員」

安全配慮義務違反の損害賠償に、社員の弁護士費用まで含まれますか。

この記事の結論 1 不法行為・安全配慮義務違反のいずれの構成でも、相当額の弁護士費用が損害賠償の対象となる 最高裁昭和44年2月27日判決(不法行為)と最高裁平成24年2月24日判決(安全配慮義務違反)により、いずれの構成でも確立しています。 2 実務上は認容された損害額の約10%程度が弁護士費用相当額として上乗せされることが多い ……

労働契約法第5条(安全配慮義務)は、会社にどのような対応を求めていますか。

この記事の結論 1 労働契約法5条は、陸上自衛隊事件・川義事件等の判例法理を明文化した規定である 「必要な配慮」の内容は業種・業態・個々の労働者の状況等によって異なり、精神疾患との関係では長時間労働の解消・早期対応・ハラスメント防止等が含まれます。 2 違反時は債務不履行に基づく損害賠償責任を負い、消滅時効は改正民法により原則5年で……

安全配慮義務に関する代表的な最高裁判例には、どのようなものがありますか。

この記事の結論 1 安全配慮義務は陸上自衛隊事件で概念が確立し、川義事件で民間の労働契約にも認められた 陸上自衛隊事件(最高裁昭和50年2月25日)で「安全配慮義務」の概念が最高裁判例上初めて確立され、川義事件(最高裁昭和59年4月10日)で民間企業にも拡張されました。 2 電通事件は過労精神疾患への注意義務を、東芝事件は申告なしで……

労災保険給付がなされれば、会社は民事の損害賠償責任を免れますか。

この記事の結論 1 労災保険給付がなされても、慰謝料や休業損害・逸失利益の差額部分は損害賠償請求のリスクが残る 「労災保険で解決済み」と考えることは危険です。労災保険給付は損害の一部を填補するものにすぎません。 2 労災認定はむしろ安全配慮義務違反の証拠として機能し、損害賠償責任のリスクを高める 労災保険給付が行われるためには業務……

精神疾患の発症が業務起因の労災かどうかは、どのように判断すればよいですか。

この記事の結論 1 業務起因性は、厚生労働省「心理的負荷による精神障害の認定基準」を参考に3要件を総合判断する 発病の有無・発病前おおむね6か月間の業務による強い心理的負荷の有無・業務以外の心理的負荷や個体側要因の有無という3要件を審査します。 2 月100時間超の時間外労働がある場合等、労災の可能性が高い事案は緊急対応が必要 労……

精神疾患が業務起因の労災と判明した場合、休職期間満了退職の効力はどうなりますか。

この記事の結論 1 業務起因の労災と判明すると、休職命令の無効と労基法19条1項の類推適用という2つの構成でリスクが生じる 私傷病を理由とした休職命令は休職事由を欠き無効となり得るほか、業務上療養のための休業期間及びその後30日間は解雇できないという規定が類推適用されます。 2 安全配慮義務違反・不法行為・休職期間満了退職の無効とい……

精神疾患社員が休職と復職を繰り返す場合、会社は何を優先して対応すべきですか。

この記事の結論 1 休職期間の無給化の徹底が、真面目に働く社員の不公平感を解消する最も効果的な対策 休職期間中は「ノーワーク・ノーペイ」の原則(民法624条)により賃金を支払う義務はありません。就業規則への明記と運用徹底が重要です。 2 傷病手当金の案内・就業規則の整備・業務再配分の公平性確保をあわせて実施する 復職取消し・再休職……

精神疾患社員が休職と復職を繰り返す場合に備えて、就業規則にはどのような規定を設ければよいですか。

この記事の結論 1 復職取消し・再休職・期間通算の規定を置くことで、繰り返しへの対応枠組みを確保できる 復職後すぐに再発した場合でも、前回休職期間の残余期間を適用して期間満了で退職扱いにできる枠組みが確保できます。 2 規定がなければ、休職・復職を繰り返す社員への普通解雇の有効性が争われるリスクが高まる 「休職期間満了→退職」とい……

休職制度は、どのように運用すればよいですか。

この記事の結論 1 休職命令・延長・復職可否・退職扱いの判断は、公平・平等に行うことが大原則 同じような状況にある社員の扱いを異にする場合は、裁判官が納得できる合理的理由を説明できるようにしておく必要があります。 2 就業規則に従った運用の徹底と、意思決定経緯の書面記録が差別的取扱いの主張を防ぐ 個人的な感情を基準にした運用は、不……

休職中の社員が、会社の指定医への受診を拒絶した場合、退職扱いにできますか。

この記事の結論 1 指定医受診拒絶のみを理由に直ちに退職扱いにすることは難しく、休職期間満了時まで待つのが原則 就業規則に受診拒絶時の取扱いに関する規定があれば、満了時に復職可能な程度の回復が証明できない場合に退職扱いとすることができます。 2 受診命令・拒絶記録・満了時通知はいずれも内容証明郵便等の書面で行う 就業規則の根拠規定……

休職中の社員が提出した主治医の「復職可能」の診断書に疑問がある場合、会社はどう対応すればよいですか。

この記事の結論 1 主治医の診断書のみを根拠に独自判断で復職を拒否し続けることは不当な就業排除のリスクがある 一方で、診断書を無条件に鵜呑みにする必要もありません。主治医の診断書を出発点としつつ追加の確認手続を取ることが実務上の適切な対応です。 2 主治医面談・産業医意見・指定医受診命令の3つの手段で客観的評価を積み上げる 就業規……

精神疾患で休職した社員の復職可否は、どのような基準で判断すればよいですか。

この記事の結論 1 復職の可否は、休職期間満了日までに債務の本旨に従った労務提供ができる程度に回復しているかで判断する 主治医が「復職可能」と診断した場合でも、会社が直ちに復職を認めなければならないわけではありません。 2 職種限定のない正社員は片山組事件最高裁判決に従い他業務への就労可能性も検討する 現在の業務への復職が困難でも……

社員から休職したいと申し出があった場合、会社はどう対応すればよいですか。

この記事の結論 1 社員が休職を希望していても、口頭で「ゆっくり休んでください」と済ませることは危険 休職申請書の提出を受けてから休職命令書を交付するという書面での手順を徹底する必要があります。 2 休職命令書には休職事由・期間・満了時の取扱い・給与や連絡報告義務を明記し双方の署名を残す 休職申請書と休職命令書を書面で授受し、受領……

精神疾患を発症した社員を、休職させずに直ちに解雇することはできますか。

この記事の結論 1 休職制度がある会社が休職させずに直ちに解雇することは、解雇権濫用として無効となるリスクが高い 休職制度は「直ちに解雇するのではなく、まず療養機会を与える」という趣旨の制度であり、これを使用せずに解雇することは制度趣旨に反します。 2 回復見込みが客観的に乏しい場合等の例外はあるが、そのハードルは高い 専門医によ……

精神疾患社員が出社と欠勤を繰り返す場合、会社は何を優先して対応すべきですか。

この記事の結論 1 欠勤日の無給化の徹底が、真面目に働く社員の不公平感を解消する最優先の対策 欠勤日は「ノーワーク・ノーペイの原則」(民法624条・536条2項)により原則として賃金の支払義務はありません。就業規則への明記と運用徹底が重要です。 2 傷病手当金の案内と、欠勤通算規定に基づく休職制度への切り替えで状況を法的に整理する ……

出社と欠勤を繰り返す社員に休職命令を発令するには、就業規則をどう整備すればよいですか。

この記事の結論 1 「連続〇日以上の欠勤」のみの規定では、出社と欠勤を繰り返す社員に休職命令を発令できない うつ病等の精神疾患には波があり、一時的な出社を挟んで欠勤が繰り返されると、休職事由に該当しない状態が続くことがあります。 2 中断期間(14〜30日程度が目安)の欠勤通算規定と再休職規定をあわせて整備する 問題が起きてからで……

休職期間満了日は、社員に事前に通知しておくべきですか。

この記事の結論 1 事前通知を怠ると「知らされていなかった」という主張で退職の効力が争われるリスクが高まる 法律上の明確な義務規定はありませんが、事前通知を怠ると休職期間満了退職の効力が争われるリスクが高まります。 2 休職命令発令時・満了1〜2か月前・満了直前の3段階で書面通知し記録化する 本人の受領サインまたは内容証明郵便によ……

精神疾患を否定する社員に対しても、会社は休職命令を発令できますか。

この記事の結論 1 就業規則所定の休職事由に該当すれば、本人の同意がなくても休職命令を発令できる 休職命令は使用者権限に基づく業務命令であり、本人の同意は法的な要件ではありません。ただし、休職事由の存在を客観的に立証できることが大前提です。 2 指定医診断書・産業医意見書・客観的な勤怠記録の早期からの積み上げが立証の鍵 「いざとな……

精神疾患が疑われる社員が指定医への受診を拒否した場合、会社はどう対応すればよいですか。

この記事の結論 1 就業規則に根拠規定があれば指定医受診を業務命令として命じられるが、拒絶に直ちに重い懲戒処分は禁物 受診命令の発令、拒絶の記録、就労拒絶・欠勤扱いという段階的な対応と記録の積み上げが、後の法的手続で会社側の立場を守ります。 2 精神疾患が疑われる社員への懲戒処分は、健康診断・治療勧奨等の対応を経ないと無効とされるリ……

精神疾患社員の労務提供の可否は、どの業務を基準に判断すればよいですか。

この記事の結論 1 職種を特定した契約か否かで、労務提供可否の判断基準となる業務が異なる 職種・業務内容を特定した契約はその特定業務、特定しない契約は現に命じた業務を基準に判断するのが原則です。 2 職種限定のない正社員は、配置される現実的可能性がある他の業務も検討が必要(片山組事件) 片山組事件最高裁判決は、現在の担当業務だけで……

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