労働問題150 出社と欠勤を繰り返す精神疾患社員への対応と職場の活力維持【会社側弁護士が解説】
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精神疾患を発症した社員が出社と欠勤を繰り返す場合、真面目に働いている他の社員に不公平感が生じ、会社全体の活力が低下するリスクがあります。「体調不良の社員に業務のしわ寄せが来る」「休んでいるのに賃金をもらっている」という状況は、職場のモチベーションに悪影響を与えます。
このような状況に適切に対応するためには、法的に正当な対応を整然と実施し、就業規則を整備した上で毅然とした対応を取ることが重要です。本ページでは、精神疾患社員が出社と欠勤を繰り返す場合の具体的な対応策を、会社側・使用者側専門の弁護士が解説します。
01欠勤日の無給化が最も重要な対策です
精神疾患社員の出社・欠勤繰り返しに悩んでいる会社の多くは、欠勤期間についても賃金を支払い続けているケースが少なくありません。欠勤日は「ノーワーク・ノーペイの原則」(民法624条・536条2項)により、原則として賃金の支払義務はないにもかかわらず、「かわいそうだから」「慣例で」支払ってしまっていることがあります。
欠勤日を無給とすることは法的に正当な対応です。他の社員が同じ期間働いて賃金を得ているのに、欠勤社員にも同じ賃金を支払い続けることは、真面目に働く社員の不公平感の最大の原因となります。就業規則に「欠勤日は無給とする」旨を明確に規定し、運用を徹底することが最優先の対策です。
02傷病手当金の活用を社員に案内してください
欠勤日を無給とする場合、社員の生活を守るための代替手段として、健康保険の傷病手当金の活用を案内します。傷病手当金は、連続3日以上の欠勤の場合に4日目から支給され、標準報酬日額の3分の2が最長1年6か月支給されます。
傷病手当金は雇用保険(失業手当)とは異なり、在職中の休業に対して支給されるものです。「欠勤させるが会社都合の休業ではないため賃金は支払わない」という対応の場合でも、傷病手当金の受給が可能です。ただし、会社が証明書を発行する必要があります。社員への案内と証明書の発行義務を忘れずに対応してください。
03休職制度への切り替えのタイミングと活用方法
出社と欠勤の繰り返しが続く場合は、就業規則の欠勤通算規定に基づいて休職事由該当性を判断し、該当する時点で休職命令を発令します。休職中は無給(傷病手当金で対応)とし、休職期間満了までに回復しない場合は就業規則に従って退職・解雇の扱いとします。
この枠組みを機能させることで、「いつまでも中途半端に出社・欠勤を繰り返す状態」を法的に整理することができ、真面目な社員への影響を最小化しながら会社の負担を軽減することができます。欠勤通算規定がない場合は、今後の備えとして早期に就業規則を整備することをお勧めします。
04周囲の社員へのコミュニケーションも重要です
周囲の社員に対しては、個人情報(精神疾患の詳細)を明かすことなく、「〇〇さんは体調不良で休職・欠勤中です。業務の分担については上司に相談してください」という形で伝え、業務再配分の公平性と透明性を確保します。過重な業務が特定の社員に集中しないよう人員体制を見直すことも、真面目な社員の離職防止という観点から重要です。
精神疾患社員への対応は、法的な対応の正確さと職場マネジメントの双方が求められます。欠勤の無給化・就業規則の整備・傷病手当金の案内方法・休職命令の発令など、具体的な対応については弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。使用者側専門の弁護士として、実務的なアドバイスを提供しています。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。出社と欠勤を繰り返す社員への対応・職場の公平性維持でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 欠勤日を無給にするためには就業規則の規定が必要ですか。
A. 欠勤日を無給とすること自体は「ノーワーク・ノーペイの原則」から法的に正当な対応ですが、実際の運用においては就業規則に「欠勤日は無給とする」旨を明記しておくことが重要です。規定が不明確な場合、社員から「賃金が支払われるべきだ」と主張されるリスクがあります。就業規則の整備については弁護士に相談することをお勧めします。
Q2. 傷病手当金の申請手続において会社が行うべきことは何ですか。
A. 傷病手当金の申請に際し、会社は申請書の「事業主記入欄」に欠勤期間・賃金の支払いの有無などを記入して証明する必要があります。この証明書の発行を拒否したり遅延させたりすることは、社員の受給権を害する可能性がありますので、速やかに対応してください。具体的な手続については社会保険労務士や弁護士に相談することをお勧めします。
Q3. 出社と欠勤を繰り返す社員の対応に限界を感じた場合、次のステップは何ですか。
A. 就業規則の欠勤通算規定に基づいて休職事由に該当すると判断できれば、休職命令を発令することができます。休職期間満了までに回復しない場合は退職・解雇の対応が可能です。この枠組みを法的に有効に機能させるためには、就業規則の整備・記録の積み上げ・段階的な対応が必要ですので、早期に弁護士に相談することをお勧めします。
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最終更新日:2026年5月10日