労働問題152 社員から休職したいと申し出があった場合、会社はどう対応すればよいですか。休職命令書に記載すべき事項を教えて下さい。
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社員が休職を希望していても、口頭で「ゆっくり休んでください」と済ませることは危険 休職申請書の提出を受けてから休職命令書を交付するという書面での手順を徹底する必要があります。 |
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休職命令書には休職事由・期間・満了時の取扱い・給与や連絡報告義務を明記し双方の署名を残す 休職申請書と休職命令書を書面で授受し、受領確認をしておくことが後の紛争に対する最大の防御策となります。 |
目次
解説動画
休職申請書とは、社員が私傷病等を理由に休職を希望する意思を会社に伝える書面をいい、これに基づき会社が休職命令書を交付するという手順を踏むことが、後の紛争を防止する実務上の基本です。精神疾患を発症した社員本人が「休職したい」と申し出てきた場合、会社としては休職を認める方向で進めることになります。しかし、ここで「承知しました、ゆっくり休んでください」と口頭で済ませてしまうことは非常に危険です。
書面化なしに「何となく休ませる」対応は、後に休職期間の開始日・終了日・満了時の取扱いが不明確となり、重大なトラブルを招く原因になります。本ページでは、社員が休職を希望している場合の正しい対応手順を、会社側専門の弁護士が解説します。
01休職申請書の提出と休職命令書の交付が基本手順です
結論:精神疾患を発症した社員が休職を希望している場合は、休職申請書を提出させてから休職命令書を交付するという手順を踏むことが基本です。休職申請書を提出させてから休職命令を出すことにより、社員自身が休職の必要性を認めていたという事実が明確になります。
これにより、後に「休職を強制された」「休職の合意はなかった」という主張をされるリスクが低くなります。また、会社側としても「社員本人の申出に基づいて休職命令を発令した」という正当な手順を踏んでいることが証拠化できます。
02休職命令書に記載すべき事項
結論:休職命令書には、休職事由・休職期間の始期終期・満了時の取扱い・給与と社会保険の取扱い・連絡報告義務を明記することが重要です。まず、休職の事由(例:「私傷病〔〇〇〕により就業が困難なため」)を記載します。次に、休職期間の始期と終期を「〇年〇月〇日から〇年〇月〇日まで」と具体的な日付で記載します。
また、休職期間満了時の取扱いを明記することが不可欠です。「この期間内に債務の本旨に従った労務提供ができる程度に回復しない場合は、就業規則第〇条に基づき〇年〇月〇日をもって自動退職となります」という形で具体的に記載します。さらに、休職期間中の給与・社会保険の取扱い(「休職期間中は無給とします。健康保険の傷病手当金の申請が可能です」)と、休職中の連絡方法・報告義務(「月1回、病状の報告を〇〇まで行ってください」)も記載してください。
03「何となく休ませる」ことの危険性
結論:休職命令書を交付せずに「何となく休ませる」対応は、休職期間の開始日・満了日が不明確になり、後の休職期間満了退職の手続に重大な支障を招きます。休職申請書を出させて内部決済が済んだだけで安心してしまい、休職命令書を交付せずに何となく休ませていると、重要な事実が不明確になります。
その結果、いつまでたっても精神疾患が治らないので退職させようとしたところ、休職命令の存在・休職期間の開始日・満了日の立証が困難となり、休職期間満了退職扱いにすることができなくなる可能性があります。口頭だけの対応は、後の紛争において会社に不利な状況をもたらします。
04休職申請書と休職命令書は必ず書面で授受してください
結論:休職申請書と休職命令書は必ず書面で授受し、双方の署名・受領確認を残すことが、後の紛争に対する最大の防御策です。社員側に弁護士が就いた場合、「正式な休職命令は出されていない」「休職期間の合意はなかった」という主張が出ることがあります。
精神疾患社員への休職対応は、適切な書面の作成・交付が後の紛争を防止する上で最も重要な対策の一つです。休職申請書・休職命令書の作成・休職手続全体の整備について、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、実務的なサポートを提供しています。
休職手続の比較|適切な対応/NGな対応
| ○ 適切な対応 | ✕ NGな対応(休職期間の立証困難のリスク) |
|---|---|
| 休職申請書の提出を求めてから休職命令書を交付する | 口頭で「ゆっくり休んでください」と済ませる |
| 休職事由・期間・満了時の取扱いを書面に明記する | 休職の詳細を曖昧なまま伝える |
| 給与・社会保険の取扱いを事前に説明する | 休職後に給与の取扱いをめぐりトラブルになる |
| 双方の署名・受領確認を残す | 書面を渡すだけで受領の記録を残さない |
05よくある質問(FAQ)
Q. 社員が休職申請書の提出を拒否した場合、どうすればよいですか。
社員が休職申請書の提出を拒否した場合でも、就業規則の休職事由に該当すれば会社は休職命令を発令することができます。その場合は、会社から一方的に休職命令書を交付し、社員に受け取りを求めます。受け取りを拒否された場合は、内容証明郵便での送付も検討してください。いずれの場合も、書面化と記録の保存が重要です。
Q. 休職中の社員への連絡・報告義務はどのように定めればよいですか。
休職命令書または就業規則に、月1回程度の病状報告義務を定めることが一般的です。報告の方法(電話・メール・書面等)と提出先を明確にしてください。また、報告が途絶えた場合の対応(内容証明郵便での督促等)も事前に決めておくことが重要です。連絡が取れない状態が長期化すると、後の手続に支障が生じることがあります。
Q. 休職命令書のひな形はありますか。
休職命令書のひな形は、就業規則の規定内容・会社の実態・個別の事情に合わせて作成する必要があります。汎用的なひな形をそのまま使用することはリスクがあります。弁護士法人四谷麹町法律事務所では、会社の就業規則に合わせた休職命令書・休職申請書の作成についてご相談を承っています。ぜひお気軽にご相談ください。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。精神疾患社員の休職手続でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日:2026年7月9日