労働問題157 精神疾患社員が休職と復職を繰り返す場合に備えて、就業規則にはどのような規定を設ければよいですか。
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復職取消し・再休職・期間通算の規定を置くことで、繰り返しへの対応枠組みを確保できる 復職後すぐに再発した場合でも、前回休職期間の残余期間を適用して期間満了で退職扱いにできる枠組みが確保できます。 |
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規定がなければ、休職・復職を繰り返す社員への普通解雇の有効性が争われるリスクが高まる 「休職期間満了→退職」という明確な枠組みがない状態での解雇は、解雇権濫用として無効と判断されやすくなります。 |
目次
解説動画
復職取消し・再休職規定とは、復職後一定期間内に同一または類似の事由で再び就業困難となった場合に、復職を取り消して直ちに休職を命じ、前回休職期間の残余期間を適用する旨を定めた就業規則上の規定をいいます。精神疾患を発症した社員の中には、復職したものの、復職後間もない時期に再び欠勤・就労不能となり、また休職・復職・再び欠勤という形で休職と復職を繰り返すケースが少なくありません。うつ病等の精神疾患は再発率が高く、特に復職後1〜2年以内に再発するケースが多いとされています。
就業規則に適切な規定がない状態でこのような繰り返しが起きると、都度、休職手続を最初からやり直す必要が生じ、最終的に雇用関係を終了させることが困難になります。本ページでは、精神疾患社員の休職・復職繰り返しを防ぐための就業規則の整備について、会社側専門の弁護士が解説します。
01復職取消し・再休職・期間通算の規定が必要です
結論:精神疾患社員の休職・復職繰り返しに対応するためには、復職取消し・再休職・期間通算の規定を就業規則に置くことが必要です。具体的な規定例としては、「復職後〇か月(6か月等)以内に、同一または類似の事由により〇日以上欠勤し、または就業が困難となった場合は、復職を取り消し、直ちに休職を命じる。この場合の休職期間は、前回の休職期間の残余期間とする(休職期間を通算する)」という形が考えられます。
この規定により、「復職後すぐに再発して休職が必要になった場合でも、残余の休職期間だけ休職させて、期間満了で退職扱いにできる」という枠組みが確保できます。規定なしに毎回新たな休職期間を付与し続けることを防ぐために、この規定は非常に重要です。
02試し出勤期間中の再発に備えた規定も設けてください
結論:復職前に試し出勤(リワーク)期間を設ける場合は、試し出勤期間中に就業困難となった場合は復職を認めない旨の規定もあわせて設けることが推奨されます。試し出勤(リワーク)を実施する場合、その法的地位・賃金の取扱い・期間の定め方など、注意すべき点が多くあります。
試し出勤中の規定が不明確だと、後に「試し出勤中も賃金が発生する」「試し出勤を行ったことで復職を認めたとみなされる」などの主張を受けるリスクがあります。就業規則の設計段階から弁護士に相談することをお勧めします。
03規定がない場合のリスクと対処法
結論:これらの規定がない場合、休職・復職を繰り返す社員への普通解雇は解雇権濫用として無効と判断されやすくなるため、問題が生じる前の整備が最大のリスク管理策です。「休職期間満了→退職」という明確な枠組みがない状態での解雇は、解雇権濫用(労働契約法16条)として無効と判断されやすくなります。
問題が生じる前に就業規則を整備することが最大のリスク管理策です。現在、休職・復職を繰り返している社員がいる場合でも、できる限り早い段階で就業規則を整備した上で対応することが重要です。ただし、既存の社員への不利益変更については合理性の要件が求められますので、弁護士に相談の上で進めることをお勧めします。
04就業規則の整備は専門家に相談しながら行ってください
結論:休職・復職に関する就業規則の規定は、法的要件を満たしつつ会社の実態に合った内容にする必要があり、インターネット上のひな形の流用はリスクがあります。休職・復職に関する就業規則の規定は、法的な要件を満たしつつ、会社の実態に合った内容にする必要があります。
弁護士法人四谷麹町法律事務所では、精神疾患社員への対応を念頭に置いた就業規則の整備・復職・再休職規定の設計について、豊富な経験を有しています。会社側専門の弁護士として、会社側の視点からアドバイスを提供しておりますので、就業規則の見直しをご検討の経営者の方はぜひご相談ください。
規定整備の比較|適切な対応/NGな対応
| ○ 適切な対応 | ✕ NGな対応(普通解雇無効のリスク) |
|---|---|
| 復職取消し・再休職・期間通算の規定を整備する | 復職のたびに新たな休職期間を毎回付与する |
| 試し出勤期間中の再発に備えた規定も設ける | 試し出勤の法的地位・賃金の取扱いを曖昧にする |
| 問題が生じる前に規定を整備する | 繰り返しが起きてから規定を作ろうとする |
| 会社の実態に合わせて弁護士と規定を設計する | インターネット上の汎用ひな形をそのまま使う |
05よくある質問(FAQ)
Q. 「前回の休職期間の残余期間」はどのように計算しますか。
例えば就業規則で休職期間が1年と定められており、前回の休職で6か月休職した後に復職した場合、残余期間は6か月となります。復職後に再発した場合は、この残余6か月が新たな休職期間となります。就業規則に「通算する」旨の規定がない場合は、新たに1年の休職期間が付与される可能性があります。規定の設計については弁護士に相談することをお勧めします。
Q. 「同一または類似の事由」はどのように定義すればよいですか。
「同一または類似の事由」の定義は、具体的な規定の仕方によって異なります。一般的には「同一の傷病または同一の傷病に起因するもの」という形で定義されることが多いです。ただし、精神疾患の場合、以前と同じ病名でも別の疾患として扱われる場合があるなど、個別の判断が必要な場合があります。具体的な文言の設計については弁護士に相談することをお勧めします。
Q. 既に休職・復職を繰り返している社員がいる場合、今から規定を整備しても意味がありますか。
できる限り早期に整備することに意味があります。ただし、既存の社員への適用については不利益変更の問題が生じる可能性があります。現在の状況・就業規則の内容・社員との関係を総合的に検討した上で対応方針を決定することが必要です。個別の状況については弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。精神疾患社員の休職・復職繰り返しへの対応でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日:2026年7月10日