労働問題163 労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)の内容はどのようなものですか?

 平成2031日から施行された労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定され、労働契約における使用者の安全配慮義務が明文化されました。
 使用者の安全配慮義務を明文化した趣旨については、平成24810日付け基発08102号では「通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労働に従事するものであることから、判例において、労働契約の内容として具体的に定めずとも、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者は、労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っているものとされているが、これは、民法等の規定からは明らかになっていないところである。このため、法第5条において、使用者は当然に安全配慮義務を負うことを規定したものであること。」とされており、陸上自衛隊事件最高裁昭和50225日第三小法廷判決、川義事件最高裁昭和59410日第三小法廷判決が参考となるとしています。
 さらに、同通達は、同条の内容について、以下のように説明しています。
 ア 法第5条は、使用者は、労働契約に基づいてその本来の債務として賃金支払義務を負うほか、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に安全配慮義務を負うことを規定したものであること。
 イ 法第5条の「労働契約に伴い」は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、使用者は安全配慮義務を負うことを明らかにしたものであること。
 ウ 法第5条の「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれるものであること。
 エ 法第5条の「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではないが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められるものであること。
 なお、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)をはじめとする労働安全衛生関係法令においては、事業主の講ずべき具体的な措置が規定されているところであり、これらは当然に遵守されなければならないものであること。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎


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