労働問題158 精神疾患社員の休職・復職繰り返しで職場の公平性を維持する対策【会社側弁護士が解説】
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精神疾患を発症した社員が休職と復職を繰り返す状況は、真面目に働いている他の社員に不公平感を生じさせ、会社の活力を損なう原因となります。特に、休職中も賃金が支払われていたり、他の社員に業務のしわ寄せが集中したりする場合は、職場全体のモチベーション低下につながります。
このような状況に適切に対応するためには、法的に正当な対応を整然と実施し、就業規則を整備した上で毅然とした対応を取ることが重要です。本ページでは、精神疾患社員が休職と復職を繰り返す場合の具体的な対応策を、会社側・使用者側専門の弁護士が解説します。
01休職期間の無給化が最も効果的な対策です
精神疾患社員の休職と復職の繰り返しに悩んでいる会社は、休職期間についても賃金が支払われていることが多い印象です。就業規則に「休職期間中の賃金は支払わない(無給)」という規定がないまま、惰性で賃金を支払い続けているケースが見られます。
休職期間中は「ノーワーク・ノーペイ」の原則(民法624条)により、賃金を支払う義務はありません。就業規則に「休職期間中は無給とする」旨を明確に規定し、実際にも無給での運用を徹底することが、真面目な社員の不公平感を防ぎ、会社の財務的負担を軽減する最も効果的な対策です。
02傷病手当金の案内を徹底してください
休職期間を無給とする場合、社員の生活保障のための代替手段として健康保険の傷病手当金(連続3日以上の欠勤の4日目から支給・標準報酬日額の3分の2・最長1年6か月)の申請を案内します。
会社は傷病手当金の支給申請書に「事業主の証明欄」を記入する義務がありますので、速やかに対応してください。傷病手当金の申請書発行を遅延させると、社員の生活保障が遅れるだけでなく、後のトラブルの原因になることがあります。
03就業規則の整備で対応の枠組みを確立してください
休職・復職を繰り返す社員への対応は、就業規則に明確な枠組みがあるかどうかで大きく変わります。休職期間の無給規定・復職取消し・再休職・期間通算の規定・復職条件(主治医診断書・産業医意見書の提出義務)の規定・休職期間満了時の自動退職規定、これらが整っていれば、休職・復職の繰り返しを法的枠組みの中で整理することができます。
このような規定が整備されていれば、会社として毅然とした対応を取ることができ、休職・復職の繰り返しによる会社の負担を法的に合理的な形で軽減することができます。
04業務再配分の公平性を確保することも重要です
休職中の社員の業務を他の社員が担っている場合、特定の社員への業務集中が不満の原因になります。休職期間が長期化する場合は補充採用・業務分散・担当変更等で対応し、周囲の社員への過重な負担を防ぐことが、真面目な社員の離職防止という観点からも重要です。
休職期間の無給化・就業規則の整備・業務再配分の方針策定について、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。精神疾患社員への対応について豊富な経験を持つ使用者側専門の弁護士として、実務的なアドバイスを提供しています。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。精神疾患社員の休職・復職繰り返しでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 現在、休職中も賃金を支払ってしまっています。今から無給に変更できますか。
A. 就業規則を改定して「休職期間中は無給とする」旨の規定を設けることは可能ですが、既に休職中の社員や将来の社員への適用時には、不利益変更の問題が生じる可能性があります。就業規則の改定手続・変更の合理性・社員への周知方法について、弁護士に相談の上で進めることをお勧めします。
Q2. 周囲の社員への業務集中をどのように解消すればよいですか。
A. 休職が長期化する場合は、一時的な補充採用(パート・アルバイト・業務委託等)・業務の優先順位の見直し・担当変更による分散化を検討してください。過重な業務が特定の社員に集中し続けると、その社員のモチベーション低下や離職リスクが高まります。業務再配分の公平性を確保することは、組織全体の活力を維持する上で重要な対策です。
Q3. 精神疾患社員への対応に限界を感じた場合、何をすべきですか。
A. 就業規則の整備状況を確認し、休職期間の無給化・復職取消し・期間通算の規定が揃っているかどうかをチェックしてください。規定が整っていれば、休職期間満了退職という明確な枠組みで対応することが可能です。現時点での対応方針については、会社側・使用者側専門の弁護士に相談することをお勧めします。
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最終更新日:2026年5月10日