労働問題146 精神疾患の発症が強く疑われる社員が指定医への受診を拒絶した場合は,どのように対応すればいいでしょうか?
精神疾患の発症が疑われるため、会社が医師を指定して受診を命じたところ、本人が指定医への受診を拒絶した場合は、債務の本旨に従った労務提供がないものとして労務の受領を拒絶し、欠勤扱いとすることができることもあります。
社員本人が精神疾患の発症を否定している場合であっても、直ちに精神疾患が発症していないことを前提とした対応を取ることができるわけではありません。精神疾患を原因とした欠勤等を理由とする懲戒処分は慎重に行わないと無効と判断されるリスクが高いので、基本的には懲戒処分以外の対応を中心に検討すべきと考えます(日本ヒューレット・パッカード事件最高裁平成24年4月27日第二小法廷判決参照)。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎