ワード:「問題社員」

試用期間満了前の本採用拒否(解雇)は認められますか。

この記事の結論 1 法的には可能だが、客観的合理性の立証判断が甘くなりやすく紛争を誘発しやすいという実際上の問題がある 「もう無理だ」という気持ちが先走り、証拠として通用する事実が十分に積み重なっていない段階で踏み切ってしまうリスクがあります。試用期間途中の本採用拒否は本人の不満・怒りを増幅させやすい傾向にあります。 2 推奨対応:……

能力不足と知りつつ「チャンスを与える」ために採用した社員の本採用拒否には、どのような危険が潜んでいますか。

この記事の結論 1 採用面接時に知っていた能力不足では緩やかな基準が適用されず、本採用拒否は無効リスクが極めて高い 緩やかな基準で認められる本採用拒否は「当初知ることができず知ることが期待できないような事実」を理由とする場合に限られます(労働問題60参照)。「採用面接時に既に低能力だと知っていた」という事実そのものが、後の本採用拒否を法的に困難にします。 ……

三菱樹脂事件最高裁判決の本採用拒否基準とは、具体的にどういった場合ですか。

この記事の結論 1 緩やかな基準の核心は「当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実」(三菱樹脂事件最高裁大法廷判決) 採用選考時には判明しなかった事実が試用期間中に判明した場合のみ、緩やかな基準(留保解約権の行使)での本採用拒否が認められます。 2 採用面接時に知り得た事実では通常の解雇基準が適用される。「判明した……

試用期間中の社員は通常よりも緩やかな基準で本採用拒否(解雇)できますよね。

この記事の結論 1 「緩やかな基準」は「証拠不要」を意味しない。客観的合理的理由の立証は通常の解雇と変わらず必須 三菱樹脂事件最高裁大法廷判決は「通常の解雇の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべき」としますが、使用者が主観的に判断しただけでは足りません。裁判官の目から見て正当化できる具体的事実が客観的証拠により必要です。 ……

試用期間中の社員であれば、自由に本採用拒否(解雇)できますよね。

この記事の結論 1 本採用拒否は留保解約権の行使(解雇)であり「自由に解雇できる」は最もよくある経営者の誤解の一つ 既に採用した社員の解雇であり、新たに採用する場面(採用内定取消等)とは根本的に異なります。「解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許される」とされています(三菱樹脂事件最高裁大法廷判……

試用期間の法的性格について教えてください。

この記事の結論 1 試用期間の法的性格は就業規則の文言+処遇の実情・慣行を総合して個別判断される(三菱樹脂事件最高裁大法廷判決) 就業規則の規定の文言のみならず、企業内での処遇の実情・本採用との関係における事実上の慣行を重視して判断されます。試用期間の法的性格は一様ではありません。 2 多くの場合は解約権留保付き雇用契約。本採用拒否……

試用期間とは何ですか。定義・法的性格・実務上の注意点について教えてください。

この記事の結論 1 試用期間は正社員としての適格性を判断するための期間。法律上の定義はなく試用期間中も労働契約は成立している 「試用期間中は雇用関係にない」は誤りです。試用期間中でも解雇には客観的合理的理由が必要ですが、本採用後と比べてハードルは相対的に低くなります。 2 試用期間中に問題を認識したら先送りにしない。期間が経過すれば……

転勤命令を拒否した正社員を懲戒解雇することができますか。

この記事の結論 1 転勤命令が無効なら拒否を理由とした懲戒解雇は認められない。有効性確認が大前提 転勤命令が無効となる主なケースは①勤務地限定特約がある場合②転勤命令権限が権利濫用に当たる場合です。転勤命令拒否を理由に懲戒解雇を検討する前に、まず転勤命令自体の有効性を確認する必要があります。 2 有効な転勤命令の拒否は重大な業務命令……

転勤命令違反を理由とした懲戒解雇の有効性が争われた場合、主に何が問題となりますか。

この記事の結論 1 転勤命令違反を理由とした懲戒解雇は①転勤命令権限の有無②転勤命令の濫用の有無③懲戒権の濫用の有無という3段階の審査を経る ①で転勤命令権限自体がないと判断されれば、転勤命令は無効であり②・③を検討するまでもなく懲戒解雇も無効となります。各段階をクリアして初めて懲戒解雇の有効性が認められます。 2 一度の拒否でいき……

就業規則の懲戒解雇事由に該当していても、懲戒解雇が無効になることはありますか。懲戒権濫用法理について教えてください。

この記事の結論 1 就業規則の懲戒解雇事由への該当は必要条件にすぎない。懲戒権濫用法理(労契法15条)という第二の壁がある 懲戒が客観的合理的理由を欠くか社会通念上相当でない場合は、就業規則の事由に形式的に該当していても懲戒権濫用として無効となります。就業規則の懲戒事由該当性と懲戒権濫用の有無という二段階審査が必要です。 2 懲戒解……

戒告後に、同一の理由で懲戒解雇をすることはできますか。「一事不再理」の原則と二重処分のリスクについて教えてください。

この記事の結論 1 懲戒処分は「一度きりの最終回答」。同一の非違行為への二重処分は原則として認められない(一事不再理) 戒告を出した時点で、その事実に対する懲戒権行使は完了します。「やはり重大だった」「反省していない」という後付けの理由で処分を重くすることは、二重処分として無効と判断される可能性が高いです。 2 「まず軽い処分で様子……

懲戒解雇の意思表示は、普通解雇の意思表示でもあるといえますか。岡田運送事件と実務対応について教えてください。

この記事の結論 1 懲戒解雇の意思表示が普通解雇を内包するかは事案ごとの解釈問題。懲戒解雇のみが明らかな場合は内包不認 一般論で「認められる・認められない」と断定できません。懲戒解雇のみを行ったことが明らかな場合は、普通解雇であれば有効な事案でも普通解雇の意思表示の内包は認められません。 2 実務上の最善策は解雇通知書に「懲戒解雇と……

懲戒解雇後に判明した非違行為を、懲戒理由として追加することはできますか。山口観光事件判決と対応策について教えてください。

この記事の結論 1 懲戒当時に認識していなかった非違行為は原則として後から追加できない(山口観光事件・最高裁平成8年) 懲戒解雇後に判明した非違行為は、特段の事情のない限り懲戒解雇の有効性を根拠付けられません。普通解雇では原則として追加主張が認められる傾向にある点と大きく異なります。 2 最善の予防策は懲戒解雇前の徹底した事実調査。……

懲戒解雇の有効性は、どのような項目で判断されますか。4つの検討項目と実務上の注意点について教えてください。

この記事の結論 1 懲戒解雇の有効性は4項目すべての検討が必要。就業規則の懲戒事由への該当は必要条件にすぎない ①就業規則の懲戒解雇事由への該当②懲戒権濫用(労契法15条)の有無③解雇予告義務(労基法20条)の遵守④解雇制限事由への非該当、の4項目すべての検討が必要です。事由に該当するだけでは不十分です。 2 懲戒権濫用の壁が特に高……

懲戒解雇とは何ですか。定義・普通解雇との違い・退職金の取り扱いについて教えてください。

この記事の結論 1 懲戒解雇は制裁としての最も重い懲戒処分。就業規則の懲戒事由への該当が絶対的前提 使用者の懲戒権の発動による制裁罰として企業秩序に違反した労働者に行われる解雇です。就業規則がない・懲戒事由の規定がない・規定に該当しない場合は懲戒解雇として行うことは原則としてできません。 2 退職金の不支給・減額には就業規則・退職金……

整理解雇は、普通解雇・懲戒解雇と比べて有効になりやすいですか、それとも無効になりやすいですか。

この記事の結論 1 整理解雇は「最も立証負担が重い」解雇類型。普通解雇・懲戒解雇より無効になりやすい傾向がある 労働者に落ち度がないため、会社側に4要素すべての立証が求められます。普通解雇は「社員の問題行動の重大性」の証明、懲戒解雇は「懲戒事由・手続・処分の相当性」の証明で足りるのに対し、整理解雇は「経営状況・解雇回避努力・人選の公正性・説明の適切性」まで問わ……

普通解雇後に判明した事実を、解雇理由として追加主張できますか。解雇理由証明書との関係についても教えてください。

この記事の結論 1 普通解雇後に判明した事実の追加主張は裁判例上認められやすい。懲戒解雇では原則不可という違いがある 解雇時に存在していたが使用者が知らなかった事実については、後から普通解雇事由として追加主張できるとする裁判例が多くあります。制裁処分である懲戒解雇では手続的公正の観点から原則として認められないのと対照的です。 2 解……

懲戒解雇事由に該当することを理由として、普通解雇することはできますか。

この記事の結論 1 懲戒解雇事由に該当する事実は普通解雇の客観的合理的理由の根拠となり得る。多くの場合、普通解雇は可能 重い処分の根拠となる事由であれば、それより軽い普通解雇の根拠にもなり得るという論理が一般的な解釈です。ただし解雇権濫用法理(労契法16条)による審査は別途受けます。事実が軽微で改善可能性がある場合は相当性が認められないこともあります。 ……

懲戒解雇事由があっても、普通解雇を選択できますか。

この記事の結論 1 懲戒解雇事由があっても普通解雇を選択できる。最高裁(高知放送事件)も明確に認めている 本人の再就職など将来を考慮して懲戒解雇に処することなく普通解雇を選択することは、最高裁(昭和52年1月31日・高知放送事件)が許容しています。ただし普通解雇としての有効要件(客観的合理的理由・社会通念上の相当性)は別途必要です。 2 ……

就業規則に規定する普通解雇事由以外の理由で、普通解雇することはできますか。

この記事の結論 1 就業規則の解雇事由以外での普通解雇可否は学説上未決着。リスク回避のため包括条項を設けることが最善策 「解雇事由以外では解雇できない」とする限定説と「解雇権濫用法理を満たせば解雇できる」とする非限定説が対立しており確定的な結論がありません。実務上は「その他前各号に準じる事由があるとき」という包括条項を設けることが最善策です。 ……

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