労働問題404 内容証明郵便での請求に対する回答は、内容証明郵便でする必要がありますか。

この記事の要点

内容証明郵便での請求が届いても、必ずしも内容証明郵便で回答する必要はない。労働者側に代理人弁護士がいる場合は、回答書を代理人事務所宛FAXすれば足りるのが通常

「内容証明で来たから内容証明で返さなければならない」という誤解をしていませんか

万全を期すためには、FAX後に電話確認してメモに残すことが望ましい。送付の事実と到達を記録に残しておく

「送った」「届いていない」というトラブルを防ぐための実務的な対応です

一定の内容の文書が一定の時期に相手方に届いたことを立証する必要性が高い事案については、内容証明郵便を配達証明または配達記録付きで発送する必要がある

この判断が必要な場合は使用者側弁護士に相談してください

01内容証明郵便で返答する必要はない。原則論

 元従業員や労働者の代理人弁護士から内容証明郵便で請求書が届いた場合、「内容証明で来たから内容証明で返さなければならない」と考える会社経営者は少なくありません。しかし、これは誤解です。

 内容証明郵便とは、郵便局が「いつ、どのような内容の文書を、誰が誰に送ったか」を証明する制度です。送る側が証拠として「その文書を送った事実」を残すために利用するものです。相手方が内容証明を使って送ってきたことは、受け取った側が同じ方法で返答する義務を生じさせるものではありません。回答の方法は送付者が自由に選択できます。

 したがって、内容証明郵便での請求に対して、必ずしも内容証明郵便で回答する必要はありません。

02代理人弁護士がいる場合はFAXで足りる

 特に、労働者側に代理人弁護士がついている場合は、回答書を代理人事務所宛FAXすれば足りるのが通常です。

 弁護士事務所はFAXを受信する体制が整っており、FAX番号は通常、内容証明郵便に記載された代理人事務所情報から確認することができます。弁護士同士の実務においても、回答書のやり取りはFAXや電子メール等で行われることが一般的であり、必ずしも内容証明郵便が求められるわけではありません。

 会社経営者として重要なのは、回答書の「内容」であり、「送付方法の形式」ではありません。適切な内容の回答書を、確実に代理人弁護士に届けることが目的です。

03FAX後の電話確認とメモの重要性

 万全を期すのであれば、通常のビジネスマナーと同様に、回答書をFAXした後、代理人事務所に電話して回答書のFAXが届いたかどうかを確認し、その記録をメモに残しておくとよいでしょう。

FAX送付後に確認・記録しておくべき事項

・FAX送信日時・送信先のFAX番号・送信枚数の記録(送信レポートの保存)
・電話確認した日時・対応した相手の氏名・確認した内容のメモ
・回答書の写しの保管(送付した文書と同内容のものを保存)

 「送った」「届いていない」という水掛け論を防ぐためにも、送付の事実と到達の確認を記録として残しておくことが重要です。FAX送信レポートの保存と電話確認の記録は、後に「回答した」という事実を示す証拠として機能します。

04内容証明郵便での返答が必要なケース

 一定の内容の文書が一定の時期に相手方に届いたことを立証できるようにしておく必要性が高い事案については、内容証明郵便を配達証明または配達記録付きで発送することが必要です。

 例えば、時効の完成猶予(催告・承認等)に関わる文書の送付が必要な場合や、契約の解除・解約通知など法的効果の発生時点が重要となる場合などが該当します。このような場合には、「その文書が相手方に届いたこと」を確実に立証するために内容証明郵便が有効です。

 どのような場合に内容証明郵便が必要かの判断は、事案の性質によって異なります。判断が難しい場合は使用者側弁護士に相談することをお勧めします。

05まとめ

 内容証明郵便での請求に対する回答は、必ずしも内容証明郵便でする必要はありません。特に労働者側に代理人弁護士がいる場合は、回答書を代理人事務所宛FAXすれば足りるのが通常です。FAX後には電話確認とメモで記録を残すことが望ましいところです。ただし、文書の到達時期の立証が重要となる事案については内容証明郵便が必要なケースもあります。回答の方法・内容について不明な点がある場合は、使用者側弁護士のサポートを受けることをお勧めします。アドバイスします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

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Q&Aよくある質問

Q1. 相手方代理人弁護士にFAXで回答書を送りましたが、「受信していない」と言われました。どう対応すればよいですか。

A. FAX送信レポートに記録された日時・送信先番号・送信枚数を確認し、送信した事実を記録として示してください。その上で、再度FAXを送付するか、または直接持参・郵便等の別の方法で確実に届ける対応をお勧めします。「届いていない」というトラブルを防ぐためにも、送付後に電話で受信確認を取る習慣が重要です(本記事03節参照)。

Q2. 代理人弁護士がいない(相手方本人が直接送ってきた)場合はどうすればよいですか。

A. 相手方に代理人弁護士がいない場合も、FAXや書留郵便等で回答することは可能です。ただし、本人に直接送る場合は受け取った事実が残りにくいため、配達記録がある書留郵便等を利用することをお勧めします。また、相手方が個人の場合、回答内容について本人が誤解する可能性もあるため、分かりやすい文章で記載することが重要です。

最終更新日:2026年5月31日

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